生田絵梨花さんが、「いつかは挑戦してみたかった」というストレートプレイへの意気込みを語りました。
俳優、歌手としてさまざまなフィールドで活躍する生田さん。ドラマ『明日はもっと、いい日になる』(フジテレビ)、映画『ブラック・ショーマン』など出演作が相次ぐなか、舞台『リア王』でストレートプレイ(歌やダンスがなく、セリフを主とした舞台)に初めて挑みます。

シェイクスピアの四大悲劇のひとつである『リア王』。ブリテンの王・リア(大竹しのぶ)が、長女・ゴネリル(宮沢りえ)と次女・リーガン(安藤玉恵)に裏切られ、狂気の淵をさまよいながら、人間の“光と闇”を見出していく物語です。
リアを助けようとする実直な三女・コーディリアを演じる生田さんにインタビュー。本作への意気込みや、『リア王』に対する印象、役柄にちなみ、自身の気持ちの伝え方などを聞きました(前後編の前編)。
生田絵梨花「何倍も時間をかけて台本を読んでいる」
――生田さんはミュージカルに数多く出演してきましたが、ストレートプレイは初です。
いつかは挑戦してみたいとずっと思っていましたが、まだ怖さもあります。ミュージカルだと、メロディがお客さんの心を乗せてくれて、自分も一緒に導いてもらえる感覚があります。でも、ストレートプレイは佇まいや言葉で登場人物たちと心を交わし、お客さんと心をつなげなければならない。私にとっては今回、一番の試練だと思います。
初めて挑戦する作品が『リア王』で、しかも、そうそうたる先輩方とご一緒できるというのは、とても光栄なことです。今はまだ不安と楽しみが半々ですが、楽しめるところまで行けたらいいなと思っています。

――最初に台本を読んだとき、どんなことを感じましたか?
シェイクスピアの作品は詩的で美しい反面、難解な部分もあるので「これってどういう意味なんだろう?」と考えながら、普段の何倍も時間をかけて台本を読んでいます。コーディリアのセリフを自分の心と体にどう落とし込んでいくか…未知の領域です。
『リア王』で描いているのは、現代にも通じる問題
――『リア王』に対する印象を聞かせてください。
「あとちょっと違っていたら、運命が変わったのに!」と、誤解によって生じるすれ違いに、すごくもどかしい気持ちになりました。でもそこが、人間の心理を突いている。愚かさや弱さを表しているのかなと思いました。
『リア王』の時代は、現代のように情報や考え方を幅広く知る手段がないので、ちょっとした物言いの違いや言伝(ことづて)から“ひずみ”が生まれやすかったのではないでしょうか。
今の時代も、又聞きしたり、ネットの一部の情報だけを鵜呑みにしたりして、先入観で物事を見てしまいがちかもしれません。真実は違う可能性もあるし、やっぱり自分の目で見て、自分の耳で聞かないと分からないこともあるので、『リア王』で描いていることは、現代にも通じる問題なのかなと思います。

――公式コメントに「フィリップ・ブリーンさんの演出が楽しみ」とありました。
以前、ミュージカル『GYPSY』(2023年)で大竹しのぶさんとご一緒したのですが、その時にしのぶさんが、フィリップさんのことを「すごく信頼している、大好きな演出家さん」とおっしゃっていて。稽古もとても楽しいとお話しされていたので、私もいつかご一緒したいと思っていました。フィリップさんとしのぶさんのタッグに自分も参加できることが、本当に嬉しいです。