――大竹さんとは何度か共演経験がありますね。
しのぶさんは、お芝居の最中は役に憑依しているように見えますが、とても冷静な目を持っていらっしゃる方だと思います。『GYPSY』でご一緒したときも、「あそこ、こうしたらもっと良くなるんじゃない?」と意見をくださって、たくさん話し合いをさせていただきました。
『リア王』も難解な作品なので、私がいろいろ悩んでしまうところがあると思いますし、リア王とコーディリアの関係性は作品の中で大事な部分だと思うので、いろいろお話をさせていただきながら、丁寧に作っていけたらいいなと思います。

――宮沢りえさんら、多彩なキャストが勢ぞろいします。
りえさんは、今年5月に出演されていた舞台『昭和から騒ぎ』を観に行ったときに、ごあいさつをさせていただきました。とても優しくて柔らかい印象の方なので、いろいろお話しできるのが楽しみです。
本当に素晴らしい先輩方がたくさんいらっしゃるので、皆さんが演じている姿を見つめているだけで、勉強になると思います。普段どんなことを考えているのか、どういうことに興味を持って生きているのかなど、時間が許す限りお話を伺いたいですし、皆さんとお芝居で対峙して生まれるもの、にじみ出るものを大切にしていきたいです。
生田絵梨花 気持ちを手紙で伝えようとするも「文豪のように…」
――自身が演じるコーディリアはどんな人物だと思いますか?
とっても誠実で、愛に対して真っ直ぐな女性だと思います。
リア王は、父への愛を言葉巧みに述べる長女・ゴネリルと次女・リーガンには国を分け与え、「何もない」と言うコーディリアのことは勘当します。でもコーディリアは父に対して愛がないのではなく、本当に大事に思っているからこそ言葉にできない、そういう気持ちにウソをつきたくないのだと思います。
私自身も言葉にすることの難しさを日々感じていて、「もうちょっとうまく話せたらよかったな」と思うことがあるので、その感覚を役に紐付けながら、演じられたらと思います。

――生田さん自身は普段、どのように気持ちを伝えるタイプですか?
なかなかうまく伝えられないのですが、節目などで「ちゃんと伝えたい」と思ったら、急に感謝を口にしはじめるので、相手からは「どうした?何があった!?」と驚かれます(笑)。あまり器用ではないので、伝え方が変な感じになってしまったり…。
お手紙を書くこともありますが、ものすごく時間かかります。サッと書けたらカッコいいんですけど、まず内容について何日も悩んで…(苦笑)。1回書いてみて「なんか違うかな?うまいこと書けない!」と思ったら、文豪のように紙をクシャクシャっとして投げてもう1枚書いたり(笑)。伝えるって難しいですけど、やっぱり思っていることは形にしないと伝わらないと思うので。
――逆に、人から受け取って嬉しかった言葉はありますか?
「いつも同じところで行き詰まっちゃう」とか「本当はもっと颯爽と歩いていきたいのに!」と、ネガティブなことを考えていたとき、周りの方から「それが生田絵梨花じゃん」「いいじゃん」みたいな言葉をかけてもらって、すごく安心しました。ありのままで進んでいいんだと思えて。あたたかく見守ってくれる人たちがいるということが心強く、自信にもつながりました。
撮影:YURIE PEPE
ヘアメイク:富永智子
スタイリスト:有本祐輔
衣装:
・ドレス¥215,600 VICTORIA BECKHAM/ヴィクトリア ベッカム(イーストランド)/03-6231-2970
・シューズ¥9,900 CHARLES & KEITH/チャールズ&キース(CHARLES & KEITH JAPAN/チャールズ&キースジャパン)
・イヤリング¥15,400、リング(ミックス)¥22,000、リング¥12,100、いずれもTEN. (TEN.)/092-409-0373
公演概要
Bunkamura Production 2025 DISCOVER WORLD THEATRE vol.15『リア王』NINAGAWA MEMORIAL

作:ウィリアム・シェイクスピア
上演台本・演出:フィリップ・ブリーン
出演:大竹しのぶ、宮沢りえ、成田凌、生田絵梨花、鈴鹿央士、
西尾まり、大場泰正、松田慎也、和田琢磨、井上尚、吉田久美、比嘉崇貴、青山達三、
横田栄司、安藤玉恵、勝村政信、山崎一
【東京公演】 2025年10月9日(木)~11月3日(月・祝)/THEATER MILANO-Za(東急歌舞伎町タワー6階)
【大阪公演】 2025年11月8日(土)~16日(日)/SkyシアターMBS