テレビアニメ『しゃばけ』で声優を担当する山下大輝さんが、主人公・一太郎を演じる際に意識したことを語りました。

テレビアニメ『しゃばけ』は、シリーズ累計発行部数1000万部を突破した、畠中恵さんによる同名の大ベストセラー小説が原作。吉川英治文庫賞や第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞したほか、ドラマ、舞台、コミカライズなどさまざまなメディアミックス展開がされてきた江戸妖怪推理帖です。

生まれつき身体が弱く外出もままならない、日本橋有数の大店(おおだな)である長崎屋の若だんな“一太郎”が、妖(あやかし)たちの助けを借りて、江戸で起きた怪奇的な殺人事件を解決していきます。

本作で、一太郎を演じる山下さんにインタビュー。『しゃばけ』の魅力、アフレコ時のエピソード、そして、山下さんが感じる声優の魅力などを聞きました。

山下大輝 『しゃばけ』の面白さに「のめり込んだ」

──オファーを受けた際の心境、原作や台本を読んだ感想を聞かせてください。

僕はお話をいただくまで『しゃばけ』を知りませんでした。オーディションを受けるにあたり、時代背景などもしっかりした時代劇作品で、ミステリー要素もあり、妖も出てくるということを知って、面白いなと思いました。

絵柄においては、多くの人が受け入れやすいキレイな絵柄で、その色彩も美しく、作品の温かさが伝わってきます。主人公の一太郎の周りに広がる世界は色鮮やかで、ステキな世界なんだろうな、と。そうやって一つひとつ知っていくうちに、作品にのめり込んでいました。

──特に魅力的だなと思ったポイントは?

時代劇、ファンタジー、ミステリー、どの要素もしっかり本筋として構成されているところです。妖が見えてしまう体質の一太郎が、自分の生い立ちの原点にあるものを知りたいという欲を持っていて、そこにミステリーが深く絡んでくる。そのミステリーを解決するには妖たちの力を借りなければならなくて、でもいつも身近にいる妖たちとすれ違うこともあって。すべての要素が、絶妙なバランスで作用しあっているんです。その完成度の高さが魅力的だなと思いますし、だからこそ、原作が発売されて以降25年愛され続けてきたんだなと思いました。

あとは、ユーモアあふれるキャラクターばかり。まだ放送が始まったところですが、これから先もまだまだ一太郎を演じたいと強く思っています。

──一太郎を演じる際に意識したことはありますか?

一太郎はプロフィールに「病弱」「大店・長崎屋の跡取り息子」「妖が見える」と書かれて、見た目も気弱そうな印象を受けると思います。ただ、メンタル的には全然病弱じゃないんです。むしろ、気持ちはいつも前に向いているし、何かあれば飛び出していくくらい猛者なんです。体の弱さをもろともしない意志の強さを持っている子。これが一太郎の一番好きなポイントで、大事にしているベースですね。

そのギャップがあるので、絶対に弱く演じることはしたくないと思っていて。病状によって弱々しくなってしまうこともあるかもしれないけど、本来は弱くないですから。一般的な人の“全開”とは比べものにならないくらい低いかもしれないけど、彼なりの“全開”を意識しました。