9月27日(月)、お笑い芸人ハライチ・岩井勇気著書のエッセイ集「どうやら僕の日常生活はまちがっている」の刊行記念・囲み取材が行われた。
この作品は、2年ぶりの発売となる岩井のエッセイ集第2弾。のどに刺さった魚の骨に悶絶するやいなや、スピーチを頼まれた同級生の披露宴をすっぽかす。地球最後の日に食べるものをひたすら想像しながら、寅さんの映画に突然涙する話などを収録。また、岩井による初の小説も収録している。
ピース又吉からもらったアドバイス「小説家の方が手厚く扱われんねん」
ひょうひょうとした表情で取材会場に姿を見せた岩井は、「第2弾のエッセイが明日発売になりますので、今日はできる限り記者さんの質問に答えさせていただきたいと思います」とあいさつ。
前作の「僕の人生には事件が起きない」が累計10万部の大ヒットしたことを受けて、「1冊目のときは、最初に書いたエッセイと最後の方では、技量が違うところがあったんで、2冊目が本当のスタートです。2冊目が1冊目であり、1冊目は素振りですね。2冊が本試合。『素振りで10万部いっちゃったな』という感じはありますね」と自画自賛。
また本作について、「最後に小説を書かせていただいて、エッセイから小説をそのままスルーっと読めるようになっていますし、小説を読んでからエッセイを読み直すと、エッセイも小説のような感じを味わえるようになっています」と解説。
初めて小説を書いた感想を、「エッセイの延長上で書きました。エッセイを50本近く書いているので、その書き方で小説が書けたな、と。ピースの又吉直樹さんにお会いしたときに『小説書けって言われるやろ。出版社はすぐ言ってくんねん』と言われ、『確かに出版社に言われたような気がします』と話したら、『2冊目を書いてからにしな』とアドバイスをもらったので、今回の2冊目の本に小説を書いたのは、それを参考にした部分はあります」と明かした。
「又吉からの具体的なアドバイスは?」と質問されると、「『エッセイと小説はどう違うんですか?』と聞いたら労力的には一緒なんですって。でも、『小説家の方が手厚く扱われんねん』とおっしゃって『確かにな』と。僕が、エッセイみたいな小説を書いて、これが小説という風に位置づけられて手厚く扱われるようになったら、『出版業界どうなんだろうな?』という意味も込めて書きました」と話し、会場を笑わせた。
本作の制作期間を聞かれると、「(制作期間は)2年ですね。『しばらくは、書かなくてもいいかな』と思っていたんですけど、いつの間にか新潮社さんでも連載を始めさせられていまして。『1~2ヵ月くらいのペースでのんびりやっていこうかな』と。『エッセイの数が溜まったら本を出せばいいかな』と思っていたら、連載ペースが月2くらいになっていて、あれよあれよと出版が決まっていました」と振り返った。
本作のタイトルについては「まさにパクったんですよね(笑)。『どうやら僕の日常生活はまちがっている』と『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている』というライトノベルのタイトルがすごく似ていると思うんですけど。パクったんです。向こうは、『俺ガイル』と略されるので、こっちは『僕ガイル』と略しています」と自ら暴露。
1作目の「僕の人生には事件が起きない」のタイトルにも秘密があるそうで、「『僕は友達が少ない』というアニメ化したライトノベルがあるんですけど、それもパクリだったんですよね。僕は、小説とか活字を一切読まなくて、ライトノベルしか読んだことがなかったので、馴染みのある感じのタイトルにしたんです。『怒られたら怒られたでいいか』みたい思ったので」と説明した。
「印税が少ない…」岩井が出版業界へ愚痴を連発
「相方の澤部佑に本を渡したか?」と聞かれると、「前の作品も渡していないので、澤部に渡すことはないですね」ときっぱり。そして、「澤部さんは制作する側の人間ではないですし、高評価をいただいてもうれしくない。逆に『澤部の心に刺さっちゃったんだ…』とがっかりする部分もありますので」と本音を漏らした。
本を渡したことがある人を聞かれると、「僕のエッセイの第1弾を、僕が直接渡したわけでもないし、僕と仕事をするために読まなくてはいけないわけでもないのに、読んでくれた人が2人だけいるんで、その人たちだけに渡したんですけど。それは、島崎和歌子さんと磯野貴理子さんですね」とコメント。
続けて、「僕はこのエッセイの第2弾出すというワクワク感が連載中にはなかったんですけど、途中で島崎さんや磯野さんと仕事で一緒になったときに、『岩井くんのエッセイ面白かったよ』って言ってくれたので、この第2弾のエッセイは島崎和歌子さんと磯野貴理子さんに捧げます」と宣言。
2作目の販売目標については、「前作で10万部売れたときに思ったんですけど、執筆に2年間かけて作ったものの実入りがこれだけでは少ないなと…。『これだけでは、生活ができない』と思うくらい少なくて、『作家の方はどうやって生活しているのだろう?』と思いまして。リアルにギリ50万部あれば2年間は生活できるなという計算でしたね」とぶっちゃけ。
印税の使い方は、「10万部の印税だと贅沢しなくても2年生活できない。出版社と事務所をかませると、最終的にカスみたいな金額しか残らない。本当にびっくりしていたんです」と振り返りつつ、「『10万部も売れているんだから、儲かっているんでしょ?』と疎まれる感じを入れたら、逆にマイナスかもしれない。そこまでの金額じゃないということはわかってもらいたい。エッセイの前書きに、そのことも書きましたので、それを読んでほしいですね」と呼びかけた。
岩井の勢いは止まらず、「芸能人の本ってなんで売れているのかわからないじゃないですか(笑)。50万部は行きたい。100万部行っちゃうと、こっちも引いちゃうところがありますね。50万部くらいが一番実感がわくのかなと思います」と語った。
最後に、「このエッセイは、第1弾を出したときから10万部も売れたので、楽しみにされている方もいらっしゃると思いますが、今回の第2弾のエッセイは、島崎和歌子さんと磯野貴理子さんに向けたものになっています。買う人は読んでいただいて、結構なんですけど。僕はあの2人にあげる2冊があればいいなと。重版されることはありがたいことなので、皆さん、島崎さんと磯野さんになったつもりで読んでいただければ」と締めくくった。
最新情報は、「どうやら僕の日常生活はまちがっている」の公式サイトまで。