が~まるちょばが、パントマイム、単独舞台への思いを語った。

パントマイム・アーティストとして活動する、が~まるちょばが、2022年1月7日(金)~9日(日)に東京・紀伊國屋ホールにて開催する「が~まるちょば LIVE 2022 STORIES “ PLEASE PLEASE MIME ”」。

ソロになって2年が経過し、2021年夏にはクリエイターとして参加した“動くピクトグラム”で日本のみならず世界で話題を呼んだ、が~まるちょばによる単独公演は、言葉を使わず身体ひとつで約2時間に渡って届ける舞台芸術作品。

ストーリー仕立てのショート・スケッチと、長編作品で構成された、が~まるちょばの神髄を楽しめる「舞台のパントマイム」だ。


「が~まるちょば LIVE 2022 STORIES “ PLEASE PLEASE MIME ”」の開幕が迫ったいま、公演に向けての思いや構想などを語ったオフィシャルインタビューが到着した。

<が~まるちょば インタビュー>

——「が~まるちょば LIVE 2022 STORIES “ PLEASE PLEASE MIME ”」は、2021年1月に行った「が~まるちょば LIVE 2021 STORIES “ PLEASE PLEASE MIME ”」の再演になります。まずは上演が決まったときの気持ちを聞かせてください。

うれしいですよね、純粋に。前回の「PLEASE PLEASE MIME」のときは、緊急事態宣言下で、7公演中3公演が中止になって、コロナで何もできないし、お客さんの前に出られない状況が長く続いたから、千秋楽で「命がけで来てくださってありがとう」って言ったんだけど、本当にそんな感じだった。だから再演が決まったのは本当にうれしいですね。

――前回は、「パントマイムのイメージが変わった」「感動した」という声も寄せられていました。

心を動かされるのは、観る人の想像力もあるんですよ(笑)。もちろん作り手としては、いろんな人に届くように考えて作らなくちゃいけないんだけど、感動したって言ってもらえたのは、僕の力というよりは、パントマイムの力だよね。

僕は、そういったパントマイムの可能性を探求しているし、パントマイムにやれることはまだまだたくさんある。だから僕自身も作品をたくさん作って発見できるといいなと思っています。

受け手の心が動くのは、感動のほかにも、笑いや言葉にならないワクワクとかもあると思うんだけど、言葉以外でアプローチすると、いろんな部分に訴えられると思うので。その可能性を僕も表現したいし、探求していきたいと思っています。ただ、「感動した」という声をいただけることは、単純にうれしいです。

――ショート・スケッチの中には、客席と一緒に作り上げていくものもありますよね。

2021年1月の公演は、コロナ禍だったから、客席とやりとりする作品は全然少ないんだけどね。パントマイムってセットを使わないから、観客に場所をイメージしてもらう必要があって、その場合、舞台上は(客席と切り離されて)異空間になるんだけど、参加型の作品に関しては、必ずしも異空間である必要はなくて。

だから、客席に降りてもいいし、お客さんと触れ合ってもいい。本当はそこまで作れるんだけど、コロナがあったから、お客さんに触れずにやり取りする方法を考えて、舞台からお客さんにアクションを投げかけるような作品もありました。

内容によって客席との掛け合いはものすごく考えますよね。30年くらいやっていろんなパントマイムの作品を作ってるけど、観客が異空間だと捉えていたステージ上から僕がお客さんと絡むと、急に現実に引き戻す感じになる。そうすることで面白いと思う人と、がっかりする人がいたりして、そのあたりの塩梅(あんばい)って難しいよね。

パントマイムの力を信じられない人って、多いんじゃないか。だからこそ観てもらいたい

――再演に向けて、意識していることはありますか?

前回の「PLEASE PLEASE MIME」は、一人になって厳密にいうと2回目の公演なんだけど、当時「舞台のパントマイムを観てもらいたい」という心構えがすごく強かった。だから「スーツケースが重くて動かない!なんてやるもんか!やりたくない!」と思ってたんだよね。

ただ、今回に関しては、初めましてのお客さんが多い気がしていて。この夏の「動くピクトグラム」は、パントマイムではないけど、知ってもらう入り口になったし、ここから本当のが~まるちょばを知っていただくのに、来年の「PLEASE PLEASE MIME」の再演はいい機会だから、僕もそういうつもりでやらなくてはいけないなと。

とはいえ、内容は前回と同じだから、大事なところはブレずに、考え方やアプローチを多少変えたほうがいいかなと思ってます。伝わりづらいと、お客さんを置いていっちゃうことも出てくるかもしれないし、でもわかりやすくしすぎるとつまらなくなっちゃうことも結構あるんですよね。

例えば、初めての人には、コメディ要素が多いほうが喜ばれやすいし、テレビに慣れているからワンウェイのものが受け入れられやすいけど、舞台ってそうじゃない。だから、テレビをきっかけに舞台を見て、「パントマイムって、が~まるちょばって、こんな感じなんだ」って知ってもらえたら。

パントマイムって、同じ舞台でも二度観ると全然違うと思うんですよ、同じ作品だとしても。そういう感覚になってもらえたらうれしいですね。

――前回の公演を観た方も、新しい発見がありそうですね。

作品って育つんですよ。で、僕もお客さんもこの1年で育ってる。だから、同じ作品でも演じるほうも観るほうも絶対に違ってくるし、変わってくるよね。あと、これは演者としてうれしくもあり、肝に銘じなきゃいけないんだけど、マイムの場合は、お客さんに喜んでもらえると、いいイメージがすごく膨らむから、時間が経って同じ作品を観たときに「あれ?前回こうだったっけ?」って言われることが多くて。

だから、同じものをやるときには、その“いいイメージ”に応えなきゃいけないところが結構大変。究極のパターンだと、セットもセリフもないのに、「前回あそこにあれがあったよね?こう喋ってたよね?」って言われて、「いやいや、パントマイムでやってるし、喋ってないから」って。

それくらい、見る人によって想像してもらえるのが、パントマイムのすごいところだよね。

――やはり、テレビで見るのと、舞台のパントマイムは違うんですね。

特にパントマイムの場合は、生で観なきゃわかんないからね。話で聞いて、わかった気にはなるかもしれないけど、なんてったって舞台で喋んないんだから。そりゃ観なきゃわかんないよね(笑)。

だから観てもらうしかないというか。あと、自分の見方や心の動きを改めて発見するきっかけになると思うんだよね。アンケートを見ていると、一つの作品でも、心が動くところは人それぞれで、それは感性が違うとかではなくて、どう思うかは自由だし、マイムならではだからうれしいことだよね。

例えば、演じるキャラクターは、僕の中では決まっていて、そこを理解した上で演出をしているけど、言葉にしているわけじゃないから、舞台を観た人が想像をして、いろんな捉え方をする。

ただ「マイムで感動する」「人によっては泣いちゃうんだよ」って言っても、「あんなモヒカン頭がやるのに?」「一人でやってて喋らないのに?」ってこともあると思うんだよね。

要はパントマイムの力を信じられない人って、多いんじゃないかって。だからこそ観てもらいたいし、それを伝えるって簡単じゃない。テレビは、時間や場所の制限もあるからやろうと思ってもできないけど、舞台のパントマイムは、音、照明、空気感などいろんなものが全部合わさって、心を動かしてる。

だから、そこにお客さんが足を運んでくれたこと自体に、すごく意味があるし、お金を払っていただいていることもそうかもしれない。全部だよね。それを含めて、観てくださった方の心が動いてるんだなと思いますね。


――最後に、メッセージをお願いします。

僕自身は、コロナ禍を過ごすなかで、舞台でやることの大事さをより強く感じて、来ていただけることに感謝しています。これからも「舞台だから面白い」というものを届けていきたいと思うので、今回に限らず何回も足を運んでもらえたらうれしいです。

「舞台でのパントマイム」を楽しんでもらえるように頑張りますので、期待していただければと。今回に限らず、という思いでいますので、よろしくお願いします。

<公演概要>

「が~まるちょば LIVE 2022 STORIES “ PLEASE PLEASE MIME ”」

作・演出・出演:が~まるちょば
会場:紀伊國屋ホール (新宿区新宿 3-17-7 紀伊國屋書店新宿本店 4F)
公演日時:
2022年1月7日(金)14時~
2022年1月8日(土)14時~、18時30分~(追加公演)
2022年1月9日(日)14時~
※開場は開演の45分前

公式サイト: http://www.gamarjobat.com/

が~まるちょば プロフィル

20代のころ、神の啓示のようにパントマイムを天職と決める。ソリストとしての活動ののち、1999年にが~まるちょばを結成。「サイレントコメディ・デュオ」として、パントマイムの固定概念を超えた演劇作品とショーで、世界35カ国以上から招待されて公演を行う。

2019年、約20年におよぶデュオ活動に終止符を打ち、ソロアーティストとしてが~まるちょばを継続する。2021年、東京2020オリンピック開会式では、クリエイティブチームのクリエイターとして参加。ロック、バイク、革ジャンをこよなく愛し、その造詣は限りなく深い。