BiSHのセントチヒロ・チッチさん、アユニ・Dさんがお互いの主演作を観た感想を語りました。
BiSH初の主演オムニバス映画「BiSH presents PCR is PAiPAi CHiNCHiN ROCK’N’ROLL」が、6月10日(金)に全国公開されます。
BiSHは、 2015年3月に結成した“楽器を持たないパンクバンド”で、チッチさん、アユニさんのほか、アイナ・ジ・エンドさん、モモコグミカンパニーさん、ハシヤスメ・アツコさん、リンリンさんの計6名からなる、アーティストグループ。 昨年12月には、2023年をもっての「解散」を発表しました。
本作では、メンバー1人ひとりが6人の監督とタッグを組み、それぞれが愛を込めて全力で主演を務めます。
メガホンを取るのは、映画界から「GO」、「世界の中心で、愛を叫ぶ」、「劇場」、「窮鼠はチーズの夢を見る」など、数々の名作を手がける行定勲監督。
そして、東京スカパラダイスオーケストラ、サザンオールスターズなどのMVを手掛ける田辺秀伸監督。KREVA、ASIAN KUNG-FU GENERATION などのMVを手掛ける大喜多正毅監督。MOROHA、藤井風などのドキュメンタリー作品を生み出すエリザベス宮地監督。BiSHの数々のMVやライブ演出を手掛ける山田健人監督。
さらには、所属事務所WACK代表の渡辺淳之介監督といった6名が名を連ねます。
ドラマ作品からアート作品まで、六人六色で魅せるBiSHの新しい一面を詰め込んだ作品が誕生しました。
今回フジテレビュー!!では、「見た目は真面目、中身は悪女、これでも彼氏は2人まで」担当のチッチさんと「僕の妹がこんなに可愛いわけがない」担当のアユニさんにインタビュー。映画に出演した感想や、お互いの作品について語ってもらいました。
「目の前のことに精一杯、誠心誠意込めて届ける」(チッチ)
――まずは現状を教えてください。2021年12月に、2023年をもっての「解散」を発表し、1月に“解散パーチー”の開会式をされてから、早くも5ヵ月が経ちましたが、いかがですか?
チッチ:BiSHの解散を発表してからは、どれだけ自分たちの思いとか愛情というものを、いままでBiSHを愛してくれた人、これから愛してくれる人に注ぐかということを1番大事にしていて。とにかく先のことよりも、目の前のことに精一杯、誠心誠意込めて届けることに集中しようと決めて、ツアーや仕事をさせていただいています。
アユニ:本当にありがたいことに、怒涛の日々を送らせていただいてて。終わりが明確になったからこそというか、今を生きるために必死で。今日を生きるためにもがき続けて、“明日を生きるために今日生きる”みたいな思いが、より強くなったかなっていう感覚があります。
――そんな充実した日々の中、本作が公開されますが、まず映画を撮ることになったきっかけを教えてください。
チッチ:明確に聞いたわけではなくて、なんかさらっと(事務所社長の)渡辺さんが言ってました。私が(事務所に)入った当初から「いつかお芝居の仕事がしたいです」と言っていて。
でも、ずっとライブしたりとか、それぞれにいろんな活動があって、スケジュールを組むのが難しい状況があって。そんな中で、渡辺さんが「じゃあ、みんなで映画やっちゃえば良くない?」って言ったんです。
その意見に「いいですね」となって、そこからみんなで「ディスカッションをしよう」と、やらせていただいたのがスタートです。
――撮影は、いつごろ行われたのですか?
チッチ:それぞれバラバラなんですよ。一昨年だっけ?
アユニ:2年前、3年前とかですかね。
チッチ:そうですね。コロナ禍になってしまったので、それがちょっと落ち着いてから、みんなスタートして。メンバーによって夏とか冬とか季節もバラバラですし、「この期限までに自由に時間を使ってやってください」っていう感じだったので、撮影時期はバラバラです。
「怖い部分もありました」(チッチ)、「監督から実態調査みたいな聞き取り」(アユニ)
チッチさんは、行定勲監督作の不倫関係にある男女の濃厚な文学的恋愛物語「どこから来て、どこへ帰るの」に出演。
――実際に撮影してみて、いかがでしたか?
チッチ:行定監督はBiSHのライブに来てくれたりとか、個人的に仲良くしてくださり、心を許している方で。(演じた)チヨという役柄も「私がどういう女の子なのか」を行定監督なりに考えて、設定してくださって。
セリフについても「チッチだったらどういう風に言う?」と相談してくれたり、服装もただの女の子ではなく、古着を着たりちょっと個性的な部分を出せたので、ガッツリお芝居をするというよりは、素の自分が持っているパーソナルな部分も織り交ぜながら、チヨをやってみました。
(自分を出すのは)怖い部分もありましたけど、すごく楽しみながら「今を噛みしめてやってみよう」って思いながら、体当たりで出演させていただきました。
一方アユニさんは、写真家の兄を亡くした妹の小さな成長物語「オルガン」に出演。
アユニ:私は監督がドキュメント映像をたくさん生み出しているエリザベス宮地監督だったので、宮地監督にしかできないドキュメント性が織り混ざった作品になったというか。
だから台本を作る前に、宮地監督と1対1で、実態調査みたいなことをされて(笑)。喫茶店で「アユニ・D以前の私という人間はどんなものか」みたいなことを、たくさん聞いてくださったりして。
そこで話した内容とか、実際に私もお兄ちゃんがいて、お兄ちゃんのことは「にいに」と呼んでいるので、そういう関係性なんかも作品に織り込んでくれました。
なので、私もガッツリ演技というよりは自分とリンクする、あーこという役を演じたので。そんなに苦しすぎず、私自身の人間性も尊重して作っていただけたので、楽しかったです。
「私、こんなアユニ見たことない」(チッチ)
――お互いの作品を観ての感想をお願いします。
チッチ:私はアユニのことも、宮地監督のことも、(共演者の)石川(竜一)さんのことも知っていたので、それぞれ人間としての純粋な部分が見える作品だなと思って。
生々しい表現もあったりするんですけど、「今、自然と笑ってしまってるんだろうな」と思う瞬間があったり、私も一緒に泣いてしまうシーンもあって。「心に刺さるってこういうことなのかな?」ってことをすごく考えました。
20分くらいの時間の中で描き切っている兄妹の愛っていうものがすごく美しくて。「私、こんなアユニ見たことない」と思って、そういう面でも感動しました。
アユニ:チッチの作品は映像がモノクロだったり、行定監督が描く愛の物語というか、オトナチックというか、すごく美しい作品だったんですけど。
チッチとは、もう6〜7年ずっと一緒にいて。身近な存在だからこそ、「過去イチの衝撃を覚えた作品でもあったな」という。あんなことやこんなことがあって、「私なんかが観るチッチではないな」と思って。顔を真っ赤にして、ニヤニヤしながら観てました。
――改めて本作の見どころをお願いします。
アユニ:6人の最強の監督さんと、私たち6人がそれぞれタッグを組んで作ったオムニバス映画なんですけど、本当に“六人六色”というかまったく顔の違う6つの物語になっています。
あんなことが起きたり、こんなことが起きたりと、想像を超えるような面白みがたくさん詰まっているので、ぜひ観ていただきたいです。
撮影:河井彩美
<作品概要>
「BiSH presents PCR is PAiPAi CHiNCHiN ROCK’N’ROLL」は、6月10日(金)全国公開。
配給:松竹映画営業部ODS事業室/イノベーション推進部新領域コンテンツ室
©WACK INC.