――ジェナに共感するところはありますか?
ミュージカルのヒロインって、どこか特別でキラキラしているイメージがあるのではないでしょうか。
でも、ジェナは夫・アール(水田航生さん)からの束縛に耐えながら、ダイナーで地道に一生懸命働いています。そんななか、妊娠が判明。人生を大きく変えたいけれど、変えるほどの勇気もなく毎日を過ごしている女性です。
何か変えたいけれど、どう変えていいかわからない、勇気が出ない…みたいな経験は私自身もありますし、きっと年齢を重ねるほど「こんなはずじゃなかった」と思うことは増えるのかもしれません。
でも、そんな時こそ、ジェナをとても身近に感じられたり、人生の舵を切る姿に勇気をもらえたりするかもしれません。

――高畑さんは『ウェイトレス』だけでなく、『ミス・サイゴン』(2022年)や『宝飾時計』(2023年)など、人生の岐路に立つ女性を描いた作品のヒロインを務めている印象があります。
いろいろなタイプの俳優がいると思うのですが、私は自分の年齢が上がるにつれて、同世代や女性の気持ちに寄り添えるような、リアルな役をやりたいという気持ちが強くなっているんです。
最近、“恋する乙女”のようなヒロインより、“自分の足で立って歩く女性”を描いた作品が多いのは、私自身がそういう自立した女性に憧れているからというのと、「今の自分だからこそできる作品を届けたい」という思いがあるからです。
私は、芸能活動がミュージカルから出発したのもあって、ミュージカル特有の“現実逃避させてくれる夢の世界”が大好きなんです。『ウェイトレス』はそういう華やかな空気感もありつつ、女性の現実もしっかり見せてくれる作品だと思います。
10代で共演した森崎ウィンが「すごくうらやましかった」
――ジェナが惹かれる産婦人科医・ポマター医師役の森崎さん、ジェナとともに働くウェイトレス・ドーン役のソニンさんとは、本作でミュージカル初共演。2人の印象はいかがですか?
ソニンちゃんは以前から、劇場や仕事現場で会うとよく話しています。
ソニンちゃんが演じたミュージカル『スウィーニー・トッド』のジョアンナも、『ミス・サイゴン』のキムも、その後の再演で、私も演じさせていただいたというご縁があって。だから、“ミュージカル初共演”という感じはあまりしないです。共演できるのがすごく楽しみです。

ウィンくんは10代の頃に、映画で共演したことがあって「なんてハッピーな人なんだ!」と思いました。ものすごく陽気でポジティブなところが、当時の私はすごくうらやましくて。あれから時を経て、まさかミュージカルで共演できる日が来るとは思っていなかったので、うれしいです。
ウィンくんは歌のリズムの取り方が、ちょっと洋楽っぽい印象があるので、今回ウィンくんの声で『ウェイトレス』のナンバーを聴けるのが、とても楽しみです。