2月1日(月)より、フジテレビでは「Light of Martial Arts」プロジェクトがスタートした。

このプロジェクトは、武芸集団「Martial Arts Tokyo」とタッグを組み、日本の古来から伝わる武芸を現代風にアレンジ。東京・お台場の風景をバックに、360度動画、ドローン空撮など最新技術を駆使して撮影された映像をフジテレビ国際局インスタグラムなどで公開していく。

この第1弾となる動画が1日(月)に配信された。ロケ撮影は、フジテレビ社屋に行われ「Martial Arts Tokyo」の監督も務めたスタントウーマン・伊澤彩織が今回の主役としてアクション演技に臨んだ。

ドローンパイロット:株式会社 Drone Heroes 田中愛梨
衣装協力:Mari’ee Fleurir大正浪漫店

フジテレビュー!!では、新美有加フジテレビアナウンサーがスタントの仕事を体験リポート。伊澤の指導を特別に受けて殺陣のアクション演技にチャレンジしたが、その出来栄えはいかに…?

安全対策をした上で“危険と隣り合わせ”が面白い!

さらに、新美アナから伊澤へのインタビューも実施。スタントの仕事を志すきっかけとなった意外な経緯や、伊澤による2秒間のアクション演技のVTRを「7回巻き戻して見た」というNEWSの増田貴久とのエピソードも明らかになった。

<伊澤彩織×新美有加アナ インタビュー>

新美:伊澤さんは普段どのようなお仕事をしているのですか?

伊澤:「スタントウーマン」という職業に就いて4年目になります。映画、ドラマ、CMのアクションシーンでのボディダブル(役者の吹き替え)や、俳優の方が“高所に立つ”とか“自転車から転ぶ”など危険が伴うシーンの撮影では、裏方として安全をサポートします。また、ゲーム制作の現場では、モーションキャプチャスーツを着て、分析用のカメラに向かって演技することもあります。

新美:「スタント」と聞くと、“役者の吹き替えをしている人”というイメージが強いのですが、それ以外にも色々な仕事があるんですね。

伊澤:はい、私の場合は吹き替え以外の仕事が8割と、裏方の仕事のほうが多いですね。撮影現場で、「もしあそこで誰かが滑ったら死ぬかもしれない」と思ってマットを敷いたりとか、ワイヤーで引っ張ったりとか、どこに危険が潜んでいるかを常にチェックしています。また、役者さんが演技をする前に、私たちが必ずシミュレーションをしています。

新美:日頃は、どのようなトレーニングをしているのでしょうか?

伊澤:いま、私が力を入れているのは柔術です。私が一番好きなスタントマンの方が柔術を取り入れたアクションをしていて、すごく格好良かったので、柔術からアクションに昇華させようと勉強をしています。

他の分野からアクションの動きに取り入れることが多いです。例えばバスケットボールのドリブルの動きや、ダンス、獣の動きとか。武術以外からもインスピレーションを受けて立ち回りを作ることはありますね。

初めての現場は“2.5次元系映画”

新美:でも、伊澤さんは元々スタントウーマン志望ではなかったそうですね?

伊澤:私は出身が日芸(日本大学芸術学部)の映画学科なのですが、在学中に「どうにかして映画の現場に行きたい」と思い、つてをたどっていったら、初めて連れて行ってもらった現場が、「MESSIAH」(メサイア)という、2.5次元俳優の方が多く出演する映画のアクション部だったんです。当時はアクションのことはわからなかったんですけど、私はたまたまキックボクシングのジムに通っていたので「蹴りだったら役者さんに教えられます!」とアピールして、そこで初めて現場の仕事にも携わって。「こういう映画の関わり方があるんだ!」とびっくりしましたが、面白くてのめり込んでいきました。

新美:伊澤さんがアクション部で仕事をするようになったのは、本当に偶然だったんですね。

伊澤:本当に武術・格闘技の経験もなく、大学に入ってから本当にたまたまキックボクシングをしていただけだったので(笑)、偶然が色々重なって今の仕事に繋がった、という感じです。映画に携わる仕事も「撮影・編集・録音・監督・役者」ぐらいしか知りませんでした。

新美:役者になろうとは思わなかったのでしょうか?

伊澤:少しだけ思いましたが、自分が出るよりは、何かを演出したい気持ちのほうが強かったです。

新美:伊澤さんにとってアクションの魅力とは何でしょうか。

伊澤:“常に危険と隣り合わせにいること”かもしれないですね。もちろん、安全第一の現場になるようサポートはするのですが、全部が安全なアクションだったら面白くないじゃないですか。緊張感のある画が取れないので、安全対策をしつつ、危険なことをするのです。ちょっとクレイジーだと思うんですけど(笑)、それで撮影が上手くいってスタッフさんから拍手をもらうと、「この仕事をやっていて良かったな」と思います。

NEWS増田が「7回巻き戻して見た」と絶賛した2秒のシーン

新美:アクションの仕事でつらかったことはありますか?

伊澤:たくさんあります(笑)。体力的にきつかったり、自分よりできる人がいろんな作品で活躍しているのを見たりするとつらいですが、誰かから「この作品見たよ」、「あのスタントすごかったね」と言われると、つらかったことも忘れちゃいます。

新美:周りから言われて印象に残っている言葉は何でしょうか?

伊澤:あるドラマで、電柱にぶつかって倒れるというスタントシーンで、女優さんのボディダブルをしたんです。オンエアで実際に使われたシーンは2秒程度でしたが、その作品に出ていた別の俳優さんには「あのシーンすごかったね!あなたがやってるの?びっくりして7回も巻き戻して見ちゃったよ」と撮影現場で言われて。その時はすごく嬉しかったですね。

新美:ちなみに、それはどなたからの言葉だったのでしょうか?

伊澤:NEWSの増田貴久さんです。「見てくれている人がいるんだ」と、あの言葉には感動しました。

「女性が主役のアクション映画を日本でも!」

新美:伊澤さんの今後の目標を教えてください。

伊澤:女性が主役のアクション映画で、スタントダブルとしてがっつり関わりたいという夢があります。日本の映画だと、男性は多く戦っていても、女性が戦っているような映画がなかなかなくて。スタントマンに比べて、スタントウーマンがアクションに関われる時間が少ないのがすごく悔しくて。朝から晩までアクションに携われる仕事がしたいですね。アメリカや韓国では女性が主役のアクション映画が話題になりますが、日本もそろそろその波が来てもいいんじゃないかな…と思っています(笑)。

新美:これは…フジテレビの映画部に相談でしょうか!?(笑)