中山優馬が主演を務める映画「189(イチハチキュウ)」の完成披露イベントが、11月18日(木)に行われ、中山、共演の夏菜、吉沢悠、前川泰之、灯敦生、太田結乃、滝川広志(コロッケ)、寺西拓人、主題歌を担当する降幡愛、監督の加門幾生が登壇した。

この作品は、児童相談所虐待対応ダイヤル“189(いちはやく)”に助けを求める小さな命を救うために奔走する児童虐待対策班を通じて、社会問題を描くことで、問題解決の一途を担えればという願いから誕生したヒューマンドラマ。中山は、児童相談所虐待対策班で働く新人児童福祉司の坂本大河を演じ、5年ぶり2度目の映画主演を務める。

撮影を振り返り、中山は「今回の役は、台本を読んだときから、多くの方が僕の演じる役の発する言葉や行動に、共感をしていただけるんじゃないかなと思いまし、僕もその中の1人です。なので、役作りという意味では大変だったという印象はないです」と振り返った。

また、中山は以前ドラマで、虐待をされる側の役も演じており、「何年か前に、自分が虐待される役を演じたドラマの印象が濃くて、今でも鮮明に覚えています。本作で虐待をされている、星羅ちゃん(太田の役名)の感情とか思いがわかる気がして…。その分、自分の役の熱量につながりました」と明かした。

3人の子どもを持つ前川は、「長女が14歳になりましたけど、親として何が正解かいまだにわからない。(親として)不安とか、孤独感を感じる人がいるというのは、僕も共感できます。虐待の事件を見たときに、その虐待を受けた子どもが、うちの子と同い年だったりすると、本当に心が痛みます。『自分は何が出来るのか?』と思っていた矢先に、この仕事のお話をいただいてうれしかったです」とコメント。

父親から虐待を受けている増田星羅役を演じた太田は、「あんまり、お母さん役の灯さんと、お父さん役の吉沢さんと仲良くすると、(演技で)泣けなくなってしまうので、距離を置いて話をしてたりしていました」とコメントし、父親役の吉沢は「少し距離を感じました…」と悲しそうに答え、会場を笑わせた。

普段はものまねタレントとして活動している滝川は、「監督にまず『僕、大丈夫ですか?』と聞きました。劇中で、『(児童相談所の)所長です』と現れたときに、『映画を見た人が、くすっと笑ってしまうのでは?』という不安があるんです。でも、加門監督が『余計なことはしなくて、普通でいいから』って。普通じゃないことを40年してきたのに(笑)。今回、社会問題になっている本作に選んでいただいたので、ふざけた顔にならないように真面目にやりました」と笑い交じりに語った。

ふと滝川が、「モノマネはやらなくていいですか?」と観客に尋ねると、会場から拍手が。本作の感想を語る福山雅治のモノマネを披露すると、会場から笑いが起こり、気をよくした滝川が「監督、もう一個くらい、モノマネをしたほうがいいですか?」と尋ねる場面も。加門監督が「もう大丈夫です」ときっぱりと断り、さらなる笑いを誘った。

第1子を妊娠した夏菜。「虐待はしたくてするものじゃない」

先月、第1子の妊娠を発表した夏菜は、「この映画を撮影しているときは、結婚もしていなかったし、妊娠ももちろんしていなかったので、まさか1年後にこのような形で立っているとは…という感じです。妊娠して思うのは、孤独を感じているお母さんや、お父さんはたくさんいて、虐待することは絶対にダメなことですが、子どもを救ってあげるのと同時に、その両親も救ってあげなければいけないということ」。

続けて、「いろいろなアプリやネットの掲示板で、『子どもがお腹の中にいますが、まだ親になれる気がしません…』と言う方がたくさんいて、私もその気持ちがすごくわかる。虐待はしたくてするものではないと思うので、苦しんだり、悩んでいるお母さんがいたら、そばにいたいと思いました」と心境を語った。

寺西は、「僕自身、映画が大好きな人間なので、このお話をいただいて本当にうれしかったです。大尊敬する先輩である中山優馬くんのもとで、お芝居が出来るというのはありがたい機会です。この作品を見た誰かの何かを変える手助けが出来ればと思い、作品に参加しました」と緊張気味に話すと、中山から「なんでそんなに汗をかいているの?」とツッコミが。

寺西は、「めちゃくちゃ暑くないですか?すみません、お恥ずかしいところを…」と答え、司会者は「ライトが当たっていますからね」とフォローした。

中山は寺西との共演に対し、「(大尊敬というのは)完全にいじっています。でも、(寺西とは)いろんなところで共演させていただきましたけど、頼りになる後輩で、自分の心の支えになったぐらいです。楽しい役者さんです」と感謝した。

太田との共演について中山は、「本当に、リハーサルの段階で何度も自分の感情が溢れそうになる瞬間がありました。太田さんは、共演したすべてのシーンで自分を引っ張ていってくれた存在。どれだけひどいことをされてきたのかと、想像をさせてくれる演技で、自分の感情が溢れてしまうのを、自制した瞬間が何度もありました」とコメント。

加門監督は、「今回の映画を作るきっかけには、2018年の1月と3月に立て続けに起きた児童虐待事件があったんです。それをヒントに台本を作ったんです。児童虐待がテーマの映画は増えてきましたが、児童相談所を舞台にした映画は今回が初めてなんじゃないかと思います。189という数字は、児童虐待を調べれば調べるほど、奥が深い。いろいろな思いになりました。189というナンバーを広めるために、タイトルもド直球に『189』とつけた経緯があります」と説明した。

最後に中山は、「映画の中では、つらい描写もたくさんありますが、愛の物語でもあります。日本で実際に起きている事件ということで、たくさんの方が知るべきテーマの作品に仕上がったと思います。全力をキャスト、スタッフで尽くさせていただきました。ぜひこの映画がたくさんの人に届くように祈っています」と締めくくった。

<ストーリー>

児童相談所虐待対策班で働く新人児童福祉司の坂本大河(中山優馬)は、ある日、シングルマザーの母親に虐待され、一時保護所にいた4歳の藤沢芽衣を母親の元に帰す現場に立ち会う。

翌日、大河は芽衣が亡くなったと知らされショックを受ける。上司の安川(前川泰之)から休養を取るように言われる大河だが、生前の芽衣が「家に帰りたくない!」と訴えていた姿を思い出し苦悩した末、辞表を手に職場へ向かう。

そのとき、父親にひどい虐待を受け、病院に搬送された6歳の増田星羅(太田結乃)の元へ向かってもらえないかと職場から電話が入る。病院で面会した大河に星羅は、「いまのパパはいらない…家に帰りたくない」と告白する。

父親の勝一(吉沢悠)は、星羅の傷は「娘が自分でやったこと」と虐待を否定。大河たちが星羅を一時保護すると告げると、「星羅は私の娘だ!連れて帰る!」と怒鳴り出す。

医師から星羅の傷は、虐待によるものである可能性が高いと聞かされた大河は、星羅を一時保護所に預け、弁護士の秋庭詩音(夏菜)と共に虐待の事実を立証し、勝一と妻の典子(灯敦生)の親権を停止にできないかと奔走するのだが…。

映画「189」は、12月3日(金)より、全国公開。
©2021「189」制作委員会
配給:イオンエンターテインメント

最新情報は、映画「189」の公式サイトまで。