故人がスマートフォンやパソコンなどを使い、デジタル形式で保管していた財産、いわゆる“デジタル遺産”。
ログインIDやパスワードで管理されており、代表的なものは「ネット銀行口座」「ネット証券口座」「暗号資産」「FX」「電子マネーの利用残高」「ポイント」など…
実体がなく目に見えない現代社会ならではの遺産ですが、通帳や書類がなく相続する際に困るケースが増えているといいます。
街の人はどれくらいデジタル上で資産を管理しているのでしょうか?
自営業(70代):
ビットコイン、それと株と。
――いくらぐらい?
(合わせて)億単位。ビットコインは出だし何十万円の時で、ちょっと不安だったけどやった。株はもう30年~40年やっとるな。
高額の資産をデジタルで持つ人がいる中、不安の声も…。
会社員(40代):
事故に遭った時とか病気になったりとか、そういった時に暗証番号とかをどうやって引き継いだ方がいいのかなっていうところはあります。
遺族が把握することができず、相続の際に揉めるケースも増加しているといいます。
家族で集まる機会が増える年末年始に確認したいデジタル遺産の相続トラブルを回避する方法とは?
デジタル遺産のトラブル① ネット銀行の解約
具体的に、デジタル遺産に関するこんなトラブルが起きています。
60代男性の兄が亡くなった際、兄のネット銀行を解約するためスマホのロック解除を試みるも失敗。携帯電話会社の店舗にスマホのロック解除を依頼しましたが「初期化はできるが、画面ロックの解除はできない」と言われ、デジタル遺産の確認ができなかったといいます。
日本デジタル終活協会・伊勢田篤史代表理事によると、亡くなった人が利用していた金融機関が分かる場合は、死亡を証明する公的書類を金融機関に提出することでIDやパスワードが不明でも対応してもらえることが多いといいます。
一方、金融機関が分からない場合はキャッシュカードがないか確認して金融機関の窓口に問い合わせる方法もあります。
デジタル遺産のトラブル② サブスクの解約
夫を亡くした80代の女性は、クレジットカードの利用明細に約1000円の不明な請求を発見。カード会社に問い合わせると「スマホのセキュリティーのサブスクではないか」と回答がありました。携帯電話のキャリアに請求元を確認し、請求元のサブスクの事業者に問い合わせると「すぐに解約するためにはIDとパスワードが必要」と言われ、分からないと答えると「IDとパスワードが分からなければすぐには解約できない」と言われ解約ができなかったといいます。
解約するにはどうすればいいのでしょうか?弁護士ドットコム代表取締役社長・元榮太一郎弁護士に聞きました。
元榮太一郎弁護士:
基本的にこういうサブスクは本人が亡くなっただけでは解約されなくて、ずっと契約が続いているので、延滞料金が発生してきたりします。ID・パスワードが分からない場合は死亡診断書とか戸籍謄本みたいなものを提出して解約することができます。
MC 谷原章介:
提出すれば止められる?
元榮太一郎弁護士:
提出すれば止められることが一般的ですね。あとは、Netflixみたいに2年間利用実態がない場合は自動的にアカウントが停止するというような比較的親切なそういうものだったら何もしなくても料金が請求されなくなるんですけれども、そういうものは珍しいので基本的には解約手続きをしないとだめです。
デジタル遺産のトラブル② 暗号資産の相続
生前に個人が何も告げていなかったFXや暗号資産があったことが判明し、デジタル遺産の相続をめぐって遺族内でトラブルに発展するケースもあるといいます。
倉田大誠アナウンサー:
相続税という観点でいうと損してしまう可能性もある?
元榮太一郎弁護士:
例えば申告期限を経過した後、後からFX、暗号資産が見つかった場合は相続税を納めなきゃいけないんですけど、相続税の評価基準値っていうのがあるんです。相続発生時(亡くなった時)の時価が高くて、(資産が)見つかったときに低くなっていると、高いときの相続税の評価額で相続税が評価されて、少なくなった資産から払わなければいけないのですごく多くのものを払わなければいけなくなる。さらに延滞税と無申告加算税という、例えば遅れたら遅れたなりのいわゆる制裁金的なものを払わなければいけません。
「デジタル遺産」トラブル回避方法
それでは、デジタル遺産のトラブルを回避するためにどうしたいいのでしょうか?
元榮太一郎弁護士:
「デジタル遺産」をリストアップしてIDとパスワードをしっかりと紙に書いておくということが一番大事なことになってきます。最近はエンディングノートという形で残された人たちのために財産だけではなくて思いとかを残すような紙のツールもありますし、デジタル遺産引き継ぎサービスというような、デジタルで管理していて亡くなった場合に一定期間応答がない場合には事前に決めていた継承者にパスワード等が通知されるというサービスも出てきているので、こういったものを活用したり、自筆証書遺言書を保管してもらう制度というものがあります。その遺言の中でこういったデジタル遺産をリストアップしておくことも有効だと思います。忘れちゃいけないのが、PCやスマホのパスワードも一緒にリストアップしてもらわないと残された人たちが困るかもしれない。
(『めざまし8』2024年12月3日放送より)
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