ハードルが高く感じる着物本の異例のヒットの理由は、ユリアさんの「超かわいい!」がたくさん詰め込まれているから。ユリアさんに着物を自分らしく着るコツを聞いてみると…。

 「全部、超かわいい!」古今東西、好きなものを詰め込んだスタイリング

――本の中で、特に気に入っているスタイリングを教えてください。

やはり表紙のスタイリングでしょうか。私は、アンティークの着物も、現代の着物も両方好きなのですが、それが一番表れているスタイリングになっていると思います。

あと、「種類と格のお話」という、着物の本には絶対に載っているページがありますが、そこでのスタイリングは「全部、超かわいい!」と思っています(笑)。こういったページでは、分かりやすい、典型的なスタイリングを載せることが多いのですが、この本では「分かりやすくてかわいい」という点にこだわりました。

着物と小物にいたるまでの「格」の解説ページ(『きもののとりこ』より)
/写真:西山 航(世界文化ホールディングス)

――掲載されている着物はすべて私物とのことですが、どのぐらいお持ちなのでしょうか?

数えたことはありませんが、本の中でも紹介できなかったものがまだたくさんあるので、結構持っていると思います。しまい込んでしまうと何を持っているのか忘れてしまうので、なるべく見えるように収納しています。着付け教室で使っている着物も私物なので、本当に把握しきれないです。日々増えていますし(笑)。

――素敵な柄に挑戦したくても、つい無難なものを選んでしまいがちです。センスのよい着物の着こなしで気をつけるポイントはありますか?

季節の色や模様を取り入れることをおすすめしています。それが着物の一番面白いところであり、洋服とは違う楽しみのある部分だと思っています。季節を大切にするという考え方には日本の美意識を感じますし、私自身もそういうスタイリングを素敵だなと思います。

あとは、着ていく場所を考えることでしょうか。その場では自分が主役なのか、そうではないのか。尊敬している方の会に行くのなら「自分は控えめにしよう」とか。お会いする相手のことを考えているスタイリングもすごく素敵だなと感じます。

個性的な柄も「物語」を紡いで調和を取る(『きもののとりこ』より)
/写真:西山 航(世界文化ホールディングス)

――スタイリングで自分らしさを出すにはどうしたらいいでしょうか。

自分らしさを出すのなら、「物語のあるスタイリング」が私はすごく好きです。例えば、「東海道」をモチーフにしたり、「言葉遊び」をしてみたり。簡単に取り入れられて、おすすめしたいのは「帯留め」で季節の鳥や花などを取り入れることですね。

例えば、夏なら青い着物を海に見立てて、帯は海岸に打ち上げられている貝をイメージした柄に。そして帯留めは、水平線に船が浮いているように…といった、自分で物語を組み立てるようにスタイリングをするのはとても楽しいです。

夏の文様で見立てる「物語を感じさせるスタイリング」の楽しみ方(『きもののとりこ』より)
/写真:西山 航(世界文化ホールディングス)

――とても統一感がありますが、着物も帯も帯留めも、それぞれ別々に買われたものですよね。

別々に購入したものを組み合わせています。例えば、貝ではなく「山」の帯にしたら、「船」ではなく「燕」を飛ばしてみようかなとか、また別の景色が浮かびます。自分で考えた物語が季節に合っていたり、自分の気持ちを表現できていたりすると、人の目を楽しませてくれる面白いスタイリングになると思います。組み合わせは本当に無限です。

西洋のブローチや刀装具に手を加えて使用することも(『きもののとりこ』より)
/写真:西山 航(世界文化ホールディングス)

――着物はもちろんですが、帯留めやバッグ、小物類に至るまでとても素敵なセレクトです。どういったところで購入されるのでしょうか。

アンティークの着物屋さんや骨董市、作家さんからも直接買います。あとは、オークションサイトも毎日チェックするようにしています。例えば、海外で買ったブローチを帯留めにしたり、小柄(こづか)という刀装具だったり、袋物の留め具だったものを取って自分で帯留めの金具を付けたり。「これは帯留めにできるのでは?」と、何でも帯留め目線で考えてしまうところもあります(笑)。

――羽織やコート、バッグも必ずしも和風ではないのですね。

出張に着物を持っていくことが多いので、荷物を少なくするためにも和洋兼用のコートを自分で作りました。バッグも洋装時のものを流用しているので、着物のためのバッグを買ったことがないんです。

アクセントにもなる個性的なバッグたち(『きもののとりこ』より)
/写真:西山 航(世界文化ホールディングス)
プロデュースした和洋兼用コート「KOTOWA」も人気(『きもののとりこ』より)
/写真:森山雅智