11月7日(土)、映画「461個のおべんとう」の公開記念舞台挨拶が行われ、井ノ原快彦、道枝駿佑、森七菜、映美くらら、阿部純子、兼重淳監督が登壇した。

映画「461個のおべんとう」は、ヒップホップバンド「TOKYO  No.1 SOUL SET」の渡辺俊美によるお弁当エッセイ「461個の弁当は、親父と息子の男の約束。」(マガジンハウス刊)を原作とした、お弁当を通して築かれる親子の絆の物語。

ここでは、舞台挨拶本編の模様をほぼ全文でお届けする。

「席の間を空けずに、お客さんが入っていることが本当にうれしい」(井ノ原)

──まずは、皆さんからご挨拶をお願いします。

井ノ原:皆さん、楽しんでいただけましたか?

(会場拍手)

井ノ原:すごい。ちゃんと声を出さず、拍手で応えてくださるんですね!今日はお忙しい中、ありがとうございます。無事に初日を迎えることができました。

出演者、スタッフ一同、力を合わせて作った作品です。このあと、いろいろとお話したいと思いますけど、見終わったあとだからこそできる話をいろいろとしていきたいと思います。よろしくお願いします。

──続いて、道枝駿佑さんです。

井ノ原:よっ!きんぴら!

道枝:きんぴらじゃないよ、きんぴら好きやけど!本日はお集まりいただきありがとうございます。初日を迎えられて、安心しています。この劇場だけじゃなくて、配信(全国の劇場でのライブビューイング)を見てくださってる皆さまも、楽しんでいただけたらと思っておりますので、今日はよろしくお願いします!

森:今日を迎えられて本当にうれしいです。よろしくお願いいたします。

映美:映美くららです!こんにちは。今日はお越しいただきありがとうございます。短い時間ですけど、皆さんと楽しい時間を過ごしたいと思います。よろしくお願いいたします。

阿部:皆さん今日はありがとうございます。2階まで満席ということで、本当に今日という日を迎えられて本当にうれしいです。今日は最後までよろしくお願いいたします。

兼重:ご来場いただきましてありがとうございます。よろしくお願いいたします。

──映画の公開、おめでとうございます!

井ノ原:ありがとうございます!監督、ひげ生やしたんですよ。普段、生やしてないんでしょ?

兼重:あの…ゲン担ぎで!「キセキ」という映画がヒットしたんですが、舞台挨拶のときにひげを生やしていたので(笑)。

井ノ原:しばらくそれで(笑)。

兼重:そうですね。

──これだけたくさんのお客さんが来てくださっていますが、いかがですか?

井ノ原:何度か舞台挨拶もやらせていただいたんですけど、こうやって、席の間を空けずにお客さんが入っていることが本当にうれしくて。やっとみんなが集まれる時期が来たんだなという思いもありますけど。

配信というのは僕もやるのが初めてなんですけど、先ほど、どこで配信しているのか見せていただいて。本当に全国なんですね!(劇中にも出てくる)福島の皆さんも見てくださっているかもしれませんし。本当に全国津々浦々、今の映像を見ていただいているというのは、本当にうれしいことですね。

初日って…僕、あまり映画をやっていないので、「初日、公開おめでとうございます」って言い合えるのが、とても新鮮で。監督からもメールをいただきまして。ありがとうございます。

兼重:いえいえ。おめでとうございます。

井ノ原:おめでとうございます。僕、最近ずっとドラマを撮ってまして。昨日ずっと黒木瞳さんと1日一緒に撮影してたんですけど、「あ、お互い今日初日ですね。おめでとうございます」って現場で言い合えたのが良かったですね。「あぁ、映画の初日っていいもんだな」と思いました。

それぞれが思う、映画のおすすめシーンとは?

──上映後だから話せるおすすめシーンを聞かせてください。

井ノ原:どうでしょう?あります?…まずね、この3人(井ノ原、映美、阿部)の並び、かなりレアなんです(笑)。(※)

※劇中で、井ノ原演じる一樹の元妻を映美が、現在進行形で付き合っている彼女を阿部が演じている。

道枝:確かになかったね。

井ノ原:あまり一緒にいちゃいけないような気持になりますね(笑)。みっちーは、おすすめシーン何かありますか?

道枝:最後の…パパと坂を上るシーン。あそこ、親子の成長した姿が見えるんじゃないかなと。

井ノ原:僕聞きたかったんですけど、最初、息子が子どものとき、保育園に迎えに行った帰りに「バンバン」と(銃を撃つように)遊んだりしながら坂を上ったりしていましたが、途中はすれ違っていくじゃないですか。最後また一緒に上るっていうのは、象徴的だなと思っていて。

兼重:最初から狙いでした。

井ノ原:みっちーは、最初は(背が自分と)そんなに変わらなかったんですよ。

兼重:そうですね。男の約束をするのに、居酒屋へ行くとき、わざと猫背でぎこちなく歩いてもらっているんですよ。2人で並ぶシーンって、ほとんどなくて。最後の坂道で並んぶことで「背が抜かれた」ということが分かるような演出にしました。

井ノ原:でも、そんなことより…撮影の1ヵ月の間で身長伸びてましたよね。

道枝:そうなんですよ!でも、「デカくなったな」というセリフがあったじゃないですか。僕、デカくなってたから、そのセリフが妙にリアルで(笑)。

井ノ原:そうだよね(笑)。僕は、立ち入っていない、学校のシーンが知りたいですね!

兼重:じゃあ、森さん!

井ノ原:なんかエチュードで作っていったっていうのは聞きましたよ。言わなきゃいけないセリフだけ決めてって。

兼重:「なんでダイエットしてるの?」っていうセリフだけ決めて。

井ノ原:それどうなの?やっているほうは。

森:エチュードをやらせていただいたおかげで、塾で私たちが仲直りするシーンがあるんですが、「どこ(遊びに)行く?」ってなった時の…。

道枝:悪い人なんですよ…。

森:「どこ行く?」って聞かれて、私は本番で(リハーサルとは)全部違うことを答えていたんです。

兼重:最後の最後に、「虹輝の行きたいところに」って言っていて。

道枝:そう!

兼重:「俺!?」っていうのは、素のリアクションですから(笑)。

森:それを使っていただいていたので、うれしかったです!

井ノ原:戸惑いが出てたね。

兼重:「あっこだ、あっこ!」って言っていて(笑)。

井ノ原:関西の人だから、大喜利かと思っちゃってたのかな。

道枝:違う!

井ノ原:面白いこと言わなきゃいけないと思っちゃって(笑)。

道枝:そこまでハードル上がってない(笑)。

井ノ原:そこは僕も良かったなと思って、好きなシーンですね。仲直りする瞬間って、見ていて気持ちいいですよね。2人の関係性とかも…おじさんたちがライブで一生懸命歌っていたんですけど、手つないじゃって(笑)。KREVAが一生懸命ラップやってるのに。あのラップで盛り上がったから手をつないだっていう説もありますよ(笑)。森七菜ちゃんは、今は違う人と恋を温めていますが…。

(会場爆笑)

井ノ原:僕、手をつなぐシーンは本当に好きで。いいもんだな~と思って。みっちーどうなの?袖を引っ張られるってどうなの?

道枝:リハーサルで手をつなぐ動きを確認してたの。そしたら助監督さんが「あ、慣れてますね」って言われて(笑)。

井ノ原:ははは(笑)。

道枝:慣れてないから!

井ノ原:でも、あれはちょっと新鮮でしたよね。

映美:この年になると、ああいうシーンないじゃないですか。

井ノ原:またまた~何言ってんすか!これからまだわかりませんよ(笑)。

映美:初々しいなと思って。「息子が恋しちゃった」みたいな。

井ノ原:親目線でやっぱり見ちゃいますよね。

映美:かわいかったです!

井ノ原:阿部さんは何かありますか?

阿部:私、井ノ原さんを1度振るシーンがあるじゃないですか。そのシーンが、実は名が回しで撮っていて、2、3ページ分くらいのものを一気に撮っていたんですけど。そこがなかなかうまくいかなくて。カラスが鳴いちゃったり。

井ノ原:そうそう。

阿部:そのおかげで、私は井ノ原さんを5、6回振りました(笑)。

井ノ原:ははは(笑)。何回もやりましたもんね。「これはうまくいっただろ」と思ったら、一般のおじさんが来て、カメラ目線をして去っていくっていうこともあって(笑)。5、6回振っていただいて光栄です。僕は、倍賞(千恵子)さんとのシーンは…僕は、子どもの頃から寅さんを見ていたので、さくらがお母さんになるんだ!っていう感動がありましたけど。あのシーンも自然な感じで。

兼重:そうなんです。朝、ロケ場所に来て、車を降りた瞬間から、福島弁をしゃべってくださって。

井ノ原:お弁当を食べている間もずっと福島弁で。温かい空気のなかでやらせてもらいました。

道枝:へぇ~。

井ノ原:「へぇ~」って(笑)。君にとってはおばあちゃんですからね。

道枝:おばあちゃん。福島弁、最初分からないとかなかったんですか?

井ノ原:一応、指導の方がいて、東京に長年暮らしているから、そんなに出ない。でも、実家に帰ると福島弁が出るという感じだったんですよ。みっちーも最近ね、ボケると関西弁出るんですよ。…なぁ、きんぴら!

道枝:きんぴらちゃうわ!

井ノ原:ははは(笑)。

道枝:じゃあ、俺も玉子焼きって呼ぶよ?

井ノ原:いいよ。

道枝:いいの!?あ、そう…。

兼重監督が「ありがとう」を伝えたいのは…「ユー」

──本作のキャッチコピー「3年間の言葉にできない『ありがとう』」にかけて、ありがとうを伝えたい人は誰ですか?

阿部:この映画を見て、母かなと思いました。いつでも見守ってくれているなっていう感覚があって。お母さんありがとう!

映美:私は、井ノ原さんにありがとうを伝えたいです。

井ノ原:なんで?

映美:他の作品でご一緒したことはあったんですけど、こんなに深い関係性は初めてだったし、緊張してたんです。急に夫婦になるって、壁があったりするんですけど、何年かぶりにお会いしたのに「おはよう。元気?」っていう距離感で来てくださったから、それがうれしくて。変な構えとか、遠慮はいらないな。飛び込んでいこうと思って。

井ノ原:うれしんですけど~。七菜ちゃんは?

森:私は、食にありがとう!

井ノ原・道枝:食!?

森:食べ物にありがとう。いろんなパターンの恩恵があって。

井ノ原:恩恵(笑)。

森:誰かが作ってくれたご飯もすごくおいしいですし、頑張った日のちょっと高級感のあるご褒美とかいろんな楽しみ方があるし。全部に力があるから。高校時代はお母さんにお弁当を作ってもらっていましたし。

井ノ原:食の大切さは僕もこの映画で改めて感じましたね。みっちーはどうですか?

道枝:僕は、パパですね。

井ノ原:ミー?

道枝:イエス!クランクイン前から、“ため口協定”を結んでくれて感謝してますし、宣伝活動でも、僕をフォローしてくれていましたし。本当の親子のように接してくれたので助かってます!

井ノ原:今年に入ってから、ずっと一緒に仕事してたもんね。撮影していた時よりもっと距離が近くなって。彼のグループの子たち、息子の友達みたいな気持ちになってきて(笑)。

道枝:だから、僕だけ井ノ原さんにため口なのはおかしいから、なにわ男子全員ため口でいいよって言ってくれたんで、メンバーに伝えたら、即答で「無理」って言われて(笑)。

井ノ原:ははは(笑)。そうなっちゃうよね。でもさ、友だちの家に遊びに行って、お父さんとかお母さんに会ったときの関係性とかさ、経験しているから。そんな感じでみんなが接してくれたらうれしいなと思って。徐々にでいいから!

道枝:徐々に!

井ノ原:頑張ってほしいなと思います。僕は、初日あけるまで、ずっとドキドキしてたんです。できることはやったつもりだけど、どれだけ多くの人に見てもらえるのかっていうことと、こういう時代の中で、まずは足を運んでくださることがありがたいことだなと。

今日はここを含めて100館の映画館と繋がっているという。関わっているスタッフにも、映画館にも、何よりもお客さんにありがとうございますという気持ちでいっぱいです。本当に「ありがとう」というのは、いくら言ってもいいと思うので。

──ちなみに、監督は?

兼重:僕も、ユーです!

井ノ原:ミー?

道枝:ちょっと、ジャニーさん入ってますね(笑)。

兼重:実はイノッチ、クランクイン前にけがをしていて。それを「大丈夫だから、みんなには言わないでほしい」と言われて。すごい痛々しかったんですけど。俺、そのシーンを見るたびに胸が痛む。本当に現場にイノッチが来ると明るくなるし、本当に助けられて。主役でこんなに寄り添ってくださったのは初めてで。

井ノ原:本当ですか?

兼重:うれしかったですし…メールいただいたんです。その文面に「僕の人生に出会うべき人に出会えたと思えました」って書いてあったんですよ。それね、思わず涙が。

井ノ原:へ~。マジですか。

兼重:僕も思ったんです。

井ノ原:うれしい。

兼重:助監督とかして下積みを経てやってきたけど、それがあったからイノッチとであえたんだと。すごいユーに感謝しています。

井ノ原:うれしい。ありがとうございます!本当にいい現場だったんですよ。合間の時間に、スタッフが「クワガタがいる~」って、俺に見せに来るんですよ(笑)。俺が引き取ったっていう思い出があるんですけど。すごくアットホームな現場で。

──そろそろお時間なので、フォトセッションを行いたいと思います。

井ノ原:分かりました。フォトセッション…どうすればいいんですか?さっき説明受けたんですけど忘れちゃったな~(笑)。

道枝:フォトセッション…。

兼重:一回はけますか?

──道枝さん!何か…

道枝:何か…?……あ!

井ノ原:どうした?

兼重:みっちー!

道枝:あのー…手紙を書いてきまして。

井ノ原:おぉ!

道枝:パパに。

井ノ原:マジかよ!

道枝:それをちょっと…。

井ノ原:40代の秋は涙もろいからな(笑)。本当に。こんな季節にやめて!

(道枝がステージ裏に下がる)

井ノ原:それをうっかり忘れていたのか(笑)。それが彼らしくていいですね!

──フォトセッションが合言葉だったんです。

井ノ原:そうなんだ?「えぇ!?」ってずっと言ってましたね(笑)。すっとぼけてるんだよな~。きんぴら、早くしろよ!

兼重:今ね、焦ってます(笑)。

(客席のうちわに「ありがとうございます」と言ったり、時間をつなぐ井ノ原。しかし、道枝がなかなか戻ってこず)

井ノ原:あいつ、今書いてるんじゃないの?「やべー!」って思って。そういうところあるのよ。そこがかわいいでしょ(笑)。

兼重:中継が終わっちゃったりして。

井ノ原:そうだ、中継の時間、あるんですよね。全国の映画のスケジュールが変わっちゃうから。そうすると、全部道枝のせいですから(笑)。

(会場爆笑)

井ノ原:彼はまだデビューしてないですけど、すごく勢いがあるグループなので、頑張っていただきたい。

兼重:本当に、ユーがいると安心だな(笑)。

(そこへ道枝、戻って来て手紙を読み上げる)

道枝が井ノ原に送った手紙の全文はこちらから

井ノ原:ありがとうございます。いいですね。うれしい。クランクアップするときに、本当に自分の息子を引き離される気持ちになりました。それは、君の頑張りだと思いますし、支えてくれた皆さんのおかげだと思います。

今日のすべての出来事…こちらからは顔が見えない皆さんともつながっているような気持になりました。

手紙を忘れちゃうところとか、全部含めて君で。それはとても素敵なことで。すべてスムーズにいけばいいってもんじゃないってことを実現してくれるから…後輩ですし、息子役だったけど、とても尊敬しています。本当にありがとうございました。

(会場から拍手)

井ノ原:こんな大事なものをすっ飛ばそうとしてたんですね(笑)。

──井ノ原さん、道枝さんから最後に一言お願いします。

道枝:無事に初日を迎えることが出来ました。ぜひ劇場で見ていただきたいですし、それを友だちや家族と共有していただいて、何気ない日常の1ページに刻んでいただけたらと思っております。

井ノ原:僕らは今まで、一番にならなきゃとか上を目指さなければという考えで、みんな頑張ってきたと思うけど、いかに上じゃなくて横のつながりが大事かということをこの時代に教えられました。

この映画はまさにそういうことで。まず、一番近くにいる人を大切に出来なきゃいけないなと思ってもらえると思います。人間って温かいなということをこの映画に教わった気がします。ちょっとほっこりした気持ちになりたいと思う方は、2回、3回と見ていただけたらと思います。

映画「461個のおべんとう」は、公開中。
最新情報は、映画「461個のおべんとう」公式サイトまで。