もしも自分の浮世絵を描いてもらえるとしたら?本展とあわせて訪れたい「江戸を感じる」場所とは…?

――本展には、画家・絵師である石川真澄さんによる松也さんを描いた役者絵も特別展示されています。江戸時代と現代の役者絵が並んでいる様子も興味深いです。

歌舞伎自主公演『挑む 第八回 外伝』(2016年)の時に、石川さんに描いていただいた作品です。浮世絵や役者絵というものが「後世に残る」ということに憧れもあり、「自分もそういう形で残ったらいいな」と思っていましたので、時を経て「自分の役者絵を展示していただけるとは」と驚いています。

こんなに嬉しいこと、光栄なことはないです。僕が死んで100年、500年経って、またこういう展示があった時には、「これなんていう人?」という感じで展示していただいて、皆さんに見てもらえたらという思いもあります。

石川真澄『挑む』(尾上松也『挑む 第八回 外伝』より

「国芳の想像から着想を得て、さらにその続きを作ってみたい」

――その時にも、今回のように松助さんの役者絵と並んで展示されていたら素敵ですね。

そうですね。一緒に展示していただけるような役者にならないといけないなと思いました。

――もし、ご自身の浮世絵を描いてもらえるとしたら、歌麿、写楽、北斎、広重、国芳の誰に依頼したいですか?

やはり国芳に描いていただいて、それを家に飾りたいです。自分が手掛ける新作でも何でもいいのですが、舞台では描かれていない部分を想像して描いてほしい。そして、その国芳の想像から着想を得て、さらにその続きを作ってみたい。もし、今の時代に生きていたとしたら、コラボして一緒に続編を考えたいという感じです。

――本展では、音声ガイド(スマートフォンを利用し無料で楽しめる)を担当し、軽妙な語り口で来場者の耳も楽しませてくれます。工夫したポイントを教えてください。

とにかく、皆さんにわかりやすく楽しんでいただけるようにと頑張りました。先ほど、聞きながら展示を見てみましたが本当に分かりやすかったですね(笑)。作品の背景や詳細など、わかったうえで鑑賞したほうが絶対に面白いので、お手持ちのスマートフォンでぜひ聞きながら見ていただきたいです。

――本展を楽しんだあと、さらに「江戸を感じる」おすすめのスポットはありますか?

江戸時代を感じられるといえば、それはやはり歌舞伎座でしょうね。歌舞伎座に来て舞台を見ていただくのが1番だと思います。歌舞伎座の周辺、築地あたりにも昔の日本らしい風景が集中していますので、合わせて楽しむのもおすすめです。上野で本展を鑑賞した後は、歌舞伎座で歌舞伎を見てお帰りになれば完璧だと思います。

――それでは最後に、本展を見に来る方にメッセージをお願いします。

日本の風景や文化を、ぜひ浮世絵を通して感じていただきたいです。実は、どの時代もそんなに今の僕らと感覚が変わらないと共感できるのではないでしょうか。そうすると、伝統があるもの、古典的なものへの見方や考え方も変わってくると思います。ぜひ多くの方に見に来ていただきたいと願っています。

撮影:河井彩美

<開催概要>

『五大浮世絵師展ー歌麿 写楽 北斎 広重 国芳」

開催期間:5月27日(火)~7月6日(日) /会期中無休

開催時間:10時~17時(入館は閉館の30分前まで)

会場:上野の森美術館(東京都台東区上野公園1-2)

入館料(税込):

一般 2000円/高校・大学生・専門学校生 1500円/小・中学生 800円

※未就学児無料

※小学生以下は保護者同伴での入場をお願いします。

※学生券で入場の場合は、学生証の提示をお願いいたします(小学生は除く)。

※障がい者手帳をお持ちの方とその介助者(1人まで)は、当日料金から半額となります。

※無料の音声ガイドは、お手持ちのスマートフォンで利用可能。スマートフォン、イヤホン等をご持参ください。会場での機材やイヤホン等の貸し出しはありません。

お問い合わせ:ハローダイヤル050-5541-8600(全日9時~20時)

オフィシャルサイト:https://www.5ukiyoeshi.jp