11月25日(水)、「第49回ベストドレッサー賞」の発表と授賞式が行われ、芸能部門を受賞した中村倫也が登壇した。

ここでは、中村の授賞式と、その後、記者向けに行われた取材会の模様を、ほぼ全文にて紹介する。

<授賞式>

ここに相応しくないかもしれない(笑)

――今日の衣装はどのように選びましたか?

今日はこういう華やかな場でして、らしくなく、光沢を散りばめまして、着させていただいてております(笑)。

――スーツはよく着ますか?

毎日、役によって、作品によって、シーンによって、違う服を着るのですが、それが昔はパーカーやダメージジーンズだったのが、歳とともにスーツが増えているな、と思います。

――スーツは好きですか?

好きですよ。背筋が伸びると言いますか。こんな風にちょっとヘラヘラ喋ってますけど、これでも背筋は伸びているんです(笑)。

――普段着は自分で買い物に行きますか?

時間があると、特定のエリアで何軒か洋服屋さんが集まっているところを回ったりはします。

――買い物は好きですか?

歩くのが好きなんです。

――散歩が趣味と聞きました。

そうですね。今日の昼間も30分ぐらい一人で歩いていました。その一環として、お店を回るのも楽しいですね。

――今日も散歩をしたのですか?

そうなんです。今日は事務所で打ち合わせをしたあと、この会場に入るまでに30分ぐらい時間があったので、事務所の周りをぐるぐると行ったことのない道を探して歩いていました。

行ったことのない道が好きなんです。知らない道、知らない曲がり角、知らないカーブミラー、知らない草、知らないブロック塀が好きです(笑)。事務所の周りでも知っているつもりでもまだ見てないものがあって。気持ちよかったです。ちょうど落ち葉とかが風で舞っていて。

――中村さんが一人で歩いていたら、女性が集まってしまって大変そうです。

全然ないです。オーラゼロ人間なので(笑)。この一年、街を歩いて気づかれていないですね。だから僕、ここに相応しくないかもしれないです(笑)。

――厳重に変装しているんですか?

帽子とマスクぐらいです。ごめんなさい。今、あまりにもファッションに関係ない話をしているので、不安になってしまいました(笑)。

芝居が名刺代わり

――これまでさまざまな役柄を演じていますが、役作りはどのようにしていますか?

台本を読みます。特別なことは何もしていないです。

――監督と話を詰めるタイプですか?

そんなに話はしないんじゃないですかね。芝居が名刺代わりのような仕事なので、やって見せます。喋るよりも芝居を見てもらった方が早いので。

――お芝居は好きですか?

好きですね。

――面白いですか?

面白いです。劇というものは、日常では味わえない感情を凝縮しているので。その感覚が得られるのが楽しいです。あとは台本を読んで、こういう作品だな、と思っても、実際に共演者と芝居をすると思ってもいないところに連れて行ってもらえたりもするので。芝居は好きですね。でも、台詞覚えるのは嫌なんです(笑)。

――オンとオフの切り替えはどのようにしていますか?

それに関しては、本当にファッションに助けられていると感じます。現場に行くと、役の扮装が用意されていて、それを身に纏うとスイッチが入るんです。ファッションにありがとうと言わなければいけないですね。

――今後、自分が演出する側をやってみたいと思いますか?

思わないです。見ていると大変そうなんです。監督は全部決めなくちゃいけないじゃないですか。「このキーホルダーどっちにしますか?」とかってスタッフに聞かれているのを見ていると、「どっちでもいいよ」って言えないんだろうなって(笑)。それは大変だと思うので、自分はやらないです。

――来年はどんなビジョンを持っていますか?

ありがたいことに既にいくつか仕事もいただいてまして、やることは決まってきています。健康で楽しく現状維持ができればなと思っています。

<取材会>

スーツは大人の男としての生き様の一つ

――受賞おめでとうございます。

ありがとうございます。

――近年、さまざまな賞を受賞されていますがその中でもこの「ベストドレッサー賞」ご自身にとってどんな賞になりましたか?

びっくりしますね。なんで選んでもらえたんだろう?って、今でも不思議(苦笑)。今までいろんな作品で、いろんな良い衣装を着させていただいたので、そういうことなのかなぁ、と思っています。

――中村さんにとってスーツはどんなものですか?

苦しいです。ネクタイを締めるとか、サイズにピッタリ合ったものをしつらえるとか、そういうものがきっと大人の男としての生き様の一つでもあるのかなと、着ると思います。

――でリラックスしている時はどういうスタイルが好きですか?

最近は寒くなってきたので、スウェットにパーカーにモコモコの靴下を履いています。

――何色ですか?

灰(笑)。

――理由は?

やっぱり30歳を過ぎると灰のものを着たくなります。そうなりますよね?灰(笑)。

(会場から笑い)

――今隣に素敵な女性がいるとしたら、どういうスタイルで横に立ちたいですか?

それはかっこいいところを見せないといけないですよね。もちろん内面も大事ですけど、見た目の印象も大事ですから。そこはとっておきの灰のロンT、灰のチョッキを合わせまして、ブルーのデニムですかね。下は、灰はよくないですね(笑)。ズボンは爽やかでいたいので。

――今隣の方をどういう風に想像していますか?

ジェニファー・ロペスのような、とても素敵な方です(笑)。

――話は変わりますが今年を総括するとどんな年でしたか?

今年はクリエイティブな一年でした。役者の仕事をやらせてもらっている中で、春はその仕事が止まったりもしましたが、その期間も何かしらものづくりをしていて。菅田(将暉)と「サンキュー神様」という名曲を作ったり(笑)。そういう意味で、ずっと止まらずクリエイティブなことができていたかなぁと思います。

――来年はどんなものを着てどんなことをしたいですか?

来年は和服もいいなって。

――色は?

灰(笑)。

――では、やりたいことは?

今年は直接のコミュニケーションというものがなかなか難しかったじゃないですか。 だから来年と言うか早く、一緒にご飯を食べたり、笑いあったり、握手したりとか、そういう風になったらいいな、と思いますね。