森川葵さんが、“介護”について、感じたことを明かしました。

森川さんは、8月7日(日)14時~放送の『ザ・ノンフィクション「ありのままでいいじゃない ~いしいさん家の人々~後編」』(フジテレビ/関東ローカル)の“語り”を担当。

<【前編】森川葵「いいところを見つけてあげる愛情」『ザ・ノンフィクション』で思う>

認知症や統合失調症などを患い、家族やほかの施設の手におえない利用者を“ありのまま”受け入れ、お世話する「いしいさん家」の物語です。

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理想と信念を貫こうとする「いしいさん家」が危機的状況に…

千葉県にある「いしいさん家」は、認知症や統合失調症などの利用者を預かる介護施設。ここには、暴力・暴言といった問題行動を理由に、他の施設から“お断り”された人たちが集まっています。

一風変わったこの施設を運営するのは石井英寿さん(47)。既存の介護施設のありかたに疑問を感じ、「誰もがありのままに過ごせる場所を」との理想を掲げ、16年前に立ち上げました。

怒鳴る・暴れる・徘徊する…そんな利用者に対しても石井さんとスタッフは笑顔で接し、ほかの施設にはない介護を実現してきました。

しかしある日、統合失調症の男性(46)がスタッフに手をあげてしまいました。さらに、ほかの利用者の問題行動も激しさを増し、スタッフたちの不満が爆発。「利用者は守るのに、私たちスタッフは守ってくれないのか」。

理想と信念を貫こうとする石井さんと現実に向き合うスタッフは対立し、5人のスタッフが退職してしまう事態に。危機的状況に陥った「いしいさん家」。孤立した石井さんは不眠不休で働き続けますが…。

理想と現実のはざまで揺れる介護施設の1年に密着しました。また、フジテレビュー!!では、ナレーション収録後の森川さんに話を聞きました。 

<森川葵 インタビュー>

<森川葵インタビュー前編>

――読んでいてつらくなるような場面はありましたか?

統合失調症の男性が、自宅では抑えていても、「いしいさん家」に来ると暴れてしまうというところで、石井さんに対して甘えているからなんだろうと思って。

石井さんも男性を理解して、受け入れようとするけど、それでまた男性を甘えさせてしまってうまくいかなく、いたちごっこのようになってしまう場面は、読んでいてつらかったです。

お互いを思い合っているはずなのに、歯車がうまくかみ合わなくて、つらい思いをしてしまう。胸が苦しくなりました。

――前後編のナレーションを読んで、気づいたこと、学んだことはありますか?

愛情です。その人のいいところをちゃんと知っていると、その人がどんな状態になったとしても、相手を好きでいて、思いやることができるんだって。簡単に人は人を捨てないんだって。

こうやって元気に生きていると、ちょっと仲が悪くなったら、簡単に疎遠になっちゃったりしますけど、でも、介護や障がいといった壁があることで、その人のいいところを理解しようとして、そうすることで逆につながりが深くなることがあるんだって。

困難な状態にあるときほど、愛情を感じたり表現したりするきっかけになるのかもしれない、と思いました。

――介護についてはどんなことを感じましたか?

石井さんがおっしゃっていたように、死が近づいてきている年齢になったら、(制限を課して)つらい思いをさせるのではなく、好きなように自由にさせてあげたいという。

自分の母親に置き換えて、もし母が外出したいというなら(困難があっても)そうさせてあげたいし、薬を飲みたくないというなら、本人の意思を尊重してあげたいと私は思います。

そうやって、本人の意思をそのまま受け入れてくれる施設があるというのは、本人はもちろん、家族にとってもありがたいことですし、こういう施設が増えたらいいなとは思いました。ですが、現実はすごく厳しいんだ、ということもわかりました。

――いしいさん家は、“ありのまま”を目指していますが、森川さんにも“ありのまま”という、自然体を感じます。そのあたり、どのような意識がありますか?

自分でイメージを作り上げてしまうと、それを守らなきゃいけなくて、疲れちゃうんじゃないかな、と思っています。

お芝居をするときにでも、(イメージとの落差を)嫌だな、と思う気持ちが湧いてきてしまうんじゃないかなって。

だったらもう、自分を作るのではなく、出してしまうことで、どのくらいの方に受け入れていただけるかわからないですけど、苦しむよりいいかな、と思って、いつからか、自分を偽らないようになりました。

やっぱり、そのままでいられることが人間にとってストレスフリーな状態ですので、ありのままっていうのはすごく大事なことかな、と思います。

<ナレーションの一部を先取り紹介>