『監察医 朝顔』(第2シーズン)第8話完全版
朝顔(上野樹里)が所属する興雲大学法医学教室に、新しいアルバイト学生として、医学科3年の牛島翔真(望月歩)が加わった。藤堂(板尾創路)や高橋(中尾明慶)は、また辞められたら困る、という理由から、何かと牛島に気を遣っていた。
一方、長野県警への異動を命じられた桑原(風間俊介)は、非番だった姉の忍(ともさかりえ)に手伝ってもらい、これからひとり暮らしをするアパートで荷解きをしていた。
朝顔と結婚し、万木家で暮らすことになったときの思い出に浸る桑原。忍は、そんな桑原に単身赴任生活に関する注意事項を伝えると、最後に「不倫するな」と釘をさす。もし不倫をしたら、朝顔の味方になってとことん追い込む、というのだ。
そんな折、法医学教室に解剖の依頼が入る。海岸の岩場に倒れているところを釣り人が発見した、60代後半と思われる男性の遺体だった。崖の上に男性のものと思われる靴がそろえてあったことから、自殺の可能性が高かったが、身元がわかるようなものはなかったという。
解剖を手がけた朝顔は、死因は頭蓋骨陥没による失血死と判断するが、遺体の手と爪に褐色森林土と石灰が付着していたことや、全身を骨折している中で右手の中手骨が折れていることが気になっていた。何かを殴って折れた可能性も考えられたからだった。
朝顔は、男性のワイシャツに付着していた血に、相手の血が混じっているかもしれない、と検視官の伊東(三宅弘城)に告げる。
ほどなく、教授会を終えた茶子(山口智子)が法医学教室に戻ってきた。が、朝顔から手渡された遺体の資料に目をやると、一瞬表情を変える茶子。それに気づいた朝顔は、死亡した男性のことを知っているのではないかと茶子に尋ねた。すると茶子は、30年前に起きたある事件のことを話し始める。
それは、仲井戸修(野中隆光)という男が、6歳の女の子・浅野栞里(志水心音)に暴行を加えて殺害し、遺体をバラバラにして埋めた凄惨な事件だった。夏休み最後の日に起きたこの事件で解剖を担当した茶子は、遺体の一部が見つかる度に、父親の忠(森下能幸)に身元確認をしてもらっていた。しかし、最後まで右手だけは見つからなかったらしい。朝顔たちが解剖した男性は、その浅野忠だというのだ。
ほどなく、発見された遺体は浅野であることが確認される。山倉(戸次重幸)ら強行犯係は、浅野の身辺を調査するとともに、念のため、昨年出所している仲井戸の足取りを追うことにする。
仕事を終えた朝顔は、保育園で娘のつぐみ(加藤柚凪)を引き取って帰宅する。食事を終え、つぐみと一緒に明日のお泊り保育の準備をする朝顔。そこに、桑原から電話が入る。桑原は、また交番勤務になったことを朝顔に告げ、何かあったらすぐに連絡してほしいと続けた。
桑原と忍は、朝顔から送られてきたつぐみの画像を見ながら一緒にビールを飲む。そこで桑原は、最初から自分を受け入れてくれた万木家への思いを話し始めるが、いまでも朝顔の母親のことだけはわからない、という。もし自分の母親が同じ状況になったらという想像は出来るが、悲しすぎて頭が追い付かないというのだ。それゆえに、平もいない中で、朝顔の側にいてあげることすらできない状況を嘆いていた。忍は、すぐに戻れるから大丈夫だと声をかけて励ました。
同じころ、平は、夕食をとるために美幸(大竹しのぶ)の店を訪れていた。美幸は、客がこないため、店を閉めようかと思っていたという。そこで平は、ひとりで食べても寂しいから、といって、美幸に夕食を付き合ってもらう。
あくる日、つぐみを保育園に送り届けて出勤した朝顔は、茶子が30年前に書いた解剖記録を読み直し、栞里の遺体に石灰が付着していたことに注目する。そんな中、芦田山の森林で男性の右足が発見される。さらに、そこから10mほど離れた場所で左前腕も見つかっていた。右足には石灰が、左手の爪の中には皮膚片らしきものが付着していた。
解剖を担当した朝顔は、これらが同一人物のものであると断定。山倉や伊東(三宅弘城)らは、発見された手足は行方不明中の仲井戸のもので、皮膚片は浅野のものではないかと推測する。浅野の腕には、死亡するより前に付けられたと思われる爪痕が残っていたのだ。伊東から受け取った仲井戸修事件の捜査資料を読んでいた朝顔は、平が担当捜査員だったことを知り…。
宮里沼から戻った平は、美幸の店に立ち寄る。と、店内に緑色の公衆電話があることに気づく。美幸は、震災のときにこれが一番繋がった、と平に告げた。
平が帰宅すると、朝顔から電話が入る。朝顔から、仲井戸修事件のことを切り出された平は、遺体を捜索したとき、土が乾いて白くなっているところを重点的に探した、と伝える。
翌日、DNA検査の結果が出る。やはり、発見された右下肢と左前腕部は仲井戸修のものだった。また、爪から採取した皮膚片は浅野のものであることも明らかになっていた。すでに仲井戸の頭部や体幹部なども発見されていたが、右手だけはまだ見つかっていなかった。すると、事態はいきなり急転する。浅野はマスコミ各社に遺書を送付していたのだ。
浅野は、仲井戸を殺害する1週間前に偶然彼を見つけ、尾行をしていた。その際、仲井戸がまた少女に近づこうとしていることに気づいた浅野は、それを止めたのだ。しかし仲井戸は、浅野が名乗っても、彼のことはおろか、栞里のことすら覚えていないようすだった。浅野は、怒りに震え、落ちていた石で何度も仲井戸を殴打して殺害し、遺体をバラバラにして埋めた。右手は、絶対に見つからないように捨てたのだという。
さらに遺書には、右手の捜索を止めた警察や、妻の葬式にも押しかけてきたのに栞里のことを忘れてしまったかのように報じなくなったマスコミへに対する思いも綴られていた。桑原や忍、平も浅野の遺書の内容を伝えるニュースを見ていた。
浅野の遺体は、長男の正則(清水優)が引き取りにくる。正則の願いで、浅野の髪を黒く染めてやる朝顔と茶子。生前浅野は、栞里が気づくように、自分の葬儀の際には髪を黒く染めたいと言っていたらしい。遺体安置室で父の遺体と対面した正則は、来月結婚する予定だが、破談になると思うと朝顔たちに告げた。
続けて正則は、「あいつを殺す前に、一瞬でもそのことを思い出したんですかね。あんなに憎んでいた仲井戸と同じことして、この人の人生って何だったんでしょうか」と続け…。
遺体の引き渡しを終えた朝顔は、茶子に、解剖した資料や検体などは可能な限り無期限で保管することにしてはどうか、と提案する。茶子はそれを了承し、教授室を潰してそのスペースを作ろうと言い出す。
朝顔は、お泊り保育を終えたつぐみを迎えに行く。つぐみをしっかりと抱きしめる朝顔。その夜、ふたりは冷やし中華を食べる。
桑原は、交番の中でカップ麺を食べようとしていた。するとそこに迷い犬がやってくる。
平は、ひとりで弁当を食べていた。
美幸は、暖簾をしまい、店を閉める。と、引き出しから財布を取り出した美幸は、中から古いテレホンカードを出し、緑の公衆電話に差し込んで話し始め…。
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