――“語り”を収録し終えた今のお気持ちは?
私は、94歳まで生きた曾祖母と幼少期から一緒に暮らし、“お世話をしてもらう側”から“お世話をする側”になることを経験している身だったので、今回の番組は、他人事には思えませんでした。
大介くんとは年も近いですし、重なる部分もあったので、どこかこう、自分が中に入りすぎてしまう瞬間みたいなものもあって。
そこを、「平常心、平常心」と心でつぶやきながら、どこにでもあり得る日常の一つだと思いながら読ませていただきました。
――大介さんは、ヤングケアラーでしたが、どんなことが印象的でしたか?
言葉を選ばずに言うなら、「なんていいやつなんだろう」と。こんな息子、私も欲しいと思いました。いつもパンツ一丁でいる姿とか、正直だし、素直だし、きっとたくさん気を使って生活しているんだとは思いますけど、その中でも縛られ過ぎない、自由な大介くんの姿に(自分も)共存しているような気がして。すごく素敵な男性だなと思いました。
――林家という家族はどう映りましたか?
私は母子家庭で曾祖母と暮らし、今は祖父母と一緒に暮らしています。家族が10あったら、10家族すべてが違うように、家族の形はそれぞれという中で、大介くんの家は、お父さんは認知症になってしまったけれど、本当に素敵な家族だと感じました。
認知症になったお父さんが子どもたちを育てたところがある、とお母さんがおっしゃっていて、それはすごく感慨深い言葉だなぁ、と思いました。
――大変な中でも、お父さんには笑顔も多く見られました。
それを見て私も笑顔になれました。お父さんがニコッとする姿に、お父さんがこの家族で15年暮らしてきたことが詰まっているんだろうな、って。
認知症になってしまったけれど、私はかわいそうだとは思わなくて、とても素敵な家族だと感じましたので、みなさんにもそんなふうに感じていただけたらいいな、と思いました。
――家族のさまざまな場面が映し出されましたが、中でも印象的だった場面といえば?
車の中のお母さんの涙です。寂しいだけでも、悲しいだけでもない、なんとも言えないいろんな感情がにじみ出た涙だったんだろうな、と感じて。あそこのブロックは、2回読ませていただいたんですけど、私自身もすごくグッときました。本当に頑張ってこられたと思いますし、強いお母さんだなって。
あそこでの大介くんも、無理にお父さんに話しかけると、あふれてしまう感情があるから、それを出さないように、彼なりのこらえ方をしているのがすごく見えました。
――林家では、お父さんが大好きな吉田拓郎さんの曲がドライブの定番だと出てきますが、富田さんのお宅にはそういった曲はありますか?
うちは結構ファンキーな家で、母がジャニス・ジョプリンとか、昔のロックバンドの曲とかが好きなので、そういうのが流れていたりします。サーファーだった父(※)とも、音楽の趣味も合っていたんだろうな、と想像します。私自身、そういった曲を聴くと、初めてでも、なんか懐かしい感じがするんですよね。DNAみたいなものがあるのかもしれないですね。
※富田さんの父は、富田さんが生まれる前に他界しています。