本仮屋ユイカ インタビュー

――このシリーズはファンも多い作品ですが、番組を見て愛美さんの“弟子”となった女性も登場しました。

番組を見て、愛美さんやストリップのファンになったという女性が増えたとも聞きますし、(「星組」の中心的な人物で一昨年亡くなった)スーさんの妹さんも、『ザ・ノンフィクション』を見たことでストリップに対する印象が変わったとありました。

やっぱり、プロの人たちが作る映像の力は大きいものなんだと痛感しました。

よく聞いていただいたらわかるかもしれませんが、「この番組で」というナレーションの私の声に、少し“どや感”出ちゃっていると思います(笑)。

――本仮屋さん自身も、番組を通じてファンになり、実際に踊る愛美さんを見に行きましたね。

そうですね。その後は、まだ行けていないのですが。

ファンの方のなかには、愛美さんの体調をおもんばかって、「踊らなくていい。おしゃべりだけでもいいから」という方もいて、私自身、ファンとして同じ気持ちではありながらも、演者としての「それでも動きたい」という気持ちもわかりますので、ナレーションを読みながら葛藤もありました。

でも、だからこそ、ナレーションを担当できて幸せです。ナレーションの醍醐味は、登場人物の人生の岐路に一緒に立てるような気持ちになれることで、そこにその人の気持ちが出てくることもすごく好きです。

こんなに愛が交差する愛美さんのVTRに声を出せるのは、幸せなことです。

――後編は、特にVTRの臨場感が増しますね。

そういう意味では、後半のナレーションは少ないんです。それは、愛美さんがご自身の行く先を宣言なさっていて、その姿に本当の意味で寄り添っているからだと思います。

人間としての真価が問われるような状況のなかで、愛美さんの美しさ、素晴らしさは、研ぎ澄まされて、神々しさを放っていらっしゃるので、私はとにかく邪魔をせず、愛だけをもって、たたずむような気持ちで読むことを心がけました。

――この作品は、2024年の最初に放送されるシリーズです。そこへの思いと、ご自身の抱負があれば教えてください。

コロナ禍が収まって、社会生活も復活しましたけど、経済的な問題などもあり、いろいろ大変ですよね。そんななかでも、一歩前に進んでみようか、ちょっと立ってみようかという気持ちにさせてもらえる力強い作品だと思いますし、繰り返しになりますが、そこに参加させていただけて、本当に光栄です。

私自身のことで言いますと、昨年末から「抵抗しない」ということをしています。今までは、何かつらいことが起こると、それに抗(あらが)ったり、拮抗したりすることで、エネルギーを生み出し、モチベーションに変えてきたところがあるんです。

でも、それをやめて起こったことに対して、思うことはあっても、抗うのではなく、自分を信じて「身を委ねよう」と決めたんです。そうすることで、心に余裕ができて、そのエネルギーをクリエイティビティに使うことができるんじゃないか、と。

2023年の末からそうできるように訓練をしてきたので、2024年は自然にできるようになるんじゃないか、と自分に期待しています。

愛美さんの大きな進化を見せていただいたので、私自身も器を大きくできるようにチャレンジしていければいいと思っています。

ナレーションの一部を先取り公開

予告動画

YouTube「FUJITV GLOBAL CHANNEL」で、『ザ・ノンフィクション』の予告動画を配信中!1月14 日(日)14時~「私が踊り続けるわけ3~57歳のストリッパー物語~ 後編」予告