『ゴシップ#彼女が知りたい本当の○○』第10話完全版

カンフルNEWSの目標だった5000万PVを達成した瀬古凛々子(黒木華)は、執行役員の仁和正樹(安藤政信)から、新たに2つの案件の取材を命じられる。

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1つは、「永鳥社」が主催する「永鳥新人文学賞」において出来レースがあったのではないかという疑惑だ。大賞を受賞したのは元タレントの安藤トモだったが、彼女が所属している芸能事務所社長・阿万野久二夫(津村和幸)から、人気作家で、事実上受賞者の決定権を持つ審査委員長の結城玄(河野達郎)に賄賂が渡された可能性があるのだという。

そしてもう1つのネタが、IT企業「インターネオ」で、ある社員が、就活生に詐欺行為を働いていたという疑惑だった。

カンフルNEWSが次に達成すべきことは影響力を持つ、信頼するに足る強いサイトになることだ──仁和は、そう凛々子に告げた。

編集部に戻った凛々子は、就活詐欺ネタを下馬蹴人(野村周平)、椛谷静司(野間口徹)、一本真琴(石井杏奈)に任せると、根津道春(溝端淳平)、笹目虎太郎(寛一郎)とともに出来レース疑惑の取材に乗り出す。

凛々子は、結城本人から話を聞くために、取材のアポを取り、彼の自宅を訪れる。応対したのは、結城の妻・美波(鈴木砂羽)だった。

執筆中だという結城を待つ間、何か質問があれば答える、という美波の言葉を受けていきなり賄賂のことを切り出す凛々子。するとなぜか笑いながら「あなた、仁和から頼まれたんでしょ?」と言う美波。実は、美波は仁和の元妻だった。美波は、出来レースも賄賂も言いがかりであり、元妻に対する仁和の個人的は恨みかもしれない、と凛々子に告げる。

その夜、帰宅しようと会社を出た笹目は、買い物から戻ってきた根津を呼び止める。写真コンクールで得た賞金で、海外に武者修行に出ようとしていた笹目は、一緒に行かないかと凛々子を誘ったことを根津に告げた。

再び結城邸を訪れた凜々子は、美波から結城との出会いについて聞く。結城と美波は同じ大学の先輩・後輩の間柄で、当時から小説を書いていた結城の最初の読者は、いつも美波だったという。結城と別れた後、仁和と出会って結婚した美波は、数年後に結城と偶然再会したことがきっかけで、一緒にいたいのは仁和ではなく結城だと確信した、と続けた。

仁和は、戻りたくなったらいつでも戻って来い、と美波に告げたという。美波は、仁和が凛々子に取材をさせたのは、自分たちの過去も無関係ではないと推測していた。

それに対して凛々子は、なぜ取材を依頼されたのかはわからないが、仁和にとって自分は単なる部下だ、と返す。そんな凛々子の姿を見ていた美波は、「あなたって本当にけなげね…仁和のことが大好きだった昔の私みたい」と告げた。

一方、根津は、凛々子が美波に会っている間、近所の聞き込みをしていた。そこで根津は、気さくな人物だった結城が3年ほど前から人が変わったようになった、という証言を得ていた。

凛々子が結城邸を出ようとすると、声をかけてきた結城。美波と勘違いした様子で、凛々子は、結城から話を聞こうとするが、美波に遮られてしまう。

そんな中、凛々子たちは、結城が3年ほど前に、手書きからパソコンでの執筆に変えたという情報を得る。結城が近所の住人に挨拶しなくなったころと同じ時期だった。

そこに、仁和が陣中見舞いにやってくる。根津は、美波のことをなぜ凛々子に言わなかったのか、と仁和に問いかけた。すると仁和は、愛想を尽かして出て行った元妻がいまや結城夫人だとは言えなかった、と返す。帰り際、仁和は、依頼した2つの案件に関しては、記事にする前に報告してほしい、と言い残して出て行った。

詐欺事件を追っていた椛谷たちは、被害に遭った大学生を見つけていた。インターネオにOB訪問をする際、大学OBと就活生をつなげる就活アプリでコンタクトをとったというその大学生は、同社社員の鷹部晋也(石原生涯)から、内定できるよう特別に便宜を図る、と持ちかけられ、優先的に人事に斡旋するための紹介料として20万円を渡したという。

しかし、内定はもらなかったためクレームを入れると、実力不足だったと返されたらしい。だが、鷹部は相手に録音やメモを禁じたため、証拠はなかった。

凛々子は、結城の作品をすべて読むが、最近の作品と過去の作品の違いは見つけられずにいた。それでも「ザワザワする」という凛々子。結城のブログを調べていた根津も、3年ほど前、取材旅行でルクセンブルク大公国を訪れた記事以降、更新がストップしていることが引っかかっていた。

根津は、結城の取材を引き取ってもよい、と凛々子に申し出る。取材の帰りにいつも凛々子が悲しそうな顔をしていたことから、美波に何か言われたのではないかと思ったからだった。「仁和のことが大好きだった昔の私みたい」という美波の言葉を思い出す凛々子。

根津は、凛々子にとって仁和は特別な人だから、無理を言われても取材をするし、結果も出したいと思っているように見える、と告げた。凛々子は、部下として結果を出すのは当然だと返すが…。

同じころ、桜教学院大学で就活生から話を聞いていた真琴は、その1人、榎本明日香(永瀬未留)からそれらしい話を聞いたことがある、という情報を得る。

その夜、黄実子(りょう)の店を訪れた凜々子と根津は、料理名の表記の話題からあることに気づく。結城は、ブログ内では「ルクセンブルグ」と表記しているのに、小説「異国の二人」の中では「ルクセンブルク」と書いていたのだ。「見つけた」。凛々子はそうつぶやいた。

あくる朝、凛々子が再び結城邸に向かう準備をしていると、編集部に美波がやってきた。これ以上、結城の身辺を探るなら法的手段を取ると警告に来たのだ。

凛々子は、そんな美波に対して、結城玄の作品を執筆しているのは美波ではないか、と切り出す。凛々子は、結城の目が見えなくなったからではないか、というと、3年ほど前から周囲に挨拶をしなくなったこと、結城邸で凛々子を美波と間違えたことを指摘し、真実を話してほしいと訴えた。観念した美波は、静かに話しだした。

結城は3年前に突然目が見えなくなり、あらゆる治療法を試しても治らなかったという。激しいショックを受けている結城の姿を見て、ふと代わりに書いてみようと考えた美波は、彼の文体や言葉遣いを研究し、作品を作り上げたらしい。

まだわずかに見えていた目でそれを読んだ結城は、これからは自分の代わりに書き続けてほしいと美波に頼んだというのだ。そんな矢先、結城のことを嗅ぎつけた阿万野が、目のことを黙っている代わりに安藤トモに大賞を獲らせてほしいと持ちかけてきたのだ。

美波は、文学賞の出来レースに関しては記事になっても構わないが、結城の目のこと、自分がゴーストライターをしていることは書かないでほしいと凛々子に頼んだ。しかし凛々子は、記事にしない約束はできないと返す。

すると美波は、凛々子にも愛する人がいるはずだと言うと、結城が「また書きたい」と心に火が付けば、出来レースに加担した汚名を一瞬で洗い流すほどの傑作を書くはずだから、そのときまで代わりに書き続ける、と言って凛々子を見つめ…。

一方、椛谷たちは、鷹部から詐欺被害に遭った別の就活生を見つけていた。その就活生は、こっそり鷹部との会話を録音していた。

取材の報告で仁和のもとを訪れた凜々子は、出来レースの件は記事にするが、結城の失明とゴーストライターの件は書かないと伝える。仁和はそれを了承するが、鷹部のことは忘れてほしいと告げる。事情は話せないが、会社のためだという。「仁和を信じすぎないで。あの人はとても怖い人よ」。凛々子は、美波が編集部から帰る際に言い残した言葉を思い出していた。

真琴は、取材に協力してくれた明日香に、就活詐欺の記事が出せなくなったことを伝えた。すると明日香は、別件でどうしても相談したいことがある、と真琴に告げた。クスノキ出版に関係する話だという。明日香の側には、大学生の向井未央(生田絵梨花)が座っていた。

そのとき、思わぬニュースが飛び込んでくる。クスノキ出版がインターネオに吸収合併され、合同新会社が設立されることになったというのだ。社内を当たった椛谷は、今回の合併候補にクスノキ出版と並んで永鳥社も入っていたという情報を得る。

だが、永鳥社は、カンフルNEWSが出した出来レースの記事がもとで企業評価価値を下げ、候補から外されたらしい。逆に、クスノキ出版とインターネオの合併協議は、クスノキ側に有利に進んだというのだ。

仁和は、ライバル企業を蹴落とし、合併協議を有利に進めるために、凛々子たちを利用したのか──。凛々子は、編集部員たちに何も言わずに仁和の元へと向かうが…。

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