歌詞を生み出すアイデアの源を大公開!「辞書で調べて…」

――今回リリースした『Roots』はどんなアルバムですか?

今回のアルバムは『Roots』というタイトルで、私の人生のルーツをたどるような楽曲を作れたらいいなと思って、このタイトルをつけさせていただきました。

歌詞の中に私の経験を落とし込んだり、あとは今まで自分が好きだった音楽を年代ごとにどんな楽曲が好きだったかなっていうのをいろいろ書き出して。それに合った楽曲を、音楽だけ聴いて、この頃にこんな楽曲を聴いてたなとか。じゃあこの楽曲にしようみたいな感じで、本当に人生の中で選んできた道のりを楽曲に入れていこうと思って作ったアルバムです。

――このアルバムを聞けば、青山さんがどんな音楽に触れてきたかがわかるということですね。

そうですね。(触れてきた音楽)全部じゃなくて、今回7曲収録されているんですけど、幼少期のころとかも、大まかに小学生のころ、中学生・大学生のころみたいな感じで大まかなところでジャンル分けさせていただいて、そのときに私の中で印象に残っている出来事を楽曲に入れてみました。

――そんなアルバムの中でも特に気に入っている楽曲は何ですか?

私は『余韻』っていう曲が個人的にお気に入りで。
1stアルバムのときに、1曲ピアノ1本のバラードを書いたんですけど、壮大な感じの楽曲のバラードをやりたいなって思って、この曲を作らせていただいて。

歌詞も最初はこの曲はどっちかっていうと優しい感じ、幸せな気持ちになるような楽曲を書こうかなって思ってやってたんですけど。書いているうちに切ない感情が生まれてきて。

元々このアルバム全曲そうなんですが、楽曲を送っていただいて、たくさんの曲の中から作曲者さんの名前も見ずに曲だけ聞いて、「この曲の歌詞書きたい」って思ったものを選ばせていただいて、7曲作りまして。

――最初に曲を選ぶんですね。

先に曲の1コーラス送っていただいて、何100曲の中からこれが歌いたいですっていうのをピックアップして。
そこからアルバムの中に入れるのはどの曲がいいのかなっていうのをスタッフさんといろいろと話をさせていただいて。一番歌いたいっていう曲をピックアップしていくみたいな。

『余韻』という曲も一回聞いたときに「歌いたい」って思った楽曲で、そのときは優しい温かい楽曲にしようと思ったんですけど。メロディーを聴いて自分で歌詞を考えるので、夜中に私は寝ながら自分の布団に寝っ転がりながら歌詞を考えていて。普段新聞とか広告に乗っているフレーズとかで「この言葉使えそうかも」って思ったものを全部スマホにメモっていて。
そこから派生させて、曲の物語を作っていくというやり方で歌詞を書いていて。

それで、『余韻』を書いているときに、なんか切ない曲だなっていうふうに感じたので、そこから一気に失恋ソングに持っていきました。本当はすごいあたたかい曲を作る予定だったんですよ。曲を何回も聞いているうちに、なんか悲しい曲というか…真逆の方向にいきましたね(笑)

――『余韻』の楽曲でお気に入りのフレーズはありますか?

私は「1人で泣いていませんか?」っていう歌詞がサビのところにあって。
この楽曲を作ったのが夜中で雨が降っているときで、さみしい気持ちになるなって思いながら書いてて。

ずっと大事にしてた人がいなくなったときにどんな感情なんだろうなって、そんなこと考えてたら夜中に泣きながら歌詞書いてましたね。
でも、悲しいだけだと聞いている側もどんどんテンション低くなっていってしまうので。
私的には曲を聞いて、心が動いてポジティブな方向にいってほしいなっていう気持ちもあるので。
そこをちょっと言葉選びもポジティブにしたり、失恋だけど頑張って前を向こうとしている姿とか、そういう葛藤とかも描けたらいいなと思って書きました。

――他にも今回のアルバムの楽曲は全て青山さんが作詞されていると思いますが、歌詞を書くときに意識していることはありますか?

今もう17曲ぐらい書いていて、やっぱり似たワード、同じ言葉が出てきちゃうとか。
青山なぎさの感じていることって言葉にすると結構似たものが出てきやすいなっていうのがあって。
バーって歌詞書いて、このワード前も使っているなみたいなところを、同じ意味でも違う単語にするとか。
そういうところは結構大変なところだなと思っていて。

伝わりやすいワードをどんどんわかりやすく、難しくない言葉を使おうと思って書いていくと似てくるといいますか。
それを辞書でこれの類義語を調べてとか、そういう感じで私は作ってますね。

あとは、母音の「あいうえお」を揃えて。やっぱり耳障りのいい音にしたいので。
この単語使いたいけど、曲に乗せてフレーズとして聞くと、違和感があることもあるので、そういうときは同じ意味だけど違う言葉として使えるものを辞書でいろいろ調べてます。

――そうなると、1曲の歌詞を書くのにどれぐらいの時間がかかるんですか?

私は結構早い方らしくて、まわりの方がどれだけ時間をかけているか分からないですけど、結構6時間くらいで書くイメージですね。

それは元々ストックがある状態で始めるので。
この原曲聞いて、「よし、始めよう」というよりは、原曲をずっと3日間ぐらい聞いてて、大体の曲のイメージや主人公を決めて。
この主人公は今草原にいて、家の中にいて、年齢は大体20歳くらいで、家族関係がこんな感じで、みたいな主人公を決めてから私は書くタイプなので。結構すらすらいけるというか。

その子になりきれば、この子はどういう感情になるのかなとか、それを全部メモして、そしたらこうなって次にこう考えるから、悲しくなる、いや楽しい…うーん…悲しいかな、みたいな。
どんどん分岐点に分かれていくところを当てはめていくっていう感じですね。

音量から臨場感、衣装までプロデュース!作品作りへの緻密すぎるこだわり

――作詞以外にも、楽曲やMVもご自身でプロデュースしていると伺いました。今回のアルバムは作詞以外でプロデュースした部分はどんなところですか?

例えば今回だと、小さい音でピアノとかの音が鳴っているような楽曲で『夏の夢』というのがあるんですけど、そこの音量調節とかまで携わらせていただいて。

私の場合は最後のマスタリングと言われる、歌ったものを合体させる作業があって。
そこで、例えばドラムが右側にいて、ちょっと左側にベースが聞こえるように配置して、立体感があるように聞こえるようにしてくださるとか、そういう専門でマスタリングをしてくださる方がいらっしゃって。

そこの現場にもお邪魔させていただいて、「もうちょっとボーカル上げたいです」とか曲のイメージに合わせて、ボーカルの大きさだったり、「臨場感のあるサウンドにしたいです」っていうふうにお伝えさせていただいて。
音圧とか、大きいステレオで聞く音と、イヤホンで聴いたときの音って結構違うので、どっちで聞いても楽しめる音作りをしたいなっていうふうに思ってて、そういったところまで私の意見を言わせていただいて。それに応えてくださるスタッフさんの力があってできた楽曲です。

『夏の夢』MVの衣装

――『夏の夢』はMVも公開されていますが、その中で自身が何か関わった部分はありますか?

衣装も最初に撮影する前にフィッティングさせていただいたんですけど、ピンとくるものがそのときに見当たらなくて。
すごい素敵な衣装を準備していただいたんですが、この楽曲に合うってなると「このオレンジと黄色の間ぐらいの色が一番顔色にも合うし、曲の雰囲気にも合うんじゃないか」とか。

あとは撮影して私たちが直接目で見る色と、カメラのフィルターを通して見る色だと全然雰囲気が変わってくるので。
そうなるともっと、最初はオレンジのTシャツを着てたんですけど、もっと濃い色の方がいいんじゃないかとか。
そういうのを衣装さんといろいろお話させていただいて、急きょ当日に「いいのがあるから持ってくるね」って言ってくださって、探してきてくださって。これがいい!っていうのを見つけて撮影に臨みました。

実際見ると結構明るめのオレンジなんですけど、ちょうど映像を通して見ると、すごい明るめの柔らかい色合いに見えるオレンジになるようになっていて。ちょうどこれ!みたいな。

今回のアルバムのタイトルは『Roots』。青山さんにとっての“ルーツ”を伺うと、ある“習い事”が声優業としての道を切り開いてくれたといいます。