<大槻閑人 コメント>
ーーここまでの放送を見た印象は?
すごく上質なドラマ、その一言に尽きると思います。
昨今の日本のドラマは、もっとわかりやすくライトなものが受け入れられやすいのかなと思っていました。SNSに寄せられたコメントを読むと、後遺症の恐さや登場人物たちの複雑な心情など、原作で大切にしてきたことは、視聴者の方たちにきちんと伝わっていて『アンメット』の世界が受け入れられたことがとてもうれしかったです。
そこには、医療のリアリティを追求する制作スタッフの本気とキャストのみなさんの素晴らしいお芝居があり、なかでも、杉咲花さんと若葉竜也さんのお芝居からは、僕も毎回、目が離せないです。
第1話は、出版社の担当編集さんをはじめ8~9人で見ました。屋上でミヤビ(杉咲)が「今日が明日につながらない」と三瓶(若葉)に苦しい胸の内を吐露する場面では、作者として2人の過去を知っているからこそ、そこに言葉以上のものを感じて、人目もはばからずボロボロ泣いてしまいました。
その後、残されたミヤビが1人で泣くシーンも、医者でいたいけれどいられないミヤビの気持ちがひしひしと伝わってきて、杉咲さんが神々しく見えるほど素晴らしいシーンでした。
正直に言うと、ドラマ化のお話をいただいた当初は、実写化することで原作をもっと多くの人に知ってもらえたら…というくらいの気持ちでした。
僕としては、ドラマと漫画は完全に別もので、スタッフの方たちが真摯(しんし)に向き合ってドラマを作った結果、それが世間からの評価を得られなくても、僕が心血注いで描いた漫画が傷つくわけではないと思っているんです。
それでもやはり、自分が描いた漫画をこれだけ上質なドラマにしてもらえたことは素直にうれしいですし、反響も大きくて驚いています。
ーー撮影現場を見学した際は、キャストとどんな話をしましたか?
偶然にも、僕がここ1~2年の間に見た映画は、若葉さんが出演されている作品が多かったので、現場ではドキドキしながら若葉さんに声をかけました。
クールな方だと思っていたのですが、とてもフランクに話してくださり、そのギャップにやられてすっかりファンになってしまいました(笑)。
若葉さんは、原作の三瓶の表情をとても熱心に研究してくださっているようでした。
例えば、患者さんにとってすごくつらい宣告をしなければならないとき、三瓶は冷たい顔をするのですが、それはあえて、きついときほど機械的に、ロボットのように振る舞うという感覚で描いています。
若葉さんはそういった細かい描写にも理解が及んでいるようで「たまに三瓶がすごく恐い顔をするんですが、あれはどういう気持ちなんですかね」と質問してくれました。
とっさのことで、どの場面を指しているのか聞き返す余裕がなく、すごくあいまいな返事をしてしまったことが心残りなのですが、その質問を聞いて、一見表情が乏しいようで、実は多彩な表情を持つ三瓶をすごく研究されているんだなと感じました。
――連載開始当初、それぞれのキャラクターの容姿はどのように決めたのでしょうか?
原作の主人公である三瓶は、いくつもの案を出しました。
まず内面を決めようということになり、ワーカホリックでコミュニケーション能力が低め…じゃあ、髪型はあまり気にしないだろうということでボサボサ頭になって、仕事以外のことでは楽でいたいんじゃないかと、ズボンのすそを少しまくってサンダルに。仕事ざんまいなので、目元は疲れた感じで猫背。そういった理屈的なところから固めていきました。
対する星前(千葉雄大)は、髪をしっかりセットして、エリート意識を持っている男。言ってみれば、2人を雑草とエリートのような対比にしました。
連載開始当初、僕は原作の子鹿(ゆずる)先生の思いや書きたいものが、そこまで明確に理解できていなかったんです。
それが、作品が進むにつれて、僕自身も患者さんに感情移入するようになって、表情や心の痛みの解像度が徐々に高まってきたなと感じています。
とにかくリアリティを大事に、漫画なので何でもできてしまうのですが、決してリアリティラインを壊さず「これじゃ漫画だよ」と言われないようにしようと思って描いています。
――視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。
今まで、あまり原作ファンの方の声を聞く機会がなかったのですが、ドラマの放送後、「ドラマも面白いけど、漫画も面白いよ」とSNSに投稿してくださっている読者が想像以上にたくさんいて驚きました。
そういった生の声を聞いたのが初めてだったので、こんなにたくさんの人たちが原作を読んで支持してくれていたんだと、感動で胸が震えました。
僕は長いこと『コウノドリ』の鈴ノ木ユウ先生のアシスタントをしていて、そのときに自分には医療ものは描けない、プレッシャーが恐くて無理だと思っていたんです。
それが、ご縁あって医療もののお話をいただき、僕には無理だなと思っていたら「原作者は、元脳外科医の先生ですよ」と言われて、それならできるかも!と。
以来、子鹿先生に甘えっぱなしで描いています。担当編集者さんと狭い部屋でタバコを吸いながら「いつかドラマになるといいね」なんて夢を語ったこともありますし、それが今現実になって、本当に幸せです。ドラマを100%楽しんだあと、気が向いたら原作の漫画もぜひ読んでみてください(笑)。
公式HP:https://www.ktv.jp/unmet/
公式X:https://twitter.com/unmet_ktv
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@unmet_ktv8
関連記事
【毎週更新】松本若菜主演!木10ドラマ『わたしの宝物』あらすじ完全版まとめ
2024年11月21日 |
23:19
「栞の父親は誰?」宏樹(田中圭)の問いに答えられない美羽(松本若菜)が隠し持つ“覚悟”<『わたしの宝物』第6話完全版>
2024年11月21日 |
23:00
「まじくそ!」「お前のせい」美羽(松本若菜)らをかき乱す真琴(恒松祐里)にSNS絶叫『わたしの宝物』
2024年11月21日 |
22:56
家を追い出された美羽(松本若菜)一方、宏樹(田中圭)は仕事を通し冬月(深澤辰哉)の人柄を知っていく『わたしの宝物』第7話予告
2024年11月21日 |
22:54
【毎週更新】反町隆史&杉野遥亮W主演!火9ドラマ『オクラ~迷宮入り事件捜査~』あらすじ完全版まとめ
2024年11月21日 |
19:00
千寿(反町隆史)が真一(平山祐介)を殺した!?その裏にある2人の思いと娘・倫子(白石麻衣)の覚悟<『オクラ』第7話完全版>
2024年11月21日 |
18:00
#若葉竜也の最新記事
『アンメット ある脳外科医の日記』“海外に見せたい作品”を表彰する「東京ドラマアウォード2024」連続ドラマ部門で優秀賞!
2024年10月28日 |
19:00
『アンメット ある脳外科医の日記』が世界最大級のコンテンツ見本市MIPCOMの公式イベント「MIPCOM Buyers’ Award」で奨励賞
2024年10月24日 |
19:00
『アンメット ある脳外科医の日記』ギャラクシー賞6月度月間賞を受賞!Filmarks上半期ドラマランキングも1位
2024年07月24日 |
18:30
『アンメット ある脳外科医の日記』無料見逃し配信再生数 全話累計2220万再生を突破!カンテレ・連続ドラマ歴代1位に
2024年07月05日 |
18:30