＜試写室＞『嘘解きレトリック』実写化…で想像される“安易さ”が皆無！超リッチな映像、俳優＆監督陣によって見事な世界観が構築されている

あんまりすごい作りこみだったもんで、つい茶化したくもなりましたが、そんな、超リッチな映像によって、見事な世界観が構築されている！！のは当然のこと…なんだけど、僕がなにより視聴後に、感嘆してしまった“贅沢さ”、ってのは、物語・構成の、“贅沢さ”、にあるのですよ…。

っというのも、このお話、あらすじを見ると、探偵と特殊能力を持つ相棒とのミステリー、つまり謎解きなわけだから、とりあえず、さっさと、その単純ともいえるであろう、“ウソを聞き分けられる”っていう、その設定を紹介して、謎解きに突入すればいいじゃないですか（この部分15分くらいで描けるよね）。

だけど、なのに、今作ときたら、その根幹ともいえる“ウソを聞き分けられる”という特殊能力を、とんでもなくじっくり丁寧に、そして、深く深く、描いてみせるのです。

特殊能力を持ってしまったがゆえの苦悩はもちろん、そのギミックがあるからこそ、それをじっくり丁寧に描写したからこそ浮かび上がってくる、ラストの奇跡と感動…で、その“じっくり”は決して冗長ではなく、だからこそ生まれる、単純なミステリーってだけではない、人間ドラマ！…その、描きこみの贅沢さ！！それを、第1話で、思う存分に、堪能してください。

で、昭和初期の世界観と物語の描きこみに加えて、さらにさらにそこに“贅沢さ”を加えているのが、映像が持つ情報量の多さ、なんですよ。

今作の監督は、『ガリレオ』シリーズなどを手がけてきた、西谷弘監督（僕の大好きな、西谷監督！）とにかく、無駄な映像・シーンは一切出てきません。出てくる小物や、ちょっとした小話すらもなにもかも、すべてに意味があって、“仕掛け”が施されているのです。

うん、だからといって、それらがすべて“意味ありげ”だと、考察してください！と言わんばかりで、仕掛けが仕掛けにしか見えなくて、見ていて疲れてしまうこともあるんだけど、そうではない“仕掛け”…ちゃんと、感情とドラマがのった“仕掛け”になっているので、考察上等！な視聴者も、気軽に見たい視聴者も、あとで明かされるそれらの“仕掛け”の情報量の多さに、感嘆、贅沢！！と思ってしまうこと、間違いなし。

きっと、一度見たあと、もう一度振り返りたくなるほどの情報量ですよ！

で、また、今回の主人公、フレッシュな二人、鈴鹿央士くんと、松本穂香ちゃんを、拝める贅沢さ、ですよ！！

だけどだけど、実のところ、あまりに二人がフレッシュ過ぎるので、月9ドラマを担う主人公として、ちょっと、大丈夫かな、月9という、重圧に、耐えられるかな？って、月9おじさんとしては（月9おじさんとは…！？）、一人で勝手に、心配もしたんだけど、まったくの無問題！二人の堂々たる、主演ぶり！！（そらそうだろ！）

鈴鹿央士くんが演じる左右馬は、これまで、弟的だった鈴鹿央士くんからほんのり毛色が変わって、お兄さん的な頼もしさがあるし、だけど、鈴鹿央士くんらしい頼りなさもあり、とはいえ、根幹は頭脳明晰で、ミステリアスな雰囲気をまとうキャラクターを好演。

そして、松本穂香ちゃん演じる鹿乃子も、すんごく良くて、とてつもなく繊細！！なの。

“ウソを聞き分けられる”っていう特殊能力は、一見大味感があって、なわけねーだろ感しかないんだけど（おい！）、松本穂香ちゃんのおかげで繊細な機微が表現できていて、“リアル”もまとうことができている…んだけど、その“リアル”は生々しさではなくちゃんとポップでもあり、何より圧倒的なヒロイン…華を添えている…。

うん、とにかく！このフレッシュな二人にも、注目です！

で、で、で、ここまで、散々、贅沢さ、を語りましたが、僕が、何より、贅沢！！だと思っているのが、テレビドラマオタクの僕として、世界観より物語より映像より主演二人より（おい！）、何よりも、贅沢！！！って思っているのが（今まで何だったんだよ）、第1話を担当する西谷弘監督をはじめとするディレクター陣！！ですよ。

このドラマ、第1話と担当する西谷監督のほかに…『東京ラブストーリー』や『ロングバケーション』を手がけた永山耕三監督に、『ショムニ』や『HERO』などの鈴木雅之監督も控えていて…この方たちを語りだすと、もう止まらない！！（泣く泣く割愛！！）

とにかく、個性派ぞろいの監督たちばかりなので、毎話、どんな映像が紡がれているのか？どんな演出が施されているのか？も楽しめる、ディレクターたちの“色”も観察できる、超贅沢オムニバスドラマとしての側面もある！！はず！！

あぁ、もう、こんな贅沢が、3ヵ月も味わえるなんて…。無理…！！（おい！）