「自分の時間があって、好きな仕事ができて、楽しく暮らせればいいかな」
――お母さまは携帯メールでしっかりとしたやり取りができ、言葉でのコミュニケーションも取れています。
母は認知症と診断されてから4年経ってますが、今でもガラホでメールが打てています。そのうちメールの打ち方も分からなくなるんですかねえ。それを思うと寂しかったりします。絵文字もまだまだ使えているんです(笑)。
――お父さまとのケンカで傷ついたにしおかさんを抱きしめたり、にしおかさんの行く末を案じたりと、お母さまの言動から面倒はみてもらっていても娘は「いつまでも子どもなんだ」という思いが垣間見られました。
小さい頃の記憶とか、私が覚えてないことを母が覚えているんですよね。だから、私が実家に帰ったことで、私自身が忘れていたことを思い出したこともあって。私も母との思い出が増えた気がしています。
――お父さま、お姉さまについてはいかがですか?
父に関しては、もうブレずに酔っ払っているので、特に気にしてないですね。姉に関してはダウン症ということもあってか、私よりも年の取り方が早い気がして、「老いていってるな」という、どんどん先にいってしまうような寂しさがあります。
母は病院に行ったから認知症だと分かりましたが、父は酔っ払いゆえの行動なのか、もしかしたら認知症なのか…。姉も母の真似をしているだけなのか、「もしや3人とも認知症なのでは?」と思う時もあります。でも私は素人ですし、本当はどうなのかわかりません。例えそうだったとしても接し方が変わるわけではないので、通常通りです。
――家族と向き合う中で、どうしてもつらくなり、長野県へ”家出旅”をしたとも書かれています。日々の生活でのリフレッシュ方法は?
時々、友人や先輩に愚痴を聞いてもらったり、高いランチを食べに行ったり。ウォーキングやホットヨガに行って汗をかいたり、野菜の彫刻「ベジタブルカービング」をしたりと、小さく息抜きをしています。
自分がちょっと寝不足なだけでイライラがつのったり、いつもだったら許せる言葉が、カンに触ったりということがあります。そんな時は「自分ファースト」と思い直します。自分が元気じゃないと誰も幸せにできないので、自分の幸せを1番に考えます。
時間がなくても、全部捨てても、後で後悔しても息抜きしに行きます。それくらい思わないと自分の時間なんて作れません。皆さんにも自分を1番大切にして、幸せであって欲しいと思います。
――自分の幸せということについて、2冊目発売記念のインスタライブでは、恋愛や結婚についても語っていました。
介護は関係なく、1人暮らしの頃から恋の仕方を忘れちゃってて、きっと結婚はしないと思いますけれど、絶対にしないという理由もないです。今のところ自分の時間があって、好きな仕事ができて、楽しく暮らせればいいかなという感じです。
年齢順でいったら家族の中で最後に残るのは私です。家族が亡くなってしまっても私の人生は続くので、自分が健康で楽しく幸せであるというのを常に念頭に置いておきたいです。
――今後やりたいこと、目標を教えてください。
「ポンコツ一家」の連載も大事ですし、3冊目も出したいです。単発でちょっとずつ違うジャンルにも挑戦しています。書くことが好きで、せっかく好きなことができるようになったので、手放したくないなと思っています。
――先日、ドラマ『新宿野戦病院』(フジテレビ)で、「SMの女王様といったら…」ということでお名前が出てSNSのトレンドにも上がっていました。また女王様に戻ることも?
宮藤官九郎さんのドラマが好きなのでめちゃくちゃうれしかったです!セリフで私の名前を仲野太賀さんが言ってくださって、小池栄子さんや中井千聖さんが真似をしてくださって…私がSMの女王様キャラをやっていたのって2007年ですよ?
もしかすると、宮藤さんは「ポンコツ一家」をなんとなく知ってくださってるってこともあるかなあと想像するだけでめちゃくちゃテンションが上がります。いつかお会いしてみたいです。どこかですれ違うとか、遠くから拝めるとかでもうれしいです(笑)!
<書籍概要>
『ポンコツ一家 2年目』発売中
著:にしおかすみこ
発行:講談社