“辛口コメント”で、数々の情報番組やバラエティー番組で活躍した服飾評論家のピーコさんが2024年9月3日、敗血症による多臓器不全のため入院先の病院で亡くなったことが分かりました。79歳でした。
“辛口ファッションチェック”でお茶の間の人気者に
ピーコさん(当時68歳):
ハッキリものを言えるというのは、男でも女でもない視点から言うときは、世間でも許してくれることがあると思うんですよね。女が女の悪口言うと女の人から反発されると思うし。男の人の悪口を私たちが言うと、あいつら男じゃないからと思うだろうし。得か損かはその人が考えることだけど。
横浜市出身で、専門学校を卒業後、服飾デザイナーになったピーコさん。
1975年、双子の弟で映画評論家のおすぎさんと「おすぎとピーコ」としてデビュー。
「笑っていいとも!」など、多くのテレビ番組に出演し、なかでも人気を博したのが…“辛口のファッションチェック”。
ピーコさん「この人ね、このベルト見た時にまわしのように見えるのよ。この格好で女相撲みたいになっちゃって」
「この人ね主婦なんですけどもしかしたら質屋さんの奥さんかなと思っちゃうくらいいろんなものつけてるんで」
お昼の情報番組の名物コーナーとなり、お茶の間の人気者となりました。
2013年、出演した番組の中でピーコさんはファンションについてこう語っていました。
ピーコさん(当時68歳):
コーディネートだと思うんですよ。どういうふうにコーディネートしているか。やっぱり(服は)包み紙なので、中がよければ包み紙でどうにでも変えられるという考えなの私。
そして、朝の情報番組「とくダネ!」ではコメンテーターとして出演。約13年間に渡りレギュラーコメンテーターを務めました。
一方、まだ社会の理解も進んでいない昭和の時代に、ゲイであることを公表していたピーコさん。
ピーコさん(当時68歳):
ゲイであることを隠す必要はないと思っていたの。テレビとかラジオに出るようになって、差別されるようになりましたね。自分たちがゲイであることを誇っていたわけじゃなくて、なんせ、汚いオカマの兄弟っていうのが売りだったんだから。
「私のことを呼び捨てにするのはピーコさんくらい」
ピーコさんと長年親交のあったフリーアナウンサーの笠井信輔さんは…。
フリーアナウンサー 笠井信輔さん:
それこそ駆け出しの頃からお世話になっているので、やっぱりショックでしたね。
「笠井はさあ」ってよく言われてました。小倉さんでも「笠井くん」ですからね。私のことを呼び捨てにするのは、本当にピーコさんぐらいでしたね。
ピーコさんによく「笠井はなんでいつもそんな変な格好してんのよ」と言われてまして、でもなんか普通に言われたらムっともするじゃありませんか。でも、ピーコさんに言われるとなんか悪い気しないんですよね。
長年、テレビやラジオで活躍してきたことについては…。
フリーアナウンサー 笠井信輔さん:
一般的な日本人男性とは違う立ち位置と視点から物を語る。自分はこの立ち位置だから語れるんだよっていう、そこですよね。それがピーコさんとってもお上手で、やっぱり「男でも女でもない、おねえだから言えるのよ」ってよく言ってましたけれども、その部分の魅力ってものはもうご自分でもわかってらっしゃって、だからここまで言っても許されるのよっていう、そこの見極めがとてもお上手でしたし、センスが良かったんですね。
傷ついた人たちへのコメントが温かかったなって思います。いろんな見られ方をされてきた体験から、心配りやそうした人たちへの思いというものをどのように語っていけばいいのかっていうのが分かってらっしゃったんだと思います。
様々な分野での活動を続けてきたピーコさん。44歳のとき、がんを患い左眼を摘出、義眼を入れることに。一時は死を考えたといいますが…。
ピーコさん(当時68歳):
がんなんだって思ったけど、がんなんだって思ったから、両方あるから1つ取っても仕方ないか。取ると決まったら取っても仕方ないか。
その時に出会ったのが、シャンソンでした。
晩年は認知症で施設に…
精力的に芸能活動を続けてきましたが…数年前から認知症を患い、3年前に事務所を閉鎖。
2023年6月から施設に入りましたが、その後、体調が思わしくなく入院していたといいます。
フリーアナウンサー 笠井信輔さん:
心配していたんですよ。私のスマートフォンにピーコさんの電話番号入ってますんで、当時から電話するともうその電話はつながりませんということで、お話しできなかったものですから。
そして 9月3日、ピーコさんは入院先の病院で息を引き取りました。葬儀は、近い関係者だけで済ませ、喪主は弟のおすぎさんが務めたといいますが、おすぎさんも認知症を患っており、ピーコさんが亡くなったことを認識できていなかったといいます。
歯に衣着せぬ物言いで多くの人に愛されたピーコさん。義眼になった後、変化した仕事への思いについてこう語っていました。
ピーコさん(当時68歳):
このお仕事をした時に誰かの役に立つかなとか、私はゲイだからゲイの人のためとか片っぽ目がなくなるんだからマイノリティーの人とかそういう人の役に立てること。困ってる人に手が差し伸べられて、生きていかれたらいいと思う。
(『めざまし8』 2024年10月21日放送より)
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