<柏木由紀&浪川大輔 コメント>

柴田まさき(柏木由紀)
ヨミチ(うに/声・浪川大輔)

――柏木さん演じる、まさきの魅力は?

柏木:仕事では周囲に「こう見せたい」という自分をしっかり保ちながらも、家では一人でビールを飲んでいるような、素の一面もある。そのギャップが、まさきの魅力だと感じています。

ただ、卑屈に見えたり、何もかも諦めているような人物には見せたくない。彼女はこれまで何事にも一生懸命向き合ってきたから今がある人。ヨミチや仕事にもきちんと向き合い、それぞれと本気でぶつかっている姿を大切に演じています。

――浪川さんは、ヨミチをどんなふうに演じましたか?

浪川:今回は“リアルな猫”が相手で、アニメとはまったく勝手が違いました。正直、これまでの声優人生の中でも、間違いなくトップクラスに難しい役だったと思います(笑)。実写で本物の猫となると、違和感をどう作品になじませるかをずっと考えていました。

僕がまず先に撮影用に声を録る形だったので、最初は声だけで想像を膨らませるしかありませんでした。台本があっても、ヨミチ役の猫・ウニちゃんがどう動くかは本番次第。まさきとのかけ合いも含め、想像力を総動員した、本当に貴重な経験でした。

ヨミチを演じるにあたり、できるだけ気取らず、自然体でいることを大切にしました。親しみやすさを持ちながらも、監督に求められた”リアリティのある言葉”をまっすぐ届けることを意識しています。セリフは少し強めなので、きつく感じる方もいるかもしれませんが、誰かを傷つけたいわけではありません。最後にはそっと背中を押せる存在になれたら――そんな思いで演じました。

――もしも、本当にしゃべる猫がいたらどうしますか?

柏木:私は、その日にあった出来事や感じたことを、すぐ誰かに話したくなっちゃうタイプなんです。とにかくおしゃべりが大好きで(笑)。もし、家にしゃべる猫がいてくれたら「今日ね、こんなことがあってさ〜」って、うれしかったこともイヤだったことも、きっと一気に全部話してしまうと思います。

普段は、あんまり人に相談するほうではないんですけど、ヨミチみたいにズバッと言ってくれる存在なら、逆に相談してみたいですね。本当に信頼できそうだし。友だちだと、どうしても気を遣うこともあるけど、ヨミチになら悩みも素直に話せそうな気がします。

浪川:もし、しゃべる猫に直接いろいろ聞けるとしたら、まずは「ほかの猫ってどんな感じ?」と聞いてみたいです。いわゆる“猫界隈”のリアルな関係性や、鼻をツンツンし合っていても実はそこまで仲良くないんじゃないの?とか…そのあたりの本音は、知りたいです。

習性についても気になります。あの体勢で寝て痛くないのか、首のうしろをつかまれるのは本当はどう思っているのかなど、人間が思っている“猫の常識”と答え合わせをしてみたい!それだけで一冊の本になるし、絶対に売れますよね(笑)。

柏木:実はこれまで、猫や動物と暮らしたことが一度もないんです。でも、ヨミチみたいにちゃんと話し相手になってくれる存在だったら、すごく素敵だなと思います。

ヨミチって、結構ズバズバ言ってくるじゃないですか。だから、その分こっちも遠慮せずに本音で返せる関係性ですよね。実際、あそこまで腹を割って話せる相手って、身近にいそうでなかなかいないと思うんです。ああやって本音で言い合える感じがむしろ心地いいなって。ヨミチと暮らすのは、全然“あり”ですよね。あとは…向こうがよければですけど(笑)。

浪川:ヨミチのようにズバッと言われたら、正直ちょっと怖いですよね。でも、それが“猫”だから、不思議とスッと心に入ってくる気がするんです。もし同じことを友だちや先輩に言われたら、きっと素直には受け止められないはず。でも「猫に言われた」となると、受け取り方が変わる。そこがヨミチという存在の面白さだと思います。

友人でも家族でもない。かといって遠すぎもしない――その絶妙な距離感があるから、本音がこぼれるのかもしれません。ある意味…ChatGPTみたいな存在になりそうですよね(笑)。

――これまで、誰かから何かを預かったことはありますか?

柏木:さすがに猫を預けられたことはないですけど…以前、AKB48のメンバーから「好きなCDを一回貸すから、全部聴いて」と、突然大量に預けられたことはあります(笑)。AKBに入って1年目のときで、いきなり渡されて本当にびっくりしました(笑)。当時は、iPodの時代だったので、「全部入れて聴いてね」と言われ、本当に取り込みました。結果的に素敵な曲にも出会えましたし、カラオケで盛り上がるというメリットもあっていい思い出です(笑)。

あと、うれしい“預け物”は先輩から洋服をたくさんいただきました。十数年前にいただいた洋服やバッグを今でも大切に使っています。それくらい素敵なものを譲ってくださいました。

一方で、私が後輩にあげた洋服については、後輩がテレビでかなり文句を言っていて(笑)。「シミがついていた」とか「綿棒が入っていた」とか…。さすがにそれはないでしょ、と思っていたら、写真まで見せられました(笑)。

私は素敵なものをいただいたのに、自分があげたものはちょっと雑だったなと反省しました。でも、テレビでネタにしてくれて、ある意味ありがたかったです(笑)。

浪川:正直、物を預かるのはあまり得意じゃないですね。昔、繊細なプラモデルを預かったことがあるんですが、「何かあったらどうしよう」とずっと落ち着かなくて…。掃除をしているだけでも、うっかりぶつけて壊したら大変だとドキドキしていました(笑)。

車を預けられたこともありますが、「乗っていいよ」と言われても、もし傷をつけたらと思うとやっぱり怖いです。

できれば、あまり預からないようにしたいなと思っています(笑)。

――最後に、視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。

浪川:ヨミチと出会ってから、少しずつ変わっていくまさきの姿をぜひ見ていただきたいです。猫がしゃべるという設定は非リアルなのに、物語自体は不思議と身近に感じられる。「わかる」と共感できる場面も多いと思いますし、まさきに感情移入する方もきっといるはずです。

仕事への思いや年下の彼との関係など、人間ドラマはとてもリアル。そこにヨミチという存在が加わることで、派手な事件はなくても、スッと腑に落ちる瞬間が生まれる。身構えず、「わかる」とうなずきながら楽しんでいただける作品です。

実家を出るまでは、ずっと猫と暮らしていました。猫はペットというより、家族の一員。でも、本当に気分屋で、「おいで」と呼んでもなかなか来ない(笑)。機嫌がいいときだけ、ふらっと近づいてくる。

その絶妙な距離感がまたかわいいんですよ。いわゆる“かまってちゃん”ではない、あの距離のとり方は、人間関係にも通じるものがある気がします。その距離感こそが、この作品のテーマのひとつ。人と人、人と猫のあいだにある微妙な関係性が、丁寧にそして魅力的に描かれています。