エンターテインメント集団・THE CONVOYが結成35周年を迎えた。

THE CONVOYが生み出すノンストップ・エンターテインメント「THE CONVOY SHOW」は、1986年に初めて上演され、一つの作品の中にハイレベルなダンス、歌、芝居を盛り込み、あっという間にプラチナチケットに。

それから時が流れ――2021年、35th Anniversary THE CONVOY SHOW vol.41『コンボ・イ・ランド』が現在、上演中。彼らの原動力の秘密に迫るべく、主宰の今村ねずみ、そして、瀬下尚人、石坂勇、舘形比呂一、トクナガクニハルの5人に話を聞いた。

THE CONVOY結成35周年記念公演が開幕!総勢14名で魅せる圧巻のダンスパフォーマンス

常日頃の努力が、いい緊張感と程よい距離感につながっている

――まずは35周年を迎えた心境から聞かせてください。

今村:「35周年」って言われるまでみんな知らなかったでしょ!

石坂:俺は36年とばかり思ってた。

今村:サム(石坂のニックネーム)さんだけに!?

石坂:いや、そうじゃなくて(笑)。改めて数字を見ると、「そんなにやってるんだ」って驚くよね。

――35年は早かったですか?

石坂:あっという間ですね。自分の年齢すら意識してないから、「いくつですか?」と聞かれて答える瞬間に「俺、そんな年齢になってたんだ!」って。

今村:今の驚き方見た?リアクションがすごい(笑)。一歩社会へ出ると、結構ジジイだぜ?

舘形:ハハハ(笑)。

今村:なんでタテ(舘形)、笑ってるの?

舘形:同級生と会うと、すごく(年齢を)感じますよね。

瀬下:バスの運賃が安くなるとか、そういう特典が出てくる年齢に近づいた。

今村:俺は映画を1100円で観られるよ。

トクナガ:そろそろ年金生活じゃないですか?

石坂:年金っていくつからもらえるんだっけ?

瀬下:昔は60歳だったけど、今は65歳。それでやっているんですよ。

石坂:年金の話から「それでやっている」って言ったら、俺たちがもう年金生活に入っているみたいじゃん(笑)。あと数年で年金をもらえる年齢だけど、それでもステージ立っているって言いたかったんでしょ?

――紆余曲折あったかと思いますが、今だから明かせる秘話はありますか?

瀬下:「墓場までもっていかなきゃ」という話はないですね。

今村:ベタベタでつき合ってきたグループではないから、長くやってきたわりにはそこそこの緊張感と、いい距離感があります。

――適度な距離感がいいんでしょうね。

石坂:普通の役者さんはお芝居だけじゃないですか。だから、ある程度の老化は許されると思うんだけど、自分たちのステージは常日頃の努力がないと「よーい、ドン」するとき、そこに参加できないという緊張感があるんです。そこが僕たちの距離感につながっているような気がするんですよね。好きな分野も稽古の仕方も違う僕たちが集まったとき、CONVOYの色に染まるっていうのかな。

表現者としていろいろなルートがあるけれど、「この道はこいつとじゃなきゃ」という思いでやってきた

――35年間、走り続けることができた秘訣は何だと思いますか?

今村:個人的なことでいうと、他にやることがなかった。役者になりたくて上京してきたけれど、脚本家になりたくてホンを書いたわけではないし、演出家になりたくて演出したわけではない。自分が表現したいものを彼らと作っていくうちに形となり、CONVOYスタイルが出来上がった。道がなければ自分たちで作ってきたし、誰とこの道を歩んできたかが大事なわけで。過去の台本を今回の公演用に起こしてみて、それは何度も感じましたね。

瀬下:ねずみさんが言ったように「他にやることがなかった」というのもありますけど、何より自分が一番輝ける場所だと感じていて。CONVOYにお客さんがつき、他の現場にも呼んでいただけるようになりましたが、自分の芯はここなんだと。そこはブレてないです。

――皆さんの中で変化した部分、変わっていない部分があれば聞かせてください。

今村:変わったのかな?変わってないよな。自分で言うのもなんだけど、紳士的につき合ってきたメンバーだからね。

石坂:今、いるメンバーじゃなくて、いなくなった人たち、“消えていった人たち”っていうのかな。自分がやりたいことを見つけて、次の道へ進んでいくほうが普通という感覚がある。俺たちのつながりが異常なのかもね。

今村ねずみという人から「作品を書くけどやる?」と聞かれ、「やります」と答えるか答えないかだけの違いなんですよね。軽い言い方かもしれないけれど“ノリ”?「のるか、そるか」なんですよ。絆といえばちょっとくさいけど、振り返ると歴史があって、未来を感じるから出ている。今、いいこと言いましたね(笑)。自分に未来を感じるから参加しているんです。

今村:今のところカットしてください(笑)。俺もそうだけど、表現者として役者として、それぞれの道がある。いろんなルートがあるけれど、「この道はこいつとじゃなきゃ」という道があるんです。それが今もつながっているというだけ。

トクナガ:“好き嫌い”ってあるじゃないですか。俺はCONVOYが好きなんですよ。どんなにつまみ食いしようが、おかずはこれだっていう安心感。これを食べていたら間違いないし、満足感をそれぞれ感じているんじゃないかな。

瀬下:そのベクトルはみんな同じっていうね。

今村:35年間、一緒のメニュー(笑)?35年間やってはいるけれど、365日ずっと一緒ではないから。こんな集団が存在していること自体が面白いと思いません?自分で「レジェンド」と言うのは恥ずかしいから、使ってください(笑)。

解散コンサートは10年間!?「いつ解散するんだ!」っていう店じまいセールみたいな(笑)

――奇しくも今日は、某アイドルグループが惜しまれつつ、26年の活動にピリオドを打つ日です。

今村:もし、俺たちが解散するとなったとき、そんなふうには盛り上がらないでしょ。解散することで人が集まるなら、俺、言っていい?「解散コンサートを10年やって、辞めようと思います」って。追加、追加で「いつ解散するんだ!?」って店じまいセールみたいな(笑)。それもまた楽しいイベントになると思うけどね。だって、誰かが死んでグループがなくなるのはイヤじゃん。

石坂:いずれ来るでしょうけどね。追悼公演と銘打ってやればいいんじゃないですか?

今村:アニキが一番鼻を赤くしてやりそう(笑)。

石坂:いやいや、俺が先に逝くかもしれないじゃないですか。こればっかりはわからない。

今村:じゃあ、アニキが先に逝ったら全員でアニキのカツラかぶってやる?

石坂:おもしろそうだね。

今村:タテが亡くなったら、タテのモノマネをやるの。

石坂:みんな女装すればいいんでしょ?

舘形:なるべく残りたくないよね。だって、悲しいもん。最後ってイヤじゃない?

今村:一人残るということは、全員の葬式に出るんだよ。俺、イヤだよ。「まだ香典包むの?」って言うよ。

石坂:この年齢になると、病院や薬の話がほとんどになるっていうけど、俺たちはあまりしてないね。

舘形:比較的、健康だよね。

今村:そうは言ってるけど、実はヤバいぜ。だって、こちらは(トクナガ)靴下を履くだけでも大変なんだよ。ヒザがもはやヒザじゃなくて、「ヒサ」か「ヘサ」になっている。

トクナガ:そう思えばそうだけど、やろうと思えばやれますから大丈夫。

――ステージに立つと、スイッチが入るんでしょうね。

トクナガ:恐ろしいぐらいに入っちゃうんですよ。

石坂:本当に?入ったところをあまり見たことがないよ。

今村:タテなんてスイッチ入りっぱなしよ。還暦前に10cmのピンヒールで踊る人いる?

舘形:12cmぐらいあると思います。

石坂:ピンヒールでTバックですよ。Tフロントだっけ(笑)?

舘形:ねずみちゃんが35年間を振り返った作品づくりをしてくれていて、この空気感で自由にできる場はなかなかないから、すごく楽しいです(笑)。

石坂:自由にやってるのあなただけよ。

瀬下:リードの外れた犬みたいになってる(笑)。

石坂:THE CONVOY SHOWって覚えなきゃいけないこと、やらなきゃいけないことが山ほどあるので、最後のほうは疲れちゃってヘラヘラ笑うことしかできないんですよ。

舘形:時々、目がどこかへいってることがある(笑)。

今村:アニキは夕飯を食べたらもうダメですからね。

石坂:お昼から稽古して、夕方の食事休憩が済んだら俺は終了。

今村:で、稽古が終わったらまた元気になってるんですよ。

石坂:35年間、その繰り返し。いろんなキャラがいていいんじゃないですか?

今村:違いすぎなんだよ。

――でも、ステージでの一体感はすごいですよね。

今村:一体感なんてないんじゃない?

石坂:いや、自分たちで気づいてないだけで、ギュッとなったとき、お客さんには同じ色に見えるらしいよ。THE CONVOYっていう色。それは俺たちが決めることじゃなくて、見ている人が決めることなんでしょうね。

*座談会後編では若手メンバーが加わったことによる影響、そして、記念公演への意気込みをお届けする。

最新情報は、35th Anniversary THE CONVOY SHOW vol.41『コンボ・イ・ランド』公式サイトまで。

撮影:河井彩美