シンガーソングライターの十明(とあか)さんが、デビューのきっかけとなった『すずめの戸締まり』から3年経った今の思い、才能を見出した野田洋次郎(RADWIMPS)さんとの共同作業について明かしました。
TikTokに投稿した弾き語り動画が注目を集め、アニメ映画『すずめの戸締まり』で「すずめ」のボーカルに抜てきされ、2023年7月に野田さんプロデュースでデビューを果たした十明さん。
多彩なソングライティングのセンスと繊細な歌声で注目を浴び、書き下ろした『GRAY』は現在、ドラマ『絶対零度〜情報犯罪緊急捜査〜』の主題歌に起用されるなど、活躍の場を広げています。
10月には2ndデジタルEP『1R+1』をリリースし、11月からはライブツアーも開催。唯一無二の世界観で活躍の場を広げる、十明さんの“現在地”を聞きました。
十明「怒りや悲しみだけじゃない感情をやっとわかってきた」
――高校時代のTikTokへの動画投稿をきっかけにキャリアをスタートしてから3年が経ちました。当時を振り返った今の気持ちを教えてください。
3年前に「音楽でやっていく」と決めてから、思いがけない出会いが多くありました。『絶対零度〜情報犯罪緊急捜査〜』の主題歌に起用された『GRAY』もそうですが、「何を表現したらいいのかわからない」という気持ちに直面した時にきっかけをいただくことも多くて。この3年間を振り返ると、本当に思いがけない素敵な出会いがたくさんあったなと感じています。
――その中でも十明さんの才能を見出した野田洋次郎さんとの出会いは大きなものだったと思います。野田さんのプロデュースを通じて、成長したことはありますか?
曲を作る際に、想像力が足りなくてどうしたらいいかわからなくなる時があります。洋次郎さんは、そういった時に、想像力を膨らませるきっかけを与えてくれます。自分だけではできなかった音楽を作れるように、新しいパターンや道を見せてくださっているなと、一緒に制作していてすごく感じます。
――具体的に、どういう部分で感じますか?
今回のEP『1R+1』でも数曲プロデュースをしていただいていますが、自分のイメージだけで進めてしまうと、「ありきたりになってしまうんじゃないか」という不安がある時に新しい提案をしてくださいます。もちろん作詞作曲の土台の部分でもアドバイスはありますが、主に編曲の部分で道を示してくれることが多かったです。
――『すずめの戸締まり』から、1stアルバム『変身のレシピ』、そして新作『1R+1』とリリースを経て、自身で成長を感じる部分があったら教えてください。
成長できているのかわかりませんが、「すずめ」がきっかけで世に出て、そこから自分で曲を作るとなった時に、思い詰めてしまった結果、すごく視野が狭い状態になっていました。
それを魅力として曲を制作していましたが、最近の曲制作で強く感じたのは、「自分の世界が大きく広がった」ということです。怒りとか悲しみだけじゃない感情をやっとわかってきたというか。少し遠くを見るという目線が生まれてきたのかなと。「すずめ」から『GRAY』までの期間を振り返るとそう思います。
――今の自分から見た「すずめ」はどういう印象ですか?
当然幼かったし、それが声の魅力として出ていたとも思います。声も感情もすごく「青い」というか「若い」のですが、それはフレッシュさのある、良い意味での「未熟」だと思っています。今も“熟している”とは言えませんが(笑)。
音楽人生を大きく変えた『すずめの戸締まり』、そして野田洋次郎さんとの出会いを振り返ってくれた十明さん。インタビュー後半では、2ndデジタルEP『1R+1』で実感した「新しい変化」について明かします。
