<高橋克実 コメント>
まず、すごく面白かったです。80年代の小劇場ブームの中で芝居をしてきた自分には、 「あのころの匂い」をどこか感じました。発想はぶっ飛んでいるのに、読んでみるととてもノスタルジックで読みやすい。全体はコメディタッチなのに、登場人物それぞれの思いや関係性がしっかり感じられて、かわいらしい脚本だなと感じました。
三枝は「犯人」ではありますけど、すごく悪意のある人間ではなくて…ある種の仕方のない暴走。本当はやらなくてもよかったのに、娘に会いたいという強い気持ちが、ああいう行動をとらせてしまった。人生って失敗やコケることの繰り返しですよね。 “そういう人生を歩んできた人”として体現できればと思って演じました。
「失敗してもまた挑戦すればいい」。この作品は、そんなまっすぐなメッセージをすごくあたたかく描いていると思います。脚本の石田さんの情熱も強く感じましたし、その熱が物語全体にしっかり息づいています。一見、突拍子もないように見えて、実はとてもベーシックで心に残るお話です。「ルーザー」と呼ばれた人たちが立ち上がっていく姿を、ぜひ共感していただけたら、うれしいです。
