<久住昌之 コメント>
「夜汽車の男」(2002)原作
初めてオンエアされたのを見たときは、正直、ちょっとがっかりしました。主人公の食のこだわりの「理由」が少年時代にさかのぼって描かれていたから。ボクは、そういう「どうしてかというと」はマンガに一切描いてなかったので。
だけど、時間が経つに従って「ドラマはマンガと違うから」という気持ちが強くなり、素直にこれはこれで面白いと思うようになりました。
さらに、大杉漣さんの演技がよくて「あのとき、こういうドラマになってよかったな」と思うようになりました。これは、いつか書いておきたかった本心です。
ボクは短編ドラマが好きで、しかもそれがものすごく大変なこともわかるので、このシリーズが35年も続いたのはすごいと思う。ボクの描いてきたマンガもすべて『世にも奇妙な物語』みたいなものです。ボクのキャリアの隣に、ずっとあった番組といえます。
「夜汽車の男」は、ボクのデビュー作のドラマ化です。ここには『孤独のグルメ』の原点があると思います。どうぞよろしく。