入院中はヨーグルトカップと厚紙を使って創作

2000年代後半から、舟越さんはスフィンクスをモティーフとした作品の制作を開始しています。「世界を知るとは?」というスフィンクスの問いかけに「自分自身を知ること」と少女が答える場面に感銘を受けた舟越さんは、両性具有の身体と長い耳を持った、人間を見続ける存在としての「スフィンクス」を題材にした作品を多く残したそうです。

「遠い手のスフィンクス」

そうした人物像から離れて、舟越さんが家族のために作ったおもちゃを集めた展示室でくすっと笑える作品を発見しました。佐久間アナが興味を引かれたのが、木製のピノキオ。「立ったまま寝ないの!ピノッキオ!!」というタイトルも気に入りました。

ラグビーボールを裏返しにした作品「あの頃のボールをうら返した。」もユニークなのでぜひチェックしてみてください。

「立ったまま寝ないの!ピノッキオ!!」

そして、最後のコーナーにあるのが、舟越さんが、闘病中の病院でヨーグルトカップとティッシュの箱などの厚紙を使って作った作品です。舟越さんは昔から雲が形を変え、人の顔に見えるようになるのが好きで、病院でも窓の外を眺めながら、女性が横たわるイメージなどを膨らませ、ティッシュボックスなどの厚紙の裏側にスケッチし、ヨーグルトカップに切れ込みを入れて、台としました。佐久間アナはその最期の最期まで作品作りの意欲を失わなかった舟越さんの情熱に感動していました。

厚紙とヨーグルトカップで作った最期の作品

仕事場であるアトリエから、穏やかな表情の初期の作品、スフィンクスへと変貌する作風、お茶目なおもちゃ、と、舟越さんの彫刻家人生を網羅していると言ってもいいこの展覧会。舟越さんが私たちに伝えたかったメッセージは何だったのだろうか?そんなことを考えさせられました。11月4日までの開催です。

text by=Eiko Katsukawa

TokyoArtVibes♾️(@tokyoartvibes) • Instagram写真と動画