永野芽郁「こういう物語に参加できてうれしい」

──台本を読んだ感想を聞かせてください。

永野:最初に「こういう作品を作ろうと思っています」とお話をいただいたときから、ファンタジーではあるけど、一人ひとりの感情にウソがない物語だなと思っていました。

ただ、「心を奪われる」ということは、表現として難しいので、今自分が持っているすべての表現力を使っても足りないだろうなとも感じていましたが、新たな挑戦として面白く、参加したいなと思いました。

そこから撮影が始まるまでに台本も一層細かく描かれ、ピュアさが増し、しんどいシーンも出てきていました。きっと私は演じながらも、完成したものを見るときも、涙を流す時間が多くなる気がしています。

泣ける物語は好きで、涙を流すことは好きなので、純粋に「こういう物語に参加できることが、うれしいな」と思っています。山田さんはどうですか?

山田:僕は単なる恋愛ものだったら絶対にやっていませんでした。でもこの作品は、人の関係性や、愛情の部分を見つめられるドラマだなと感じたからやりたいと思ったんです。

「心を奪われる」ということは想像することしかできないですが、想像するということは人のことを思ったり、考えたりすること。今の世の中、そういうことが欠落していると思っていて、「もう1回見つめ直しましょう」と提示できるドラマになっています。僕はそういう作品に携わることができてうれしいです。

──本作の舞台となる長崎に対する印象、長崎での撮影で楽しみにしていることはありますか?

永野:祖父が長崎出身で、仕事でも一度行ったことがありました。そのときに私自身は生まれたときから東京にいますが、仕事で行ったときに“帰ってきた感”があったのを覚えています。祖父の故郷で撮影できるということに縁を感じますね。

そして何より、麺が好きなので、ちゃんぽんを食べるのがすごく楽しみです!

山田:僕もラーメンとか麺が好きなので…でも、体重を落とさなきゃいけないから、食べられないかな。

永野:そんな現実的な話しないでください!1回くらい食べましょうよ。

山田:そうだね。1回くらいね。長崎での撮影、楽しみです!

──改めて、今回共演すると聞いたときの心境を聞かせてください。

永野:私が演じる雨ちゃんという女の子は背負うものが大きくて、きっと現場でも苦しくなる瞬間があるだろうなと思っていましたので、太陽くんを演じるのが山田さんと聞いて、すごく安心しました。

寄り添いながら、引っ張ってくださるだろうなと想像できましたし、とても心強く、実際に撮影も山田さんのおかげで順調に進んでいます。

山田:その言葉が聞けて良かった!

逆に芽郁ちゃんが雨ちゃんを演じると聞いて、僕も安心感しかありませんでした。以前共演したことで空気感は知っていますし、あとはお芝居の中で、それ以外の場面でもどれだけ芽郁ちゃんが抱えているものに対してフォローできるかなと思っていて。だから、今の言葉はうれしかったです。

──それぞれの役について、どのような人物と捉えて演じていますか?

永野:雨ちゃんは、幼少期から「自分なんて」と自分を卑下しながら生きてきた人です。だから笑うってことも、笑えるけど、本当の笑い方を知らないという、心の中にいろいろなものを秘めた女性だなと感じています(と言いながら、山田さんを見る)。

山田:話し方が難しいよね。

永野:そうなんです。でも、誰かのために、太陽くんのために心を差し出す強さもあり、その強さと、儚さと、弱さのバランスが、実は人を惹きつける女性だなと思います。

山田:僕は、「太陽」という名前だからといって無神経にピーカン照りでいるのは嫌だなと思っていて。雨に対してものすごく繊細に接しなければいけないですから。

明るいだけでなく、夏は暑く、春や秋はちょっとぽかっとする暖かさがあって、冬は寒いけど「陽が出ていてくれてよかった」と思えるような、本物の太陽にもいろいろな顔があるように、太陽くんもいろいろな顔を見せながら、雨ちゃんに寄り添いたいな、と。それがうまく表現できたら太陽くんが魅力的に見えるのかなと思っています。

あと、一つ心配があって。33歳で高校生をやるので…ファンタジーとして見ていただけたらうれしいです(笑)。

永野:高校生に見えますよ!

山田:そう?よかった(笑)。ありがとう。