本作では渚と蛍の二役を演じた渕上さんは「納得いくまで何回かやらせてもらった」と、アフレコ時の苦労を語ります。さらに、アフレコ時の印象的だったエピソードを聞いてみると…。

 岡本信彦「『暗殺教室』は学校生活を疑似体験できた作品」

――本作では、渕上さんは渚と見た目がそっくりな女生徒・蛍も演じています。演じ分けで心がけたことはありますか?

渕上:演じさせていただけると決まったときは、とてもうれしかったですが、「どう演じ分けようか?」とものすごく悩みました。蛍は渚と顔は瓜二つですが、渚ではないし、そもそも性別も違う。どこまで“女の子”に寄せるのかが、悩んだポイントです。

アフレコでは、やり直しや苦戦こそありませんでしたが、キャラクターを作るというところまでは、納得いくまで何回かやらせていただきました。渚が浮かびつつも、少し女の子に寄せる、みたいな。その微妙な塩梅を維持していくのがすごく難しかったというか、「大変なキャラクターだな」と思いながら演じていました。

左から)岡本信彦、渕上舞

――アフレコ時の印象的なエピソードがあったら教えてください。

岡本:僕は、みんなで銘菓をいただいたことですね。松井先生が収録現場へ来てくださったときに、丸い銘菓の包装に絵を描いて、殺せんせーの顔みたいにしてくれたので、それを写真に撮って、「かわいいね」ってみんなでワイワイしました。

渕上:そう!その写真がLINEに流れてきて、「え、そんなのあったんだ!?」って思っていました(笑)。私のチームがアフレコ初日で、そのあとに先生が来られたので、私はその銘菓を見ていないんです。みんなから写真で共有してもらって、羨ましく思っていました。

――改めてお二人にとって『暗殺教室』とはどのような作品ですか?

岡本:学校生活を疑似体験できた作品です。シリーズが開始した当時は、物語の最初から最後までアニメ化が確約されていたわけではなくって。でも、「最後まで行こうと思っている」とアニメの監督から言われて、「最後まで行けるんだ!?」と思ったことが強く残っています。

なので、みんなで一緒に作品と同じ時間を過ごした思い出がありますし、実際の3年E組の雰囲気が現場にできあがっていた気がします。当時、僕は空き時間に、磯貝悠馬役の逢坂(良太)くんと、ずっと手押し相撲をしていて、それにまいまい(渕上さん)も参加してもらって(笑)。そんな感じで和気あいあいとしていて、すごく学校っぽさがあって楽しかったのを覚えています。

渕上:実際の学校のクラスでもそうだと思いますが、何となく男女でチームが分かれがちですよね。アフレコ現場でも、女性は女性同士でおしゃべりしていたり、男性は男性同士で遊んでいたりしていました。

ただ、私は女性でありながら男性役を演じているので、どちらにも行ったり来たりしていて、楽しかったのを覚えています。現場で手押し相撲しているって大概ですよね(笑)。

岡本:大概だよ(笑)。

渕上:手押し相撲以外でよく覚えているのが、毎回とても華やかな差し入れを用意していただいていたのですが、アイスクリームを何種類もバーッと置いてくださっていたことがあって。私が言い出したと思うんですけれど、アイスに付いていたドライアイスを、容器と容器の間で「移動させる」という謎の遊びをしだして(笑)。子どもって型にはまらない遊びをすることがあるじゃないですか?やりながら、「あ、学校みたい」と思ったのを覚えています。

岡本:たしかに。煙が出ているからか、なぜかドライアイスに興味を持ってしまうというか。でも、当時は盛り上がっていましたけれど、本来は危ないものですからね(笑)。

渕上:そう!直接触っちゃだめだし、みなさんは真似しないでくださいね。

写真:河井彩美 

インタビュー後編では、さらに本作の見どころを深掘りします。渕上さんと岡本さんに「10年間で変わったこと・変わらないこと」も聞きました。