2月22日(土)に浜松で行われた「RIZIN.21」で、初参戦ながら観客からひときわ大きな歓声を浴びていたのが、間違いなくこのファイターだった。バンタム級で闘う総合格闘家・井上直樹選手(22)だ。
オーストラリアの強豪、トレント・ガーダム選手に3-0で判定勝ちを収め、そのハイレベルな試合展開に解説席が唸った。RIZINバンタム級といえば2019年の大晦日に無敵と言われた朝倉海選手がマネル・ケイプ選手にKO負けし、今や誰がトップに立ってもおかしくない、まさに“戦国時代”に突入している。そこに、井上が加わることでますます面白くなってきた、とファンたちは彼の存在感を感じまくっているのだ。
甘いマスクは“和製リバー・フェニックス”とも
そんな井上を“和製リバー・フェニックス”と呼ぶRIZIN関係者もいるほど、彼は強いだけでなくイケメンだ。現在、ニューヨーク在住で現地の名門総合格闘技チームに所属し、日々トレーニングに励んでいる。
※取材は3月上旬に都内で行われた。井上選手はその後ニューヨークへ戻ったが、現在一時帰国している。
――RIZIN.21初参戦、お疲れ様でした。完全な勝利でしたが周りの反応はいかがでしたか?
井上:浜松は(出身地の)豊橋からも近く、家族や友人も多く来てくれて。皆喜んでくれました。RIZINは入場の演出から派手で、試合していてとっても楽しかったです!
同じくニューヨークに拠点を置く佐々木憂流迦選手がセコンドとしてサポート。試合後の会見場では、熱い抱擁を交わしていた。
井上:しっかりアドバイスもいただき、勝てて嬉しかったの一言です。憂流迦さんは本当にお兄ちゃんみたいな存在なので。
子供の頃はやんちゃで(笑)「強くなりたい」と空手を始めました
――そもそも格闘家を目指そうと思ったきっかけを教えてください。
井上:7歳の時、親から「何か習い事をしなさい」と言われ空手を始めたのがきかけです。当時は友達とよくケンカして…けっこうやんちゃだったんです(笑)。“強くなりたい”という思いだけで空手を選びました。でも、空手は礼儀など厳しいので、中学生になるころにはちゃんと大人しくしていましたよ。
中学生になると、空手だけではなくキックボクシングや柔術も学んでいく。17歳でプロの総合格闘技団体DEEPにてトーナメントに出場し優勝。そこから今まで日本では負けなしの戦績を収めている。そして19歳の時、世界最高峰と言われるアメリカの総合格闘技団体UFCからオファーが。日本人最年少での契約となり大きな話題になった。
参戦するのが夢だったUFC!日本最年少で契約
井上:道場のコーチから「やってみるか?」と言われたときは嬉しかったです。UFCに出るのが夢だったので。
――すぐにニューヨーク行きを決めたのですか?
井上:いいえ。しばらくの間は日本でトレーニングして、試合がある時は海外へという生活でした。ニューヨークに行ったのは1年4ヵ月前です。技術面では日本でのトレーニングに満足していたのですが、同じくらいの体格の選手があまりいなくて。アメリカで練習している方が、試合にも出やすいですし、練習環境を変えてみたいという思いがありました。
実は、井上選手の3歳上の姉・魅津希さんも総合格闘家でUFCファイターなのだ。先にニューヨークへ渡った魅津希さんと共同生活をしている。所属はセラ・ロンゴ・ファイトチームというチャンピオンを数多く輩出している名門だ。
実は意外と地味!?なニューヨーク生活
――ニューヨークの生活はいかがですか?
井上:最初は言葉が全然…勉強をしてなかったので(笑)どうしたらいいのだろう?って。格闘技の専門用語もわからず困りました。周りの人たちに単語から教えてもらって、今は日常会話程度は大丈夫です。毎日、ジムに行って、夜はまた別のジムに行ってトレーニング、練習が終わってご飯を食べて、寝て…また次の日もトレーニングという生活が月曜日から土曜日まで続きます。
――お休みは日曜日だけですか?
井上:そうなんです。朝食を食べたら、まずは洗濯をしています。1週間分ですのですごい量なんです。あとは、何もしませんね、家でのんびりゲームなどしながらくつろいでいます(笑)。
――ニューヨークにいるのに!ショッピングなどしないのですか?
井上:(笑)。興味がないんです。買い物もあまり行かないですね。マンハッタンはビルが高くてすごいなーとは思いますが、練習をしに行くだけの所なので。あ、でも近所にボルダリングがあるので今度行ってみようかなと思っていますよ。
自分のことを「無口なんですよ〜」と笑う井上選手。ストイックに毎日練習を重ねる決して派手ではないニューヨーク生活だというが、こんな質問をしてみると…。
「無口なんです」とはにかむも…
――「眼福♡男子」企画にちなんで、井上さんにとって“眼福”なものは何ですか?
井上:やっぱり食べ物ですね!肉とスイーツ。肉はステーキが好きで、日本にもありますが「ウルフギャング」に連れていっていただいた時は感激しました。スイーツは和より洋風の方が好きですね。ニューヨークでももちろん食べますが、実は日本のコンビニスイーツが美味しいな〜と思います(笑)。日本に帰ってくると、つい買いすぎてしまうんです。
井上選手の朝食は、毎日パンだという。(勝手に格闘家は“米でしょう”と思い込んでいました、すみません!)取材したカフェではマッシュルームとチーズのたっぷり入ったハンバーガーを注文し、豪快にほおばった!
――今後はどのように活動していきたいですか?
井上:まだまだ学ぶことがあるので。あと1年はニューヨークにいると思います。RIZINにもまた出たいです。チャンスがあったら、朝倉海選手とも戦ってみたいですね!
井上直樹選手のTwitter、Instagram、YouTubeチャンネルはこちら。取材時の写真はフォトギャラリーでもたっぷり!
横浜アリーナで開催が予定されていたRIZIN.22は、残念ながら新型コロナウイルス感染防止のため中止となってしまったが、近々井上選手がリングで闘う姿を取材班一同心待ちにしている!
撮影:河井彩美 撮影協力/ FIRE HOUSE BURGERS(東京・文京区)