40周年を迎えた今では、日本国内にとどまらず世界80以上の国と地域で発売されるほどに人気ぶり。
長年愛されるために、ものづくりの細部までのこだわりは守りつつも、時代に合わせて人形の衣装デザインや家電なども変化させているといいます。
エプロンの装飾がなしに!時代に合わせて人形の服装が変化
衣装については、「昔は着用している衣装のスカート部分にデザインとしてエプロンをつけていました。ただ、お母さんがエプロンを着けていることが一般的だった時代から40年の月日の中で多様な世の中に変わり、“お母さんが家事をしなきゃいけない”といった固定されたイメージを視覚的に与え過ぎないよう意識しております」(前さん)と話します。
実際に初代と現在の服装を見比べてみると・・・
エプロンがとられ、リボンの装飾が施されています。
また、当初は黄色の花柄ワンピースのシンプルな装いでしたが、今ではトップスとスカートの切り替えや、スカートの裾のトリミングやレースの装飾があったりと華やかに変化。
技術の向上に伴い、よりこだわったデザインの洋服が増えています。
家電も進化!改良のポイントは“保護者が子どもに説明できるもの”
そして、日々の生活の中で欠かせない家電。
“子どもが遊びの中で生活を再現しやすいようにしたい”という思いから家電も進化をしています。
シルバニアファミリーの世界では基本的に、“今よりも少し古い時代を表現”しているんだそうで、1987年に発売されたのは、洗濯機ではなく洗濯板や物干しざおのセットでした。
画像提供:エポック社
その後、1997年には、二層式洗濯機へと変化。
そして2018年には、くるくる回るドラム式洗濯機とハンディタイプのそうじ機とのセットが登場しています。
時代の流れと共に、シルバニアファミリーの世界でも変化する家電。
どのようにして改良を決めているのでしょうか。
「あまり古すぎると、お子様たちがどのようにして遊べばいいのか分からなくて、それはそれで遊びが止まってしまうので、古くなりすぎず、保護者の方に使い方を聞いたら分かる程度の古さにするということです」(前さん)と話します。
ただ、改良を進める中でもシルバニアファミリーの世界に馴染むデザインを心がけているということです。
シルバニアファミリーらしさにこだわりつつも、変化するべきところは柔軟に変えていく。
その柔軟な考えが長年にわたって愛されている秘訣なのかもしれません。
40年間変わらず大事にしてきたことは遊びの世界への“没入感”
ここまで、進化してきた衣装や家電を紹介してきましたが、40年前の開発当初から今まで大事にしてきたこと聞くと、それは遊びの世界への“没入感”だといいます。
「現実世界での生活を遊びにも落とし込めるように、例えば家具や家電は自分たちが生活の中で使っているものや、絵本の中で見たものに近しいものにしたり、家具一つをとっても、棚や引き出しは実際に開けられる仕様になっていたりと、作り物だと感じさせないこと。遊びへの没頭や、夢から覚めさせないことを心がけています」(前さん)と話します。
画像提供:エポック社
確かにおもちゃでも家具の引き出しが開いたりすると、なんだかワクワクしますよね。
子どもが遊びの世界に没頭できることはもちろん、大人の観賞の目にも耐えられるように、家具や家電、衣装など一つ一つ繊細に作られているからこそ、幅広い世代がとりこになるのかもしれませんね。
