月9ドラマ『絶対零度~情報犯罪緊急捜査~』の主題歌『GRAY』が話題の、22歳のシンガーソングライター・十明(とあか)さんが楽曲制作の裏側を明かしました。

十明さんは、TikTokに公開した弾き語り動画が、新海誠さんと野田洋次郎(RADWIMPS)さんの目に留まり、映画『すずめの戸締まり』(2022年)の主題歌ボーカリストに抜てき。翌2023年にメジャーデビューを果たし、音楽シーンに新たな風を吹き込んでいます。

『絶対零度~情報犯罪緊急捜査~』のために書き下ろした『GRAY』では、儚(はかな)さの中に秘めた強さを表現。透き通った歌声も話題となっています。

めざましmediaでは、自身初となるドラマ主題歌の制作の裏側と曲に込めた思い、そして新たな挑戦が与えた影響について聞きました。

十明「自分のことを歌いつつ、誰かのことを歌っているような」

――まずは、主題歌のオファーを受けた際の感想を教えてください。

お話をいただいた時はとてもうれしかったです。曲がドラマの中でどのように流れるのか想像がつかなくて、初のドラマ主題歌ということもありプレッシャーを感じてはいたのですが、これまでの自分では作らなかったような曲を作れるという楽しさのほうが勝っていました。

十明

――楽曲を作るにあたり、苦労した点はありましたか?

「どういう目線から歌ったらいいのか」をすごく気にしました。主人公の目線なのか、それとも社会的なことを訴える目線なのか。成河広明プロデューサーと何回も話し合い、試行錯誤して作りあげました。

この曲は、個人的なものではなく、誰かになりきるわけでもないため、「歌詞に一人称は入れない」と、プロデューサーともお話したうえで決めましたが、「自分のことを歌いつつ、誰かのことを歌っているような曲」になるようにと、作詞面でもすごく難しく感じました。

――「思いがけないものと繋がってしまった時、私たちは何を信じればいいのか、その思いをこの楽曲に込めました」とコメントしていましたが、その着想はどこからきたのでしょうか?

ドラマのテーマになっている「情報犯罪」は “身近なもの”だと感じました。日常的に、スマートフォンには知らないメールや電話がかかって来ることもあり、「何と繋がっているのかわからない」と思うことがあると感じています。そういった、“恐怖”みたいなものを曲にしたいなと思いました。

――ちなみに、タイトルの『GRAY』はどこから?

元々灰色が好きで、普段から着ている服も灰色が多いんです。今日もそうですね(笑)。私にとって安心する色であり、「真っ暗ではない暗さ」みたいな意味を感じて好きな色なので、この曲のテーマにもピッタリだなと思って『GRAY』としました。

十明

――ダークでミステリアスな中にも、血が通っているような、希望を感じる曲に仕上がっている印象です。実際にドラマで流れているのを見た時はどう思いましたか?

ドラマの終盤、まさに「次はどうなるのだろう?」という、物語が進んでいくきっかけのタイミングで流れたことがうれしかったですし、改めて自分の曲が物語と溶け合うのを見て感動しました。

――ドラマを見た周囲の反響はどうでしたか?

家族と一緒にリアルタイムで見ていましたが、母は喜んで「すごいね」と泣いていました(笑)。あとは、動画やSNSに寄せられたコメントで、「ドラマから見つけて来ました」とか、「素敵な声だなと思って来ました」と言っていただけて、リスナーとの繋がりを感じてとてもうれしかったです。こうして新しい機会をいただけるのは、本当に幸せなことだなと実感できました。

――「新しい機会」とのことですが、新しいことへの挑戦には緊張と楽しみのどちらが勝つタイプでしょう?

心の底にある不安が時々ちらついてしまうことはありますが、基本的には楽しみが勝っているタイプだと思います。

十明

『GRAY』制作にあたっての思いを明かしてくれた十明さん。インタビュー後半では、曲作りの過程で発見した「新しい自分」、沢口靖子さんも絶賛した歌声について語ります。