菜々緒さん主演、鈴木伸之さんが出演する木曜劇場『忍者に結婚は難しい』の、セット&デザインの秘密に迫ります。

本作は、現代に生き永らえる“忍者の末裔(まつえい)”というコミカルな世界観の中で、主人公の夫婦が表と裏の顔の二面性を持ち併せて織り成す忍者×夫婦ラブコメディです。

この記事は、フジテレビジュツのヒミツから引用し、構成したものです。

『忍者に結婚は難しい』の美術スタッフ

デザイナー:飯塚洋行

美術プロデュース:吉田敬

アートコーディネーター:渡邊康典

大道具:内海靖之

大道具操作:廣瀬隆宏

建具:岸久雄

装飾:西村徹

持道具:アライリエコ

衣裳:池ノ上菜々

ヘアメイク:宮沢愛海

視覚効果:川上勝大

電飾:寺田豊

アクリル装飾:池澤明徳

小道具印刷:石橋誉礼

植木装飾:後藤健

生花装飾:牧島美恵

フードコーディネーター:山﨑千裕

(敬称略)

ビジュツのヒミツ① 忍び夫婦が暮らす「からくりハウス」

現代社会にも“忍んで”生活している、忍者の末裔(まつえい)の棲家(すみか)。

草刈蛍(菜々緒)、草刈悟郎(鈴木)夫婦が暮らすのは、一見フツーのリノベーションハウスでござる。

1Fのリビングは、広々としたつくり。蛍の“バイブル”である司馬遼太郎さんの著作も並ぶ書棚もお洒落です。

リノベ前の古家の雰囲気が感じられるのが、庭に続く縁側。濡れ縁(ぬれえん)もあっていい味を出しています。

ちなみにこの濡れ縁は、セットユニットを倉庫から引っ張り出して“雨汚し”のエイジング加工で仕上げました。

趣味のキャンプがきっかけで接近した蛍と悟郎。庭には、キャンプセットも常備されています。

各所に忍者ならではの仕掛けが!

この広々としたリビング、「さすがに2人で住むには、広すぎるだろう」と言うなかれ。忍者ならではの仕掛けが、各所に施されているのです。例えばこの棚。

隠し扉の奥には、“忍びアイテム”がズラリ。「伊賀」の夫がしっかり継承しているのです。

さらに、2Fの寝室には、隠し棚が。自らを鍛錬するための器具がそろっています。

“昔”と“今”が共存した「現代版からくり屋敷」。これらを使ったシーンで、演技に影響が出ては一大事ですから、美術スタッフは、道具の手入れと仕掛けのメンテナンスに余念がありません。

これは、戦国の時代から受け継がれてきた教えでございます。

田楽返し(でんがくがえし)で出現する的は「棒手裏剣」専用。

実は、この写真の中には、スチロールで作ったダミーも数本混ざっています。見分けられたら、かなりのツワモノとお見受けする。

服の袖からサッと出すための仕掛けには、リストバンドを使いました。小道具づくりも“昔と今”のミックスで。

刺さっているように見せかけるために、先端を落としたものもあります。「刃落とし」の手裏剣を使えば、こんなカンジに。

時代劇でもよく使われる、ビジュツの技のひとつであります。

これだけ広いリビングですから、忍者夫婦による「伊賀VS甲賀」の大立ち回りが繰り広げられても大丈夫ですね。御意!

ビジュツのヒミツ② “忍び”テイストを美術セットのあちこちに

地下へ続く階段を降りると、そこは忍者ワンダーランド。

巷で流行っているという忍者居酒屋「NINNIN」には、末裔たちもやってきます。

「外国人がイメージする変な日本」「アジア多国籍なネオン商店」というコンセプトでデザインしました。

目を引くのが、エキゾチックなネオンサイン。リアルネオンでなく、電飾スタッフがチューブ状のLEDで作りました。LEDなので、やろうと思えば色も変えられます。

「忍びの教え」らしき書の額縁や、忍者刀を売る店の看板など、それっぽいアイテムで飾られていますが、正統な末裔たちには「誤解を生む間違い」が気になってしょうがないという“それっぽさ”を意識しました。

忍者装束の店員が披露する「NINNINパフォーマンス」用に、通路が広くなっております。

壁面では、パフォーマンスを盛り上げるための映像ショーが。

そこに“とある呪文”が出てくるのをご存知ですか?「え?唱えられる?」それは、おみそれいたしました。

スタジオにはもうひとつ、蛍の父親・竜兵(古田新太)が住む家のセットが建っています。

お酒大好きの竜兵が暮らす和室は、アジト感満載。末裔の姉妹(ともさかりえ、山本舞香)もよくやって来る「甲賀」の集い場は、和骨ユニット(※)が活躍しております。

※和風建築用の組立てセット

どうやら天井裏には、隠れ場所か通路があるらしい。そういえば、親父殿の登場も天井からでしたね。

インフルエンサーの妹の動画配信基地も兼ねているので、配信グッズも常備しています。もちろん、リングライトもあります。

配信の人気企画「忍者解説」では、「伊賀」と「甲賀」の基礎知識も。

イラストを使ってかわいく、わかりやすく。

このイラストは、フジアールの女性デザイナーが担当。配信数が伸びるよう頑張っておりまする。

この雑然とした部屋のあちこちに、「甲賀」の妻(蛍)が使う忍びアイテムが隠されているとの情報。

正解は、押入れの中。襖を開けると、そこには甲賀の紋の内扉が。意外とハイテクな現代の忍び。まさか(第1話で蛍が偵察のために飛ばした)ドローンもここに?

この隠し扉、実は引き枠にのせてあります。中身を撮影しやすいように、まるごと引き離せる作りでござる。

「現代社会」と「忍びの世界」のマッチングは意外と楽しい。美術スタッフ一同、街で忍者ブームが起きることを、密かに期待しています。ニンニン!