雪深山福子 『ぼのぼの』で声優デビューして5年「いつか映画館で自分の声を聞きたい」【声優FILE.】
毎週土曜5時22分~『ぼのぼの』
近年、注目度が増している声優。フジテレビュー!!では、出演作のことはもちろん、“声優”について語ってもらう企画「声優FILE.」を連載中。
第4回は、毎週土曜5時22分よりフジテレビで放送中のアニメ『ぼのぼの』で主人公・ぼのぼのの声を担当している雪深山福子(ゆきみやま・ふくこ)が登場。
『ぼのぼの』は、1986年に連載が始まり、今でも多くのファンを持つ同名漫画が原作。これまでにも書籍化やアニメ化されてきたが、2016年に連載30周年を記念して現在放送中の新アニメがスタートした。
ラッコの子ども・ぼのぼの、シマリスくん、アライグマくんなど森の愉快な仲間たちのふれあいを、ほのぼのとしたギャグとともに描く。
実は、本作が初めての声優の仕事だったという雪深山。アニメ放送開始から5年たった今、改めてぼのぼのの魅力をどう感じているのか、今後の目標もたっぷり語ってもらった。
記念受験のつもりが、ぼのぼのに抜擢で家族もびっくり
──アニメ『ぼのぼの』は、放送開始から今年で5年がたちました。「ぼのぼの役をお願いします」と言われた当時のことは覚えていますか?
そのときは、まだ地元・愛知から上京してきて1年も経っていない頃で、ちょうど映画学校の役者コースに通っていました。最後の修了公演の稽古真っ最中のときに、ぼのぼの役に決まったというご連絡をいただいて…。
その修了公演の演目がかなり叫ぶ系の…アバンギャルドな作品だったんです(笑)。当時、稽古で毎日叫んでいたので、まず心配だったのは、「(アフレコをする前に)声が枯れないかな」ということでしたね。
あとは、本当にアフレコの経験がなかったですし、声のお芝居の勉強もしたことがなくて。だからこそ、具体的な不安はなかったと言いますか…あまり実感が持てなくて、夢見心地のまま収録が始まったことを覚えています。
──今のお話にもありましたが、雪深山さんはもともと役者を目指して勉強していたんですよね。
そうですね。もともとはお芝居がやりたくて、映画に携わりたくて上京してきました。でも、小さい頃からたくさんアニメを見ていたので、声優さんの素晴らしい表現は浴びていましたね。
レンタルビデオ屋さんでビデオを借りて見ることが多かったんですけど、ビデオの本編の前後に他の作品の告知映像が入っていて。それを見るのが大好きでした。映画の予告編も、アニメのオープニングも大好きで…テンションが上がる曲に乗せて、登場人物がバーッと出てくる感じ、すごくかっこよくないですか?そういう映像を見ながら、私は「なんでこの中に、私はいないんだろう?」と思っていたんです。それがお芝居をやりたいと思ったきっかけの一つですね。
──その後、お芝居の世界に入ることになったのはいつ頃ですか?
大学で演劇部に入り、舞台に立つようになり、大学の卒業後は、会社勤めをしながら地元の小劇場系の舞台に年1本くらい出演していました。でも、やっぱりもっとお芝居をちゃんとやりたいという思いがあり、会社を辞めて上京してきました。
それから映画学校に通い始めたのですが、学校で知り合った方から「オーディションがあるんだけど受けてみない?」と声をかけていただいたんです。それが『ぼのぼの』のオーディション。そのときは、本当に記念受験のような気持ちで受けていましたし、アフレコスタジオの空気に「わぁっ」と感激するばかりでした(笑)。
だから、まさか自分にぼのぼの役を任せていただけるとは…信じられなかったですね。初回のアフレコをする直前まで「チェンジでと言われるかも…」と思っていたこともあって、家族にも合格していることを伝えていなかったですし。
──ご家族の反響は?
たぶん、『ぼのぼの』の“何か”の役で出てくるんだろうと思っていたと思うんです。でも、実際に放送を見たら、ぼのぼのの声が私だと気づいて、「え!?ぼのぼの!?」と、驚いたそうです(笑)。
自分に嘘をつかないところがぼのぼのの魅力「私もこんなふうに生きたい」
──改めてになりますが、ぼのぼのの魅力はどこにあるでしょうか?
すごい素直で、マイペースで、ちょっと面倒くさい子だなと思うんですけど、でも、自分に嘘をつかないところが魅力だと思います。これは、ぼのぼのだけではなく、シマリスくんやアライグマくんとか、あの森に住んでいる子どもたち、みんなそうですね。
自分のプライドを守るため、空気を読んで…と、大人になるとついポロッと嘘をついてしまうことってあると思うんです。そのなんてことない嘘が、実はじわじわと自分を傷つけていってしまう…ということも。ぼのぼのたちは、そういう嘘をまず絶対につかないんですよね。
それがいいなと思いますし、「私もこんなふうに生きていけたらな」と思わせてくれるところが魅力だなと思っています。
──今まで放送された中で、特にグッときたぼのぼのの言葉は?
「どうして僕は、これが好きなんだろう」と、好きなものがなぜ好きなのか悩む話があるんです(※)。それが個人的に衝撃を受けました。
※2016年7月23日放送「#16 ボクはよく歩く」
嫌いなものは、「こういう価値観が合わないから、嫌いなんだな」などと考えるけど、好きなものに関しては、私はいつも言語化できずニュアンスで伝えることに逃げてしまいがちで。でも、ぼのぼのはまっすぐ向き合っていて、すごく印象に残っています。
──ぼのぼのを演じるうえで、心がけていることはありますか?
最近は「心がけるっていうのをやめてみる」ということを心がけています(笑)。心がけないといけないことを挙げると、キリがなくなってしまうので。まずは、ぼのぼのが誰としゃべっているのか、何をしゃべっているのかということに集中して、決められたセリフがリアルタイムの会話になるように楽しんで演じています。
そう思うようになったのは、コロナ禍で分散収録をするようになったことがきっかけです。
『ぼのぼの』は基本的に少人数なので一緒に集まって収録できるのですが、たまに1人で収録をすることもあるんです。そういう機会が増えてきたので、相手が目の前にいない中で、より“ぼのぼのとして”会話を楽しむということを考えるようになりました。
──1人で収録するときは、他の皆さんの声を聞くことはできるのですか?
先に収録されている方の声は聞かせていただきます。でも、まだ収録されていなくても、これまで皆さんと一緒に5年やらせていただいていることもあり、台本を読む段階から皆さんの声が頭の中で再生されますね。
──皆さんとの収録中のエピソードを聞かせてください。
「#265 シャチの島」という回の収録の話ですが、ぼのぼのがハンマーヘッドのシュモクザメに追いかけられるシーンがあって。そのシュモクザメの声を、スナドリネコ役の黒藤結軌さんが当てていたんです。
本番を待つまでの間、黒藤さんが小さい声で「ハンマー…カンマー…」と練習し始めたことにびっくりしちゃって。私、お笑いが大好きなので、それがすぐにハリウッドザコシショウさんのネタだと気づいたのですが、それを『ぼのぼの』に入れ込んでくるんだ、と雷に打たれたような衝撃を受けました(笑)。
リハーサルのとき、ぼのぼのがサメに襲われているお芝居に必死でちゃんと聞いてなかったので、もしかしたらリハーサルからやっていらしたのかもしれませんが、そのチャレンジ精神が素晴らしいなと。表現者として感銘を受けました。
しかも、面白いけど作品としては「いいのかな?」と思っていたので、オンエアを見て採用されていると知ったときは、スタッフさんもすごいなと思いました。あれが採用されたということは…いつか、ザコシさんもゲスト声優で来ていただけないかな…なんていう、勝手な希望も芽生えています(笑)。
──では、改めて『ぼのぼの』の見どころをお聞かせください。
『ぼのぼの』は、大人になってすっかり忘れてしまった感覚や気持ちといった“小さい宝物”を拾い直させてくれるような作品。でも、そうかと思いきや、めちゃくちゃシュールな笑いが織り交ぜられていたり、禅問答のような質問を突き付けられたり、本当に一言で言い表せない素敵な作品です。子どもから大人まで楽しんでいただけると思うので、ぜひ見てほしいです。
作家が作品、セリフ、キャラクターに込めた思いを大事に
──雪深山さんが声優の仕事をするうえで、大事にしていることはありますか?
最近、漫画家さんと一緒に漫画を学ぶ機会がありまして。漫画家さんたちが学びながら作品を作って、私はその作品にアフレコをするという授業に参加しました。
その授業では、漫画家さんたちが作品を作る過程を近くで見せていただいたのですが、何十時間、何百時間もかけて作った世界とか、キャラクターとか、セリフを声優として預けてもらっているという、その重みに気づかされました。
ひと言のセリフも、声に出してしまえば一瞬で終わりますが、作家さんの膨大な時間や思いが詰まっていると思うと、セリフやキャラクターとの接し方は変わりますね。すごくいい経験をさせていただいたので、役の重みは大事にしていきたいなと思っています。
──声優としての今後の目標は?
『ぼのぼの』の原作の漫画を知っている方はたくさんいらっしゃるのに比べて、アニメが今放送されていることを知っている方はまだ多くないと思います。もっとたくさんの方にアニメ『ぼのぼの』を見てもらえるように私も頑張りたいと思います。
あともう一つ、映画がすごく好きなので、声優としてアニメ映画や吹き替えに出演して、映画館のスピーカーから自分の声を聞くことができたらうれしいですね。
【コラム:最近、気になる“声優さん”】
他局ですが…『クレヨンしんちゃん』(テレビ朝日系)で、2018年までしんちゃんの声を担当されていた矢島晶子さんに憧れています。子どもの頃から、矢島さんのすごく魅力的で個性的な声を日々聞いて育ってきたので。当時、しんちゃん以外のキャラクターで矢島さんの名前を見つけると「しんちゃんの人だ!お母さん!!!」と、テンションが上がっていて。「声優さんってすごいな」というカルチャーショックを受けた方の1人ですね。
<雪深山福子に一問一答!>
<アニメ『ぼのぼの』作品情報>
放送情報:毎週土曜日5時22分から放送
配信情報:FODにて配信中
キャスト
ぼのぼの:雪深山福子
シマリスくん:雄賀多あや
アライグマくん:高野慎平
スナドリネコさん:黒藤結軌
ぼのぼののお父さん:伊東孝明
アライグマくんのお父さん:栗津貴嗣
最新情報は、アニメ『ぼのぼの』公式サイトをチェック。
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