心にトキメキを与えてくれるようなイケメンを紹介する「眼福♡男子」Vol.58は、2.5次元作品を中心に活躍する有澤樟太郎が登場。
2015年より芸能活動を開始した有澤は、デビュー翌年に出演したミュージカル「刀剣乱舞」~幕末天狼傳~で演じた和泉守兼定役が人気となり、2018年大晦日は刀剣男士として『NHK紅白歌合戦』に出演。
その後も、多くの作品でキャリアを重ね、昨年はブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」Season3でベルナルドを演じるなど着実にステップアップしている。
そんな有澤が今回出演するミュージカル「17 AGAIN」は、2009年にザック・エフロン主演で公開され、全米初登場1位を記録した大ヒット映画をミュージカル化。日本公演が世界初演となる。負け組として人生を甘んじて受け入れていた35歳の主人公が、バスケットボールのスター選手だった17歳のころの姿に戻り、もう一度人生をやり直そうと奮起する姿を描く。
主人公のマイクには本作が初舞台、初ミュージカルとなる竹内涼真が扮し、有澤は、マイクの娘・マギー(桜井日奈子)の恋人で、ハイスクールのリーダー的存在であるスタンを演じる。
竹内涼真くんと向かい合ったときに「負けた」と思った(苦笑)
――「17 AGAIN」に出演するにあたって、まず映画版を観たそうですが、感想を聞かせてください。
出演が決まってから観たので、今回、僕が演じるスタンに注目せざるを得なかったのですが、ハイスクールに突然現れ、徐々に人気者になっていく主人公・マイクのことが気に入らず、嫌がらせをするなど、どうしようもないヤツだなと感じましたね(笑)。ストーリーは、ファンタジーと現実的な要素がいい塩梅でミックスされていて、共感できる部分もあり、感動的ないい作品だと思いました。
――共感できる部分というのは、どんなところですか?
家族の絆を描いたストーリーなので、まずはマイクの息子であるアレックスに感情移入してしまったんです。全員が幸せな家庭を夢見ているけれど、あまりにも平凡すぎて、さらに、子どもたちが思春期に入っていくにつれて親子間の距離ができてしまう。家族を再生させたいのに、どうすることもできないアレックスのやりきれなさがリアルで、切ない気持ちになってしまいました。
――スタンからは、どんな印象を受けましたか?
“17歳ならでは”を詰め込んだ役柄だと感じました。作品の中ではいじめっ子という描かれ方をしていますが、自分を大きく見せたくて粋がるのは男の子なら誰もが通る道。僕自身も思春期に、そういう思いを抱えていた時期がありました。
スタンって、どこか憎めないキャラクターなんですよね。自分で言うのもなんですが、稽古場でもスタンは、ほかのキャストのみなさんからとても愛されているんですよ(笑)。映画ではあまり描かれていなかった彼の人柄が、今回のミュージカルでは深掘りされているので、大いに期待してほしいです。
――作品におけるヒール的存在を演じる心境を聞かせてください。
与えられた役割をきちんと果たして、120%やりきりたいです。というのは、僕はこれまでいいヤツを演じることのほうが多く、スタンみたいな役柄とはなかなか出合えなくて。涼真くん演じるマイクと対峙した時のピリピリした空気がダイレクトにお客様へ伝わるよう、全力で演じたいですね。
――マイクとスタンの対峙は、迫力ある場面になりそうですね。
僕は身長が184㎝あるので、これまでの作品だと自分が一番大きいことがほとんどだったのですが、今回、涼真くんと対峙するシーンで向かい合った時に、「負けた」と思いました(苦笑)。誰かを見上げることが本当に久しぶりで。
――その場面が早く見たいです!
みなさん、(僕の体を見て)「細っ」と感じるんじゃないかな(笑)。涼真くんは素晴らしい肉体の持ち主なので、稽古場で筋トレを教わっているのですが、僕はもともと筋トレが大嫌いで、プロテインも苦手なうえに、毎日が筋肉痛なんです。でも、自分の体が変化していく様子を目の当たりにしたらどんどん楽しくなってきて、「17 AGAIN」はそんなことにも気づけた作品となりました。
少年野球のコーチとの出会い、そして、母の思いが反抗期の僕を変えてくれた
――本番ではたくましくなった有澤さんの姿が見られそうですね。稽古の手ごたえはいかがですか?
とても明るくていい稽古場だと感じています。序盤は緊張しながら稽古に臨んでいたのですが、涼真くんや演出の谷賢一さんのおかげで、その緊張が嘘のように、毎日楽しく稽古に向き合うことができているし、そんな環境が僕だけでなくほかのキャストもどんどん自由にしてくれて、最初は声を出せなかった子たちが自分を解放できる稽古になっています。カンパニーの明るさが作品とうまくマッチして、まるでアメリカのハイスクールのような雰囲気です。
――竹内涼真さんは、本作が初舞台で初めてのミュージカル出演。有澤さんから見て竹内さんの姿はどのように映っていますか?
いや~、すごいですよ。改めて、“真ん中に立つべき人”なんだろうなということを感じています。エンターテインメントを心から楽しんでいて、かつ、現状に満足しない貪欲さの持ち主。作品を引っ張る人でありながら、わからないことがあれば、いろんな人に聞いてまわり、意見やアドバイスを求める。とても柔軟な姿勢で、この人についていこうと思いましたし、こちらも刺激を受けて、さらによいものをつくり出そうと気合が入りました。
――ほかの共演者のみなさんはいかがですか?
35歳のマークの奥さんであるスカーレット役のソニンさんとは、昨年の「ウエスト・サイド・ストーリー」に続いて2度目の共演なのですが、前作では恋人役で共演シーンも多く、お芝居について話すことが多かったんですね。だけど、今回は恋人のお母さんという設定なので、作品のことを話すよりも世間話をしたり、お勧めのミュージカルのDVDを貸してくださったりと、たくさんコミュニケーションをとっています。とてもやさしくて、頼れるお姉さんという感じです。
桜井日奈子さん演じるマギーとスタンは恋人同士なので、その距離感をどこまで近づけたらいいのだろうと最初はちょっと迷っていたのですが、桜井さんは素晴らしい女優魂のある方で、稽古段階から本番さながらのパッションを感じました。一緒にお芝居していて、とても楽しいです。
そして、今、僕を夢中にさせているのが、マギーの弟・アレックス役の福澤希空(のあ)くん。もう可愛くってしようがない!希空くんは現在17歳で、ハイスクールに戻ってきたマイクとちょうど同い年。思春期ならではのトガったところをもっているのかと思いきや、まっすぐな瞳で「有澤くんってさ、人に裏切られたことってあるの?」とか聞いてきて。
「なんでそんなことを聞くの?」って尋ねたら、「アレックスはいじめられっ子だから、そういう経験があったら参考にしたくて」と。とにかく素朴でピュアなんですよね。でも、パフォーマンスしたらダンスはキレキレだし、今回注目してほしい一人です。
――ちなみに17歳の有澤少年はどんな感じでしたか?
わかりやすい17歳だったと思います。流行を常に追いかけたくて、髪をきちんとセットして学校へ行って。モテたいという思いが一番強い時期だったかもしれません。
――マイクのように17歳に戻ったとしたら、まずやってみたいことは何ですか?
学生時代は、校則で禁止されていたのでできなかったんですけど、パーカーをリュックに詰め込んで持って行って、放課後、そのパーカーを学ランの下に着てオシャレをして、いろんなところへ遊びに行きたいです。ボウリングとかいいな。
――35歳のマイクが17歳のころへと戻ったことで大切なものに気づけたように、有澤さんにとって自分を変えてくれた存在があれば聞かせてください。
まずは、少年野球をやっていたころのコーチです。小学校を卒業して以来会っていなかったのですが、中2の時に同窓会みたいなもので再会して。
当時、反抗期の真っ最中で、やりたいことがなくてフラフラしていた僕を、「そんなんじゃダメだぞ」といろんなところへ連れ出してくれたり、野球の試合に誘ってくれたり。コーチが中学生だったころのことも話しながら、やさしく叱ってくれました。そこから変わることができたので、コーチとの再会はとても大きなものになりました。
そして、もう一人、僕を変えてくれたのが母親です。反抗期の僕に対して折れずに正面から向き合ってくれた。そこで母が諦めてしまっていたら、いったい僕はどんな人生を送っていたんだろうなって…。僕が今こうして存在できているのは、少年野球のコーチと母親のおかげです。
――今、私たちが有澤さんの活躍を見ることができているのも支えてくださったみなさんのおかげですね。では、この作品のどんなところに注目してもらいたいですか?
作品のテーマが「家族」と「自分が一番輝いていた時期を取り戻そう」ということなのですが、誰しも戻りたい時期って必ずあると思うんです。でも、逆に若いころには戻りたくないという人もいる。
主人公のマイクが、自分が最も輝いていた17歳に戻って人生をやり直すというファンタジー要素がありつつ、今、自分がおかれている状況や家族について考えるきっかけを与えてくれる現実的な部分もあるので、そんなところを見てほしいですね。
赤ちゃんと子犬の動画に癒やされる日々。原動力は共演者とのコミュニケーション
――稽古で忙しい毎日を送っていると思いますが、有澤さんの眼福な存在は何ですか?
赤ちゃんと子犬ですね。自宅で子犬の動画ばかり見ています。
――赤ちゃんは身近にいる…とか?
いえ、身近にはいないので、他人の赤ちゃんの動画を見ては癒やされています(笑)。あ、カッコいい人も僕にとって眼福です。かつて憧れていたのは、照英さん、速水もこみちさん、ケイン・コスギさん。『SASUKE』や『筋肉番付』に出ている人に憧れた時期がありました。
――今、最も楽しいと感じるのは何をしている時間ですか?
昨年から人と直接会うことが難しくなっているので、「17 AGAIN」の稽古場で人と会っている時間、コミュニケーションをとっている時間がすごく楽しいです。学園モノでキャストも多いのですが、感染予防対策をしっかりとりながら、みなさんと過ごす時間がパワーになっています。
――最後に、ファンのみなさんへメッセージをお願いします。
今は外出するのも、気持ちも足取りも重い時期だと思いますが、ミュージカル「17 AGAIN」はそんなことを忘れさせてくれる明るい作品ですし、キャストも、お客様に笑顔になっていただけるような素敵なメンバーが集まりました。
世界初演ということですごく気合が入っていて、みなさんにこのパワーをお届けしたいという思いで最終稽古に臨んでいます。この初演がぜひとも成功し、再演、再々演と上演され続けることを願いつつ、みなさんにそのスタートの目撃者になっていただきたいという気持ちでいっぱいです。ぜひとも劇場にお越しください。
ミュージカル「17 AGAIN」
【東京公演】5月16日(日)~6月6日(日)東京建物Brillia HALL
【兵庫公演】6月11日(金)~13日(日)兵庫県立芸術文化センター
【鳥栖公演】6月18日(金)~20日(日)鳥栖市民文化会館 大ホール
【広島公演】6月26日(土)広島文化学園HBGホール
【名古屋公演】7月1日(木)~7月11日(日)御園座
ミュージカル「17 AGAIN」最新情報は公式サイトまで
撮影:河井彩美
ヘアメイク:SHIO