誰よりも役を愛しているから「太陽の気持ちで分からないことはない」
──太陽を演じるうえで意識していることは?
太陽は、雨ちゃんにも、見ている方にも、愛されなければいけないので、そこは意識しています。
見ている方からすると、いろいろなものを失っていく雨ちゃんの近くにいて、太陽は気づかない時間があり、「気づけよ!」と思われることもあると思うんです。太陽に本当のことを言えないという雨ちゃんの思いもありますけど。
でも、雨ちゃんはこれからどんどん五感を失っていくので、撮影もテクニカル的な面で大変なことも増えていくわけで。そういうときに太陽はどういう存在でいなきゃいけないかというと、すべての人から見て“絶対的にいい人”と思われなければいけないと思うんです。
少しでも「こんな人に好きになられても」と思われてしまったらこの物語は終わってしまうので、どんな一瞬の表情も、声色も、言葉の一音たりとも嫌われちゃいけない。僕の人間力やどれだけ“いい人”かがすごく試されるなと感じていますし、僕の人間味すべてが注ぎ込まれています。
──自分自身を見つめながら、役を全力で愛して、演じている感じですね。
どんな役でも、自分が演じる役は誰よりも愛しています。だから、太陽の気持ちで分からないことはないです。ただ、表現をするのは難しいですね。
これから先、徐々に五感を失っていく雨ちゃんを前に、太陽は泣いてしまうのか…。きっといつか、自分のせいだと知るときが来ると思いますが、そのときにどんな顔をするのか。それだけはやってみないと分からないです。
──未知のものに挑んでいるという感覚なのでしょうか?
五感を無くしていく雨ちゃんのほうが未知だと思いますが…触覚がなくなると、地に足がついている感覚すら分からないので、立てなくなるとお聞きしました。そういう状態になった雨ちゃんの隣で、太陽は「大丈夫だよ」と笑顔を見せていなければいけないんですよね。
前半を撮影している今ですら、現場ではスタッフさんが「しんどいね…」と雨ちゃんと太陽を見て言っています。2人は苦しすぎて、抑えきれなくてボロボロ泣いていて。そういう状況ですから、物語が進んだらどうなるのか…すごく心配です。
──もし雨と同じ境遇になったとき、山田さんは“心”を差し出すことはできますか?
言い方が難しいのですが、この世に未練も後悔もなく生きていますから、大切な人のためなら迷いなくスッと差し出すかもしれないです。