塩入さんによると、ドラマの制作が決まった当初、宮本理江子監督(第1期、第2期を担当)は「鎌倉にいい雰囲気の古民家カフェがあるので、オールロケでやりたい」と「cafe坂の下」でのロケを希望していたそう。しかし、実際にはロケが難しく、セットを作ることに。

そこで、「cafe坂の下」の「古民家を新しい感覚のポップでカラフルな使い方をする」というコンセプトをベースに、「『ナガクラ』の店長・真平が作った空間になるようにデザインしました」と明かしました。

真平のセンスで彩られている「ナガクラ」。塩入さん曰く「全体的に60~70年代のレトロ感を基準にセレクト。サーファー文化が感じられるインテリアも取り入れています」
入口横にはショップが!アクセサリーや小物、ラスク、ジャムなどが売られています。これらの商品はほぼすべて、鎌倉のお店からタイアップでお借りしているものだそう

『最後から二番目の恋』続編は11年ぶり!だからこそこだわったのは「変わらないこと」

今作は、連続ドラマ第2期の『続・最後から二番目の恋』から11年ぶりの続編。その間、現実の世の中も、劇中の登場人物も、演じているキャストも、変わったこと、変わらないことが多数。まずはそこが今作のセット制作時にポイントになったと言う塩入さん。

さまざまな話し合いのなかで「昔と変わらないことが、安心感や『長倉家が帰ってきた』という期待感を生むのでは」という結論に至り、美術は“変わらないこと”を大事にすることになったと言います。

「ナガクラ」のキッチン。長倉家が日常使いしているキッチンでもありシンプルな作りです
冷蔵庫にはゴミの収集日カレンダーなどが貼られていて“生活感”が

“変わらないこと”の表現に欠かせないのが、11年前にも使用していた家具や小物などの装飾品。

このドラマのために制作されたものは、倉庫に番組名とともに保管されていたと言います。これには塩入さんも「続編の話もないのに、11年もよく保存しておいてくれたなと思います」と驚いた様子。

メインのテーブルやソファーセットなどは借りていたものながら、当時の伝票から特定し、同じものが使われているそうです!
万理子(内田有紀)がベロベロに酔った千明にキスをされた“あの”場所!ソファーやクッションは第1期から変更されています
第1期から変わらないこのコーナーにはアメなどが置かれています。「真平がお客様と家族へのサービスで置いている設定」(塩入さん)
存在感バツグンのレコードプレーヤー