「コンフィデンスマンJP」シリーズでコンフィデンスマンを演じている東出昌大と小日向文世が、“ダマされた”経験を語った。
長澤まさみ、東出昌大、小日向文世が扮するコンフィデンスマン=信用詐欺師らの活躍が描かれ人気の痛快エンターテインメントコメディ「コンフィデンスマンJP」シリーズ。
その最新作『英雄編』は、長澤演じるダー子、東出演じるボクちゃん、小日向演じるリチャードが世界遺産の都市、マルタ島・ヴァレッタを舞台に、壮大なダマし合いを展開。3人に加え、五十嵐(小手伸也)や赤星栄介(江口洋介)などお馴染みのキャラクターも登場し、シリーズ史上もっとも先の読めない展開とストーリーで、見る者を物語の中へと引き込んでいく。
フジテレビュー!!は、東出と小日向にインタビュー。『英雄編』の現場でのエピソードはもちろん、次回作の話にいたるまで、幅広いテーマで繰り広げたトークをお届けする。
<東出昌大、小日向文世 インタビュー>
ボクちゃんのブレなさに東出昌大「悔しくてたまらなかった(笑)」
──今回の『英雄編』は、オサカナ(ターゲット)に対してダー子、ボクちゃん、リチャードが協力して物語が進んでいく今までの「コンフィデンスマンJP」と構造が違っていますが、お二方は脚本をどのように読み解かれたのでしょうか?
小日向:読み終えて真っ先に思ったのは、やっぱり「古沢(良太=脚本)さん、すごいな!」っていうことじゃない?
東出:本当にすごいですよね。歴代のシリーズと比べても、今回の『英雄編』の脚本はストーリー展開自体を理解するのに、すごく時間がかかりました。
小日向:本当にホン(脚本)がね、毎回新鮮な感じで読めるもんね。しかもさ、台本を読んで内容が頭の中に入っているのに、芝居していて「えっ、そうだったんだ!?」と、ダマされちゃうっていう。できあがった映画を見て、さらにもう1回ダマされるという。そうやって、仕掛けが全部わかった上でもう1回見てみると、また印象も変わってくるわけじゃない?だからね、少なくとも2回は見たほうがいいね!もちろん映画館で(笑)。
東出:たしかに、2回目は見え方がまったく変わってくると思います。「あ、ここはあのシーンへの伏線なのか!」と(笑)。
──古沢さんと田中亮監督を取材したところ、『英雄編』のシナリオは紆余曲折あって、あのようなカタチに着地したそうです。
<古沢良太「コンフィデンスマンJP」のキャラクターたちと再会し感激「投げ出さないでよかった…」>
東出&小日向:へぇ〜!
小日向:ただ、今回は趣向がちょっと違っていたけど、ボクちゃんのキャラはブレなかったね(笑)。純粋だよね。
東出:物事すべてを純粋に受け止めて、衝動的に大きなアクションを起こすっていうところが、頑ななまでに貫かれていて。ボクちゃんとしては、そこまで見透かされていることが悔しくてたまらなかったです(笑)。
──今回の『英雄編』で印象的な登場人物を挙げるとするならば、どなたでしょうか?
東出:僕は、マルセル真梨邑役を演じた瀬戸(康史)くんです。英語やフランス語のセリフがあって、感情を爆発させる芝居もあって…見ていて純粋に大変そうだったな、と。キャラというよりも瀬戸くん自身の話になっちゃいますけど(笑)。
小日向:瀬戸くんの英語とフランス語のセリフはアフレコもしているんだけど、8時間でオールOK出したって。すごいよね。僕も英語のセリフが二言ぐらいあったけど、そのアフレコに結構時間かかっちゃったことを考えると、驚異的な速さ。
東出:8時間って、めちゃくちゃ速くないですか?僕も二言、三言アフレコがありましたけど、結構時間かかりましたから。
小日向:そうなんだよ!何回も何回も録り直してさ〜、全然OK出ないの!こっちも「最後から何番目のテイクが使えるんじゃない?」なんて、監督に聞いたりして(笑)。
──東出さんは栃木弁のセリフもありましたね。
東出:(栃木弁のイントネーションで)栃木弁はべづに、むづかしいことはなかったな〜(笑)。
真面目な話、栃木弁の指導の方が現場に来てくださって、生田(絵梨花)さんと習っていたんですけど…彼女がものすごく瞬発力のある方で。たぶん、アイドルとして長く活動されてきて、お客さんの前でライブパフォーマンスをしてきたからか、監督の演出を受けてから「自分の役がどんなふうに見えるか」を瞬時に判断して、パッと対応なさっていたんです。栃木弁しかり、アドリブも。城田(優)くんと生田さんは、結構アドリブを入れていましたね。
小日向:へぇ〜!英語で?
東出:英語もですけど、スペイン語でもアドリブを入れていて。
小日向:え〜!2人ともスペイン語が本当に話せるんだね…。
東出:城田くんは語学が堪能ですし、生田さんもたしか帰国子女じゃなかったかな?
小日向:すごいね!城田くんがペラペラなのは知っていたけど。
東出:スペイン語のセリフも、ご自身で提案されていましたから。
小日向:若い人たちは、みんなすごいな。生田さんは『イチケイのカラス』(フジテレビ/2021年)にも出ていらして、すごく清楚な印象があったんだけど、『英雄編』では全然雰囲気が違ったから、ビックリしたよ。
──モナコ役の織田梨沙さんも、乃木坂46に在籍していた生田さんのイメージと全然違っていたので驚いたと言っていました。
東出:織田梨沙で思い出しましたけど、彼女は会うたびに日本語がたどたどしくなっていて…不思議な人なんですよね(笑)。
小日向:あの子は面白い(笑)。すごく個性的じゃない?
東出:そうですね。会話中に「約束」という日本語を失念しちゃったみたいで。「アレです、ほらアレ…なんでしたっけ、日本人がよくするヤツ」「え、なんだろう。約束かな?」「そう、約束!」って(笑)。得がたいキャラだなと思います。
小日向:モナコとコックリ(関水渚)がプライベートでも仲良しっていうのが、また面白い。
東出:あの2人は、なんかいいコンビですよね。
次回作では赤星がダー子たちの味方に…!?
──シリーズを重ねるごとに、「コンフィデンスマンJP」ファミリーが増えていますね。
小日向:そうなんですよ!
東出:リチャードは、今回も波子(広末涼子)さんとのシーンもあって。
小日向:そうそう。今回はリチャードがちょっとかっこいい感じで描かれているからね。
東出:ちょっと危険な香りがする、女性が惹かれる男として…ですよね。
小日向:広末さんが、また素敵で。そうやって考えると…いや、考えるまでもないけど、豪華な作品だよね。
東出:いや、本当に豪華です。
小日向:でも、あまり詳しく言えないけど、あのラストって…まだまだシリーズが続くことを暗示していると思わなかった?次回作には瀬戸くんがまた出てくる気がするんだよな。あと、松重(豊)くんも。
東出:松重さんが演じる丹波は、すごく迫力がありましたね。自分の足で事件の核に迫ってくる“昭和の刑事感”にあふれていて。あと、江口さんが演じる赤星が今回は“大活躍”していて。
──もはや赤星は、ダー子一味の“同志”のような風情がありますよね?
※赤星は、ダー子のオサカナとしてドラマシリーズで初登場。その後、ダー子へ仕返しをしようと企むも、『ロマンス編』『プリンセス編』でも返り討ちにあっている。
東出:これは明言しちゃいけないのかもしれませんが、ダー子、ボクちゃん、リチャードの3人は赤星のことが大好きですから(笑)。
小日向:もし次回作があるとしたら、赤星は“こっち側”にいるかもしれないよね(笑)。で、初期の赤星を超えるような“ホンモノのワル”が出てきたりして…。でも、古沢さんの多忙ぶりを考えたら、どんなに早くても次は2年後くらいなのかな?
東出:古沢さんが(脚本を担当する)大河ドラマを終えられてからでしょうね。
小日向:2024年だとしたら、僕70歳になってますから。
東出:(愛称の)“コヒさん”ならぬ、“コキ(古希)さん”になっちゃう!
小日向:コキナタ文世(笑)。でも、ロケに行くのも本当しんどい年齢になってきた。
東出:ボクちゃんも「ボクさん」になったりしないかな(笑)。そう思うと、ダー子はいつまでもフレッシュですよね。
小日向:(長澤)まさみちゃんは本当、変わらない。すごいね。
──『英雄編』では、ダー子のネーミングの由来も明かされますが、どう思われましたか?
小日向:今回、初めてわかったんだっけ?
東出:実は連続ドラマの第10話(『コンフィデンスマン編』)で、そういう会話が出てきていましたね。ただ、それは架空の設定だったというオチがついていて。
小日向:東出くんはそういう細かい設定とかよく覚えているよね、本当に。
東出:いやいや…。話がちょっと変わりますけど、今回リチャードが「俺は非道なことを散々やってきた」と言うじゃないですか。「アウトレイジ」みたいで、いいんですよね。
小日向:だって、あそこは田中監督から「『アウトレイジ』の小日向さんで!」って言うから(笑)。
東出:ワイルドというか、ダークなリチャードが見られるという(笑)。
──ボクちゃんの見せ場を挙げるとすると、どこでしょうか?
小日向:アクションがあるじゃない!あれはスタントの人も入っているの?
東出:スタントの方も入っていますけど、僕も頑張りました(笑)。ボクちゃんの見せ場、そうだなぁ…やっぱりどこまでいっても真面目でピュアなところじゃないかなと思います。
小日向:ダー子とボクちゃんで「リチャードの私生活って、知ってる?」と話すシーンがあるじゃない。あそこは、すごく含みを持たせるよね。前半は(リチャードが)なかなか出てこないし。
東出:今まで僕ら3人って、すごい大金やお宝を求めていましたけど、『英雄編』では「名誉」がテーマの一つでもあって。「ツチノコ」という称号しかり、稀代のコンフィデンスマン=当代随一の信用詐欺師を決めるというフェーズに移っているんですよね。そこが今までの「コンフィデンスマンJP」との違いであり、面白味でもあるのかな、と。
小日向:言ってしまえば、物理的な富はもう手にしちゃっているからね、3人とも。だけど、チラシのビジュアル(3人が甲冑やウィリアム・テルのような扮装をしている)…本編で出てこないからね!
東出:この時点で、すでにダマしているという(笑)。
──そんなお二方が「これはダマされたなぁ」というエピソードはありますか?
小日向:僕は…前回の『プリンセス編』のランカウイ島のロケへ行くのに、携帯用ウォシュレットを買ったんですよ。それは成河(広明プロデューサー)さんが「これ、いいですよ」って教えてくれたヤツだったんですけど…全然よくないの!
東出:ははは(笑)。
小日向:水流の勢いが弱くて、洗っている感が全然ないの。で、買ったきり全然使ってない(笑)。
東出:成河さんにダマされた、と(笑)。僕は…あまり面白い話ではないですけど、この前、高速道路を運転していたら、カーナビのGPSが一般道を走っていると勘違いして、変なふうに誘導しようとしてきて。僕は赤坂に行きたかったのに、ナビの言うとおりに走っていたら東池袋に着くという…。
小日向:え〜っ、全然方角が違ってるじゃない!
東出:機械にまでダマされるボクちゃんでした(笑)。
撮影:島田香
取材・文:平田真人
映画「コンフィデンスマンJP英雄編」は、2022年1月14日(金)公開。
制作プロダクション:FILM
配給:東宝
製作:フジテレビ・東宝・FNS27社
©2022「コンフィデンスマン JP」製作委員会
最新情報は、映画「コンフィデンスマンJP英雄編」公式サイトまで。