――佳子さんは常に「自分の使命」ということを口にしていました。きゃりーさんは、意識したことはありますか?
具体的に歌でメッセージを届けることはないんですけど、私がステージに立って、好きな格好で好きなように世界観を作って歌っているのを見て、ファンの方から「ありのままの自分でいていいんだと思いました」と言われることが多いんです。
LGBTQの方も多いなかで、具体的にそういうメッセージを発信しているわけではないのですが、さまざまに受け取っていただいていると実感しています。
今回、佳子さんの歌が力になっている、がん闘病中の女性のように、歌が持つ力や素晴らしさのようなものを改めて感じました。
――ご自身が歌で救われた経験はありますか?
人並みに失恋したら失恋ソングを聴いたり、ドライブではアゲアゲの曲を聴いてみたりとか、そういうことはあります。でも、この一曲に救われた、というものにはまだ出会えていないので、これからの人生で見つけられたらいいな、と思います。
――現在の生きる励みや生きる糧になっているものがあれば教えてください。
愛犬のあめちゃんです。どんなに疲れていても、うちに帰ってあめちゃんとハグしたら癒されます。ただ、私にはほかに好きな人とご飯に行ったり、楽しい時間を過ごすこともできるけど、ワンチャンにとって世界は私しかないので、これからも一緒に寄り添える関係でいられたらいいな、と思っています。
――後編では、佳子さんの知名度が上がり売れっ子になっていくなかでの苦悩も描かれます。どのように感じましたか?
今回の佳子さんのように、知名度があがることで、絡まれたり、冷やかされたりするようなこともあって、人気者になったから幸せか、というとそうではないこともありますよね。“人気者になって苦しい、ならなくても苦しい”というのは、この業界の友達とも話して思うことです。
私も、本名の自分ときゃりーぱみゅぱみゅがいて、きゃりーぱみゅぱみゅばかりが人気になったときに、「果たして、ありのままの自分を誰が好きでいてくれるんだろう」と、そのギャップに悩んだことがありました。
今は、もう大丈夫ですが、やっぱりすごく忙しくてスケジュールが詰め詰めになると、心の余裕がなくなりますから。
それでも、ステージに立たないと感じられない喜びやスペシャルな景色というのはあるので、そのバランスが崩れないようにみんなうまく調整しながらできたらいいのにな、と思います。
『ザ・ノンフィクション』好きが高じて聖地巡礼も!
――きゃりーさんは、『ザ・ノンフィクション』好きを公言していますが、(番組で、取材を続けていた)レストラン大宮に行ったそうですね。
そうなんですよ(笑)。(こちらも番組で取材を続けていた)人力車の会社もレストラン大宮も浅草なので、そのコースで行こうと思ったら、人力車の俥夫(しゃふ)の彼がもう辞めてしまっていたようで、大宮に行きました。
ドキドキしながらドアを開けて、シェフはいらっしゃいませんでしたが、接客担当の女性はいらして、接客をしていただきました。
大宮は番組で見たときにお料理もおいしそうで、行きたいと思いました。今は、先日放送になったさる回しが気になっているので、日光さる軍団を見に行きたいです。
私は忙しいときは録画をしてでも毎回番組を見ていて、それが、自分が前向きになれるきっかけであり、息抜きであり、人生勉強にもなっていて。
だからこそ、そこに出てきた人たちにも会える人には会いたいし、聖地巡礼ツアーじゃないですけど、現場にも行きたいなって思うんです。
もちろん、声をかけたりすることはなく、ただお客さんとして行けたらいいな、という思いです。
――『ザ・ノンフィクション』好きのきゃりーさんから見た、今回の見どころを教えてください。
西成の三角公園でよく目撃されていたシンガー・坂田佳子さんの生きざまや背景、あそこで歌うことへの思いが描かれていて、彼女の魅力や愛されている理由もわかると思います。
目標も夢もないな、人生疲れちゃったな、とか…私もわりとそう思うタイプだったんですけど、そういうタイミングで見たら、救われる方もたくさんいると思います。
佳子さんは、今日もどこかで歌っていると思いますので、私もそんな佳子さんを探して、いつか会いに行きたいと思います。
<ナレーションの一部を紹介>
<予告動画>
YouTube「FUJITV GLOBAL CHANNEL」で、『ザ・ノンフィクション』の予告動画を配信中!
8月20日(日)14時~「生きる歌~三角公園の歌姫とわたし~後編」予告