さまざまな作品で輝き続ける宝塚歌劇団の元スターに、その秘訣やこだわりを語ってもらうインタビュー連載「宝塚OG劇場」。第2回は、星組男役スターとして活躍し、2019年に退団した七海ひろきが登場。

在団中は「風と共に去りぬ」「燃ゆる風-軍師・竹中半兵衛-」「霧深きエルベのほとり/ESTRELLAS〜星たち〜」などで、コミカルな役からクールな男役まで務める“演技派”として注目される一方、親しみやすいキャラクターで多くのファンを魅了した。

退団後は俳優、歌手、声優など多彩な活躍を見せ、10月9日(土)からは、コロッケとともに舞台「令和千本桜〜義経と弁慶/コロッケものまねオンステージ2021」に出演する。

そんな七海へのインタビューを前後編でお届け。前編では「令和千本桜〜義経と弁慶/コロッケものまねオンステージ2021」の見どころや、コロッケとの共演について聞いた。また、タカラジェンヌOGといえば、オシャレで個性的なファッションも魅力のひとつ。そこで本連載では、それぞれの“こだわりの一着”も紹介してもらう。

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コロッケさんとの共演に「すごく刺激を受ける」

――出演オファーを聞いたときは、どんな気持ちでしたか?

「えっ、あのコロッケさん!?」と、ご一緒できるうれしさでいっぱいでした。いつもテレビでモノマネを拝見している、エンターテイナーのコロッケさんと舞台に立てることが、もう何よりうれしくて。ただ、私はモノマネはできないよ…と少し不安になりましたが(笑)。

演目が「義経と弁慶」と聞いて、コロッケさんの弁慶姿はすぐにイメージできました。お話を聞いたときは、まだ義経役の詳細は分かっていませんでしたが、歴史上の人物として、コロッケさんと並ぶことができるのは、すごく楽しみだなと思いました。オファーしてくださって、すごく感謝しています。

――稽古を重ねた今、コロッケさんにどんな印象を持っていますか?

初めてお会いしたときから、あまり変わっていません。コロッケさんのお話を聞いていると、尊敬する部分がすごくたくさんあります。エンターテイナーとして、ご自分のことより、お客様が面白いと思ってくれるか、楽しんでくれるかということを、四六時中考えていらっしゃいます。

――例えば、どんな場面で感じますか?

1つひとつのシーンを作っていく中で、「こっちのほうが面白いんじゃないか」とか「これ1回やってみよう」とか、どんどん新しい提案をしてくださるんです。例えば、台本では弁慶の裏頭(頭にかぶっている白い頭巾)を巻くようなシーンがあったんですけれど、「これだとちょっと間延びしちゃうから、こうしてみよう」と、提案がパッと出てくるんですよ。それがやっぱりすごい。そして、面白い(笑)。

それぞれのシーンで、台本にはないアイデアも出して丁寧に考えてくださるのが、すごく印象的です。それによって、共演者の皆さんのお芝居も全然変わってくるので、すごく刺激を受けますね。

私も舞台に立つときは、お客様が楽しんでくれることが一番だと思っているので、コロッケさんの考え方やお話を聞いていると、本当に尊敬できる、素晴らしい方だなと改めて思います。

――では「令和千本桜」の弁慶は、今までの弁慶像とはまた違うのでしょうか。

コロッケさんは「弁慶の役としては、はみ出さず、でもクスクスと笑えるところはお客様に笑ってほしい」とおっしゃっているので、皆さんが持っている弁慶のイメージからかけ離れず、でも“コロッケさんバージョンの弁慶”になると思います。

――義経の見どころを教えてください。

義経は、飛びます(笑)!お稽古でちゃんと飛べれば、本番でも飛びたいと思います。幕が開いて序盤に、弁慶と義経の出会いのシーンがあるのですが、コロッケさんも「お客様の心を掴む場面にしたい」とおっしゃってくださっているので、一緒にすごくいい見どころにしたいなと思っています。

――稽古の手応えはいかがですか?

今は新型コロナ感染対策もあるので、長時間のお稽古ができるわけではなく、短い時間の中で、ものすごく集中してやっています。お稽古以外の時間は、自分の中でできることをやっています。

「聴くのと歌うのは全然違う…」大好きなアニソンを練習中

――第2部「コロッケものまねオンステージ2021」のポイントも教えてください!

コロッケさんが鉄板ネタ、そして新しいネタも披露される予定です。演目のレパートリーを見させてもらったら、もうめちゃめちゃ楽しみで(笑)。自分も出演するんですけれど、一観客のような気持ちでワクワクしています。素晴らしいラインナップなので、ぜひ楽しみにしてほしいですね。

――七海さんは、どんなパフォーマンスを披露しますか?

歌とダンスを何曲か組み合わせたショーを予定しています。最初は、人気のヒット曲で華やかにスタートし、皆さんもご存知の有名な曲に合わせて歌ったり踊ったりします。そして、私が声優として出演させていただいているTVアニメ『かげきしょうじょ!!』(AT-X)のエンディングテーマ「星の旅人」をどうしても歌いたくて、今回、歌わせてもらいます。

――どんなイメージで、選曲や全体のテーマを決めましたか?

お客様は「こういう七海ひろきを見たい」と思ってくださっているだろうな…と想像して、スタッフの皆さんと相談しながら構成しました。歌詞が素敵だなと感じた曲や、好きな曲を選んでキュッと詰め込んだので、ステージで披露したいと思います!

――『かげきしょうじょ!!』の「星の旅人」は、特にお気に入りなのですか?

この曲は、初めて聴いたときからすごくかっこいいなと思っていて。『かげきしょうじょ!!』は、女性だけで作り上げる架空の歌劇団で、少女たちが未来のスターを目指し、情熱をそそぐ物語です。「星の旅人」は、宝塚歌劇団でも作曲を手がけている斉藤恒芳先生が作られているのですが、2人のメインキャラクターの心情が表現されています。

ずっと「すごく素敵な曲だな。どこかで歌える機会はないかな…」と思っていて、今回お願いをして歌わせていただくことになりました。

アニメのエンディング映像も雰囲気がすごく華やかで、綺麗な衣装を着たキャラクターや大階段も描かれているので、今回のステージでも、その煌びやかな空気をより表現できるのではないかなと思っています。この機会に歌えるのは、うれしいです。

――実際に歌ってみて、いかがですか?

やっぱり、聴くのと歌うのって全然違うんだなと思いました(苦笑)。どの曲も、いざ歌おうと思うと、とても難しくて。今、頑張って練習しています!

<こだわりの一着>上級生に教わった「紳士の嗜(たしな)み」ピンキーリング

洋服よりアクセサリーのほうが“こだわり”があるなと思って、指輪にしました。

アクセサリーはよくつけるのですが、だいぶ前から、存在感のあるピンキーリングをつけるのがこだわりです。

在団中、確か「カサブランカ」(2009年)の公演のときだったかな…上級生の方が「カッコイイ男は、小指に指輪をつける」という話をしてくださって。「普段あまりオシャレをしない人でも、指輪をはめるのが紳士の嗜(たしな)みだ」と聞いて「なるほど、これがオシャレか!」と思い、自分もつけるようになりました。

あえて、ちょっと太めだったり、存在感のある指輪を小指につけることが多いですね。今は5個の指輪を使い分けています。今日はめているのは、一番シンプルなものです。洋服がシンプルなので、これが合うかなと思って選んでみました。

あと、今日はなぜか忘れてしまったのですが…いつもは腕時計もつけています。腕時計とアクセサリーは、「今日はこれが、一番テンションが上がる!」と感じたものを選んでいます。

買い物は、インスピレーションに委ねるところがあります。「これいいな」と思ったものをパッと買うことが多いです。最近は、コロナ禍であまり外に出る機会がないので、ネットショップで買ったりもしています。

撮影:河井彩美

<「令和千本桜〜義経と弁慶/コロッケものまねオンステージ2021」公演情報>


ものまね界の帝王コロッケと、元宝塚歌劇団男役スター七海ひろきの、異色のコラボが実現した究極のエンターテインメント。

出演:コロッケ、七海ひろき 、高橋健介、蒼木陣、日向野祥、矢島舞美
   上田堪大/川原一馬(ダブルキャスト)

10月9日(土)~10月21日(木)/ 明治座

最新情報は、「令和千本桜〜義経と弁慶/コロッケものまねオンステージ2021」公式サイトまで。