この展覧会の醍醐味は、国内外の20以上のアーティストが、おのおのの“ゴジラ感”を表現した作品を見られること。巨大怪獣=荒々しい、凛々しいイメージの作品もあるなかで、筆者が気になったのは、女性と腕を組み、傘をさす、なんともやさしげなゴジラ。
浅野忠信も出展「ゴジラは囚(とら)われていた何かを消し去る怪獣」
韓国生まれのStickymongerさんの作品で、ゴジラは破壊的でありながら守護者でもあるという二面性からインスピレーションを得て、モノクロ映画風のスタイルで描いたそう。

また、俳優でありながら、精力的にアート活動を行っている浅野忠信さんのゴジラにも注目です。浅野さんは「ゴジラは囚(とら)われていた何かを消し去る怪獣だと思います。どこでもない街を徘徊し、ゴジラが何の時間を過ごしているのか誰にもわからない瞬間を描きました」と図録でコメントしていますが、無機質な建物と、どこを見てるのかわからないゴジラの目は確かに、と思わされました。

ほかにも廃棄されたスケートボードから作られたカラフルなゴジラなど、「ゴジラとは、何か。」という問いに対してアーティストたちが出した答えの幅広さに、ゴジラが歩んできた70年の歴史と、時代を超えて今も世界中の人を魅了し続けるゴジラのパワーを感じる展覧会でした。

text by=Eiko Katsukawa