8月2日(日)14時から放送されるフジテレビ『ザ・ノンフィクション おなかも心もいっぱいに~はっちゃんの幸せ食堂~』。
群馬・桐生市にある小さな食堂をひとりで営む84歳の田村はつゑさん、通称・はっちゃんを特集する。
はっちゃんの食堂は、県外からも客が来るほど人気で、いつもたくさんの客でにぎわっている。食べられるのは、筑前煮やカレイの煮付け、焼きナスや山菜の天ぷらといった「おふくろの味」が15品以上。しかも、500円で食べ放題だという。
「おなかも心もいっぱいにしたい」という思いで22年間営業しているが、500円では採算が取れず毎月7~8万円の赤字。それでもなぜ食堂を続けるのか…。そこには、小学校にも通えず10歳から働き続けてきた壮絶な人生と、57歳で人生を変えた、ある「恩人」との出会いがあった。
そんな中、はっちゃんの食堂にも新型コロナの影響がおよぶ。客が減り、食堂の営業を休止せざるを得ないが、生きがいを奪われたはっちゃんは、人が変わったように落ち込んでしまう。そして2ヵ月半後、食堂の再開を決めるが…。
今回、その番組の語りを黒木華が担当した。透き通るようなやさしい声で、はっちゃんの人生を丁寧に読んだ黒木。どんなことを感じたのか、収録後に聞いた。
<黒木華 インタビュー>
――今回、『ザ・ノンフィクション』のナレーションに初挑戦されましたが、オファーを受けての感想は?
今まで自分でも『ザ・ノンフィクション』を見ていたので、お話を聞いて「私が参加できるんだ」と素直にうれしかったです。
――事前に台本を読み、映像もご覧になり臨まれたそうですが、収録を終えての手応えは?
はっちゃんの思いは、映像にすべて出ていましたので、読んでいても自然と気持ちがそっちに寄っていく感じがして、特に何かを意識することなく読めました。
いつも人と触れ合っていて、人のあたたかさに感動して自分の店をやろうと思い立ってやっていたのにそれができなくなるという絶望や、なんともできない、やる気が出ないっていう気持ち…。
コロナ禍でみんなが同じ経験をしていますから、食堂を休むことで生きがいをなくしてしまうというはっちゃんの気持ちは、よく分かりました。
――84歳のはっちゃんはパワフルですね。
本当に。こういうパワフルなおばあちゃんってものすごく必要ですよね。人と人とが触れ合うことの大切さを、特に顕著に知っていらっしゃる年代だと思うので、こういう方がいらっしゃるというのがすごくうれしいです。
私も先日、自粛が解除されてリモートではなく、実際に人と対面でお仕事をしたときに、すごく安心感、充実感があったんです。そういう意味でも、はっちゃんのような方がいらっしゃるというのは、希望だと思いながら見ていました。
そして、最終的には人と会話をしたり、触れ合ったり、はっちゃんが言っていたことに尽きるんだな、と。つながりが人を助けるし、誰かにした親切が返ってくるというのも、世知辛い世の中…ではないですけど、なくならないでほしいなと思いました。
――特にコロナ禍では、痛感させられますね。
「(人とつながっていないと)冷たい人間になっちゃうよ」というはっちゃんの言葉がありましたけど、今、こういう状況ではその線引きがすごく難しいですよね。ウイルスの感染を拡大させてはいけないけれど、それでも少しでもやさしい気持ちを持って相手に接することを忘れないようにしたいな、と思うんです。でも、そうできない人の気持ちもわかるから難しいんですよね。そういうのを含めてコロナの被害なんだな、とすごく思いますね。
――一方で、はっちゃんの食堂のにぎやかさは見ていて楽しい気分になりますね。500円で食べ放題の食堂をご覧になった印象は?
近所にほしいです!おふくろの味といった感じでどれもおいしそうでしたし、すごくいいなと思いました。しかも、自分の年金を使って赤字になっても気にせずやっていて、お子さんには「タダでいいよ」とサービスして。昔ながらのお母さんっていう感じがしました。お会いしてみたいです。元気がもらえそうです。
――はっちゃんの生きがいは食堂ですが、黒木さんにとっての生きがいといえば?
やはり、お芝居です。ありがたいことに、お芝居は自分にとって好きなことであり、楽しいことであり、それが仕事になっています。私たちの仕事、特に舞台は、不要不急なものではないですが、それでも、絶対になくてはならないものだと感じていて。こういう時だからこそ、元気になったり、楽しめるものが必要で、そこに自信を持たなければいけないと思うのですが、実際に演じることがなかったので、自分の価値というものをすごく考えました。
自粛期間は、本を読んだり映画を見たりはしましたけど、それ以外やることがなくて。「何をすればいいんだろう」と不安になりました。
仕事がなくなった時のことも考え、「今から会社員になれるかな?」なんて思うこともありました(笑)。だから、こうやってお仕事をいただけること、人と人が集まって、触れ合いながら物づくりができることのありがたさを痛感しています。
――最後に、番組を楽しみにしている視聴者にメッセージをお願いします。
80歳を超えたはっちゃんのパワーと、困難な時でも人と人とのつながりやあたたかい心があれば乗り越えていけるかもしれない、ということが描かれていますので、ぜひみなさんに見ていただけたらな、と思います。少しでも前向きな気持ちになっていただければうれしいです。これから状況がよくなるように願いながら…。
収録後、黒木がフジテレビュー‼のためにナレーションの一部を披露してくれた。