8月14日(金)、映画「僕の好きな女の子」の公開初日リモート舞台挨拶が行われ、ゲストにお笑い芸人で芥川賞作家の又吉直樹、俳優の渡辺大知、女優の奈緒、同映画の監督を務めた玉田真也が登壇した。

同映画は又吉が2017年に「別冊カドカワ 総力特集『又吉直樹』」に書き下ろした恋愛エッセーが原作。渡辺が、好きな人に好きだと告白できない青年の加藤役を、加藤が恋心を抱く自由奔放な美帆役を奈緒が演じた。

舞台挨拶の模様は、上映を終えた新宿シネマカリテにいる観客へ同時中継された。

左から)玉田真也、渡辺大知、奈緒、又吉直樹

渡辺「自分なりの思いの伝え方を模索する 」映画に込められた思い

冒頭のあいさつで渡辺は、「(コロナ禍で)大変な状況になりましたが、無事公開初日を迎えられて、嬉しく思っています。本当にありがとうございます。こんなに距離感のつかめない舞台挨拶は初めてなので…」とリモートによる舞台挨拶に戸惑いながら別会場の観客へ笑顔で手を振った。

奈緒は、「(本映画の)撮影が1年半前ぐらいなんですけど、公開されることを心から楽しみにしていたので、嬉しいです。(舞台挨拶は)カジュアルな格好でと言われていたのですが、直前になって嬉しさが増して赤を選んでしまいました」と恥ずかしそうに語った。

又吉は、「ちゃんと原作者として呼ばれています。勝手に来たわけではありません。今日は、青いジャケットを着ているのですが、(衣装のコーディネートは)髭から下に行くにつれての(青い)グラデーションをイメージしています」と奈緒の衣装にかけて小ボケを披露した。

執筆当時のことを聞かれた又吉は、「『好みのタイプは?』などの質問受けても、わからなくて。『僕の好きな女の子』のエッセーの中で真剣に考えてみようと思って、僕はこんな女の子が好きなんだろうという、一つの気づきみたいなのはあって、中年男性が好きな女の子を妄想するというすごく気持ち悪いエッセーなんです」と吐露した。

本作の役を演じるにあたり、渡辺は、「今回の原作が、妄想を軸に語られているんですけど、自分が意識したところでいうと、彼女とのやり取りが地に足をついた感じ、実感を伴った妄想のように映ればいいなとイメージしました」と話した。

奈緒は、「『僕の好きな女の子』なので私は何もしない方がいいのかなと。いつもは主観的にいただいた役のことを考えるのですが、あまり美帆の主観が入ると加藤さんから見た客観性が崩れてしまう気がして、今までで一番、美帆がどう思っているかをなるべく考えないようにしてお芝居をしました 」とコメントした。

それを受けて又吉も、「完璧なキャスティング!そう思いません?」と2人の配役に太鼓判を押し、奈緒も「嬉しいです。ずっと又吉さんとお話をする機会が無くて、自分は(又吉が執筆した)『僕が好きな女の子』(の美帆 )ではないんじゃないかと思っていたので」と胸をなでおろした。

本映画の恋愛観に対して奈緒は、「(映画のワンシーンで)ケーキを買っていって渡せなかった加藤さんに対してすごく共感できて、好きな人に嫌がられたらどうしようとか思って、好きで(その人を)避ける。ちょっと距離を置いてしまったりとか。自分にもあるかもしれない」と告白。

又吉も「僕の好きな人は永遠に僕のことを好きにならない。その状態が好きというのは、変態なんですけど(笑)。子供の頃からそれを繰り返している感じです。好きなが人いるけど、言わず。好きな人は僕のことを絶対に好きにならない。そういうのを見てより一層好きになる」と独特の恋愛観を明かした。

最後に渡辺は、「この映画は、人と人との距離感のはかり方というか、思いを伝えるときの言葉を、あれこれ考えるような作品になっていると思っています。自分なりの思いの伝え方を模索する。この時代にすごく大事な映画になっているんじゃないかと思います」と舞台挨拶を締めくくった。

最新情報は、映画「僕の好きな女の子」の公式サイトまで。