「僕は死にましぇん!あなたが好きだから、僕は死にましぇん」。

当時を知らない世代でも、このセリフで思い出すドラマがあるでしょう。

1991年7月~9月にフジテレビ系で放送された月9ドラマ『101回目のプロポーズ』。浅野温子さん扮するチェロ奏者・矢吹薫と、武田鉄矢さん扮する弁護士になることを諦め、建設管理会社で働くうだつのあがらない中年サラリーマン・星野達郎のお見合いから始まるラブストーリーです。

走行中のトラックの前に飛び出した達郎が叫んだ「僕は死にましぇん」というセリフは、同年の「新語・流行語大賞」で大衆部門の金賞を受賞。中国や韓国でも映像化され、アジア全域で大きな人気を博しました。

あれから31年──なんと『101回目のプロポーズ』とZOZOがコラボレーションしたTシャツを制作。さらに、武田さん自身がカタログのモデルを務めるということで、フジテレビュー‼は撮影に密着。その様子をリポートするほか、撮影を終えたばかりの武田さんにインタビューを行いました。

<撮影密着リポート>

この日、武田さんは予定時間の30分前に、スタジオに到着。ヘアメイクを終えた後、ZOZOスタッフからの撮影行程に関する説明を静かに聞き入っていました。

そして、カメラの前に立つと「目線はどこへ?」とカメラマンへ質問。1パターン目の撮影がスタートしました

すると、武田さんは「スタジオの人、いる?(有線放送に)フォークソングはあるかな?」とリクエスト。

若いスタジオマンがいろいろなチャンネルを探す中、「それはフォークソングじゃないな」。そして、さだまさしさんの曲が流れると「それだ!」とニッコリ。武田さんが「(さださんとは)あまり仲良くないんだ(笑)」と冗談っぽく明かすと、スタジオにはドッと笑いが起きました。

順調に撮影をこなしながら、武田さんはスタジオ内に流れる曲について、「このバンドの前座が、俺たち(海援隊)だったんだ」と秘話を明かしたほか、荒井由実さんの「ルージュの伝言」が流れると「ユーミンが出てきたときは、俺たち終わったと思ったね。だって、口紅で鏡にメッセージを書くなんて日本人の発想じゃないもん」と、悔しそうに当時の心境を回顧。

さらに、岡林信康さんの「私たちの望むものは」、加川良さんの「下宿屋」などフォークソングの名曲に「いいねぇ~、泣けてくるねぇ~」と、目を細めながら唸っていました。

この日、撮影されたのは全部で5パターン。武田さんはカメラマンのリクエストに真摯に対応し、予定していたよりもかなり早い時間での終了となりました。

<武田鉄矢 インタビュー>

“笑顔を要求されない撮影”は初めて!

──まずは、撮影を終えた感想から聞かせてください。

なんでまた、「『101回目のプロポーズ』がファッションになるの!?」という不思議な気持ちで、訳がわからないうちに終わりました(笑)。

──これまでモデルの経験はあったのでしょうか?

イベントに何度か呼ばれたことはありますけど、今日みたいな撮影は初めてです。いつもは「笑ってくれ」って言われるんだけど、こんなにも“笑顔を要求されない撮影”は初めてです。

──Tシャツを実際にご覧になった感想はいかがですか?

Tシャツの中に31年前の僕がいるんですけど、それをこの年齢になった自分が着ているという不思議さですよね。数奇な運命だと思います。私の半生って、そういうことがとても多くて、恵まれているのかな。

余談ですが、昨日、娘から「坂本龍馬役が似合う俳優」のランキングで、私が第2位に入っていたということを聞きまして…。

──ちなみに1位はどなたですか?

もちろん、福山雅治さんです。3、4位には錚々たるイケメン俳優が並んでいて、ランキングを主催した側もビックリ仰天したらしく、1位の報告をしないで「2位 武田鉄矢」と大きく書いてあるんですよ。

若いころから坂本龍馬が大好きで生きてきたものですから、そのランキングをご褒美のように受け取りました。ご褒美といえば、この『101回目』もそうですよね。人生に感謝しています。

トラックの前に飛び出すシーンではスタッフ、野次馬も号泣

──『101回目のプロポーズ』は武田さんにとってどのような存在ですか?

「何か思い出してくれ」と言われたら、1カット1カットすべてを思い出せる濃い作品です。だって、自分にはまったく縁がないと思っていたラブコメディですよ。

あのころの武田さん、ちょっと熱演しすぎまして、かなりの問題児だったんです(笑)。僕の芝居に、演出陣がパニックになっているのを目撃したことがありますから。誰かから聞いた話なのですが、本当はストーリーに別の流れが予定されていたんだけど、武田の熱演からゆっくりとドラマの軸がぶれていったという。内心、「ぶれてよかったろ」と思いましたね(笑)。

僕がトラックの前に飛び出すシーンは、やっぱりオーバーアクションだったようで、演出陣はビックリしたみたいです。ラブコメディなのに、まるでシェイクスピア作品のような仰々しさ。なぜだかわからないけど、波長といいますか、周波数が合ったんでしょうね。そこに浅野さんもつき合ってくださいました。

今も記憶しているのですが、撮影をしていたら、オートバイに乗ったあんちゃんたちが大勢集まってきたんですよ。そのあんちゃんたちが、僕たちの芝居を見て泣いているんです。

カメラマンも音声さんも泣いていて、今は皆さん散り散りになってしまいましたけど、どこかでこの作品のタイトルを耳にするたびに、ひそやかに笑顔で過去を振り返っているんじゃないかなと思うと、いい仕事をしたなという気持ちでいっぱいです。

──もしかしたら、ドラマを知らない世代がこのTシャツを着る可能性もありますよね。

我が人生がマリリン・モンローやジェームス・ディーンまできたなと、これはうぬぼれましょう(笑)。気持ちよく過ごしたいと思います。

──どういう方にこのTシャツを着てほしいですか?

あまり欲張っちゃいけないけれど、ぜひ若い方に着てほしいですね。そして、同じTシャツを着た人と街ですれ違ったとき、その2人が交わす笑みそのものが『101回目のプロポーズ』というラブコメディの始まりになる。お年を召した方には、懐かしい思い出を振り返る意味で楽しんでいただければと思います。

<「101回目のプロポーズ × ZOZOTOWN」概要>

予約販売期間:3月25日正午〜4月4日正午
お届け予定時期:5月下旬
販売アイテム:Tシャツ、オリジナルステッカー

詳細は、「101回目のプロポーズ × ZOZOTOWN」販売サイトまで。