和久井映見さんの言葉に、広瀬アリスさん、山口紗弥加さんが涙しました。

4月24日(日)の『ボクらの時代』は、4月29日(金)全国公開予定の映画「劇場版ラジエーションハウス」で共演している、広瀬アリスさん、山口紗弥加さん、和久井映見さんが登場しました。

2019年、2021年に放送したドラマ『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』(フジテレビ)のシーズン1から共演している3人。

広瀬さんは、和久井さんを「映見ちゃん」、山口さんを「姉さん」と呼び、慕っている仲だそうです。

広瀬アリスの切り替えスイッチ

山口さんから「『本番!3、2、1…』の、2と1の間くらいまでしゃべってるよね?」と暴露された広瀬さんですが、以前は「役を引きずって家族に迷惑をかけていた」と明かしました。

和久井:本当ですか。ずっと、家にいるときも?

広瀬:そうです。10代のときは結構、いじめられる役が多くて…。

山口:ああ、精神的にね。

広瀬:苦しくなっちゃって、引きずったまま家に帰って、暗いし、うわーってなるし。家族に怒られてから、もうきっぱり「やめよう」と思って、無理くり変えて。やっとここ数年で(切り替えが)うまく…。

山口:アリスのスイッチ、ひとつある気がする。

広瀬:どこ?

山口:メイク中の音楽。

広瀬:ああー!はい、はい。

和久井:音ね、音。

広瀬:音は、すごく大事にしています。耳に入るもの。私、家でもそうですね。テレビを見るよりは、ライブ映像。それが朝とか昼間だったら、激しい系で、夜はちょっと静かなバラードが多かったりとか。朝は、ヒップホップをガンガンかけたりとかして(笑)。

山口:何か、その日の気分を音で調整している気がする。その日によって、音、選ぶ曲が全然違う。

広瀬:全然違いますね。アーティストさんも。

山口:でも、ヒップホップって意外だよね。

広瀬:そうなんです。すごい、もう、ドン、ドンって。なんか心臓に来るもの。

和久井さんも「重低音の大きな音を聴いている印象」と、広瀬さんの現場での姿を語りました。

「まず健康にしないと仕事も頑張れない」山口紗弥加から教わったこと

山口さんは、撮影現場に手作りの「野菜山盛りの豚汁」を持参していたそうで、「ずっとセットで撮影しているので、やっぱり栄養を考えて食事をしなきゃ」と語りました。

広瀬:そうですよね。だから最近、体調面をまず健康にしないと、仕事も頑張れないなと思って。

山口:うん、そうです!

和久井:そうです。

広瀬:それを(山口さんが撮影中に)半年かけて教えてくれた(笑)。

山口:「若さゆえの慢心」じゃないですけど。「全然元気だから、大丈夫」みたいなところがあるから、それはダメなんです!

広瀬:結構、我慢するくせが、もともとあったんですよ。眠くても、お腹すいていても、寒くても、しんどくても、我慢して「大丈夫です」ってやってたら、やっぱり体調が崩れちゃった時期もありまして。

和久井:うん。

広瀬:それからなるべく、お腹すいてたら「お腹すいた」って言って。気持ちが紛れるのもあるし、みんな何か…。

和久井:みんなもきっとそれで、「あ、今、お腹がすいてるんだな」って思ってくれるから。

広瀬:思ってくれたらいいなと思って。

和久井:そうそう。

広瀬さんの体調管理への意識の変化を聞き、山口さんと和久井さんは笑顔を見せました。

和久井映見、経験を積んで感じるプレッシャー

また、話は「劇場版ラジエーションハウス」で、人命救助のタイムリミットである72時間の「壁」がひとつのテーマになっていることに及び…。

広瀬:お二方、ありますか?壁。

山口:壁だらけ(笑)。

和久井:壁だらけですよ。経験値が増えてきたら「あ、この人はこれくらいやってくれるでしょ」って思われているかな、とか。誰に言われなくても勝手に思ってしまって。

山口:和久井さんでも!

和久井:自分の年齢も上がってきてるから、たぶん、若いときの私を記憶してくださってる方がたくさんいるとして、同じになれてない私がいたとしたら、それはがっかりされることもあるかもしれないし、また新たな目で見てくださる方もいるかもしれないし…とか。

その辺を気にすると、もう、難しいこともあるし。今回の『ラジエーションハウス』のみなさんに会うと、本当にみなさん素敵なので、「ああ、どうしよう私」って思いながら現場にいたりして。だから、壁だらけです。

山口:えー。

広瀬:でも、ちょっとホッとした自分がいます。

和久井:本当ですか。

広瀬:「大丈夫かな、できるかな」と思う壁って、私も毎回あるんですけど、壊すのにめちゃめちゃ苦労するので。「自分って、まだまだ全然ダメだな」とか、すぐ思っちゃうんです。

山口:でも、「楽」しちゃいけないなっていう気持ちもすごくあって。だから、あえて楽できないほうを選んだりもしている自分もいるんですね、壁のほうに。壁にぶつかりにいってる、じゃないけど。

和久井:うん。

それぞれが感じる壁の話が展開されるなか、広瀬さんが思わぬ告白をします。

広瀬アリス「あなたが変わらないと何も変わらない」と言われ続けた日々

広瀬さんは「私、病みすぎて、地面しか見ていなかった時期があって…」と告白。

広瀬:その時期に、姉さん(山口さん)とご一緒して。

和久井:うん。

山口:19歳くらいだったと思います、アリスが。

広瀬:もう、すべてをシャットダウンして。「誰の言うことも聞かない」みたいな時期が。

山口:本当にずっとイヤホンして…。

広瀬:漫画をずっと読んでいて。(下を向いて)人の足元しか見ていないっていう。16、7歳くらいから、7年、8年くらい、もう本当に説教されても何されても響かないみたいな感じの時期があったんですけど。朝ドラ(連続テレビ小説『わろてんか』/2017年~18年/NHK)に出させていただいたときに、女芸人さんの役で、いろんな芸の稽古があったんですよ。

和久井:はい。

広瀬:そのときに私、ふと思ったんです。今まで、そんな「仕事なんて別に興味もないし、どうでもいいや」みたいな感覚で仕事してたんですけど。

山口:へぇ。

広瀬:「私、この朝ドラで頑張ってダメだったらもうやめよう」って、漠然と思ったんですよね。『わろてんか』(の撮影)が大阪だったんですけど、「地方行ったら、すぐ太って帰ってくる」ってずっと言われてたんで、それが悔しくて、ジムに入会しようとか。

二十歳超えてたんですけど、一回お酒減らそうとか、食事見直そうとか、半年くらい一気にそれを頑張って。もちろんお芝居も頑張って。「いい終わり方をしよう」みたいな気持ちだったんですよ。みんながご飯に行っても、1人だけジムに行ったり。だから、泣きながら走ってたりとかして。

山口:よく頑張ったね。

広瀬:そうですね。でも、あれがあって良かったなと思って。何も犠牲にせずに生きていくのは、すごく楽だし、いいと思うんですけど、何も得られないなと。もうずっと「あなたが変わらないと何も変わらないからね」と、私は言い続けられてきたので。

山口:でも、そうだね。

広瀬:やっとそれが、動けたのかなって。そこから、お仕事への姿勢も変わったし、もっともっと意欲が増してきて。朝ドラが、自分の中である意味、壁だったなと思いました。自分の感覚、価値観、姿勢とかを全部変えてくれましたね。

和久井:ひとつひとつ越える過程を、自分でやっていったんですね、ちゃんと。

広瀬:そうですね。たぶんもう「自分が動かなかったら、何も変わらないな、私」って思ったんですよ。自分の人生で、その半年くらいだったら犠牲にしてもいいやって。

山口:「もう、辞めてもいい」って…。

広瀬:究極ですよね。

山口さんも、22歳のときに「やめようって思って、『最後の仕事』と決めた舞台」に臨んだといいます。

そこで「がむしゃらになって無我夢中でやってる姿を見てくれたうえで『もう1回やってみないか』と、声をかけてくれた」のが、現在の所属事務所の社長。

山口さんは「自分が一生懸命になって頑張ってみないと、何も始まらないのかもね」と、当時の覚悟を振り返りました。

主演であっても、そうでない役であっても…

また、90年代に月9をはじめ、連続ドラマの主役を数多く務めていた和久井さんが「主役」や「脇役」について思うところも語りました。

和久井:そのころは、自分の目の前のことで精いっぱいで、本当にそこに関わっているたくさんの人のいろんな思いは、なかなか気づくことができないまま、最終回を撮り終えて。

打ち上げで、いろんなポジションの方の声を初めて聞いたときに「ああ、そういう思いを持って、ここにいらしたのか」と思うと、「もうちょっと頑張れるところなかったのかな」みたいなことも思ったし。

主演じゃなかった場合でも、周りのことが見え出したりしたときに、そういうものがダイレクトに現場で見えてくるじゃないですか。

山口:はい。

和久井:みんながそこに思いを持って向かっているのを見ると、勝手にちょっと前室で感動してたりするんですけど(笑)。だから、主演であっても、そうでない役であっても「そこにあるものをダメにしちゃいけない」みたいなのは、すごく思いながら(現場に)います。

広瀬:そうなんですね。

和久井さんの話に耳を傾けていた山口さんは「なんか泣ける。すみません」と涙をぬぐい、和久井さんは「だから、今打ち上げができないのは、すごくさみしいですよね」と語りました。

「主役」と「脇役」を分けて考え、諦めていた

38歳で連続ドラマ初主演を果たした山口さんは、ある思いを打ち明けました。

山口:私が「脇役」っていう言い方をしていたら、「それって助演なんだよ」って教えてくれた方がいて。「主役を助ける役なんだ」って。

広瀬:素敵。

山口:何か、「主役」と「脇役」と、分かれているものだと教わってきたし、そういうふうにどこかで考えて…諦めていた、じゃないですけど、そんな自分がいた気がするんですけど、「主役」も「それ以外の役」も、ひとつのチームだし、作品だし、区切ることではないのかなと。

広瀬:自分も、最近ですけど、主役をやらせていただけるようになりまして。ちょっと、やっぱり余裕がなくなって。今まで見えてたものが今、見えなくなっちゃってきていて。

和久井:中心軸に立って、矢面に立たなきゃいけないのは、主演を張っている人かもしれないですけど、ただ作品としては出る立場である以上、同じ気持ちというか、本当にその作品が良いものとして届くようにっていうことで、みなさん、現場にいらっしゃるじゃないですか。

広瀬:そうですね。

和久井:だからきっと、周りの方も、何も言わなくても応援してくれていると思う。周りに、そういう人…何も言わないけど(応援してくれている)っていう人がいると思う。

広瀬:私が次に泣いちゃうんですけど、どうすればいいですか?(と、ウルウル)

山口:(笑)。私も、それを受けて泣いちゃう。

広瀬:ちょっと(泣きそうで)危険です、私、今。…そうですね。みなさんが同じ方向を向いて、同じひとつの作品を作るから、あまり(主演と)意識はしないようにはしてるんですけど、やっぱりどうしてもどこかで「引っ張んなきゃ」とか、「自分が一番笑顔でいなきゃ」とかって。追い込みぐせですよね、これが。

山口:責任感が強いから。

「今は、がむしゃらに頑張るのも悪くはないかなとは思っている」と話す広瀬さんに、和久井さんが「いたわりながら」とアドバイスしました。

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