いつ、どんな時代でも、私たちに夢、ときめき、感動、笑いといったカラフルな感情をもたらしてくれるテレビドラマ。その世界の中で、時に主人公を支え、時に物語に彩りを与えるのがバイプレイヤーだ。彼らの存在はキャストを輝かせ、物語のスパイスとなり、見るものをより楽しませる。
そんなドラマに不可欠なバイプレイヤーへのインタビュー企画 『支人【ささえびと】~人を輝かせる達人』。
今回は、現在放送中の月9ドラマ『SUITS/スーツ2』(毎週月曜21時)で幸村・上杉法律事務所のジュニアパートナー弁護士・蟹江演じている小手伸也をフィーチャー。
蟹江は、主人公の甲斐(織田裕二)と若手の頃にしのぎを削ったライバルであり、現在はアソシエイト弁護士たちの仕事を取りまとめるという、ファームの中である種重要なポジションを担っている。
ひねくれ者ながらなぜか憎めない蟹江役を絶妙に演じている小手が、周囲の役を引き立てるために心がけていることとは。
蟹江には「甲斐のことが嫌いだけど、大好きすぎる」そんな一概には語り尽くせないややこしさがある
――『SUITS/スーツ2』の撮影は、現在どのような雰囲気で進んでいますか?
基本的に今は、感染症拡大防止のために気を使わなければいけない状況があるので、言葉を選ばず言うと面倒なことも多いです(笑)。でも、すごく繊細にできる限りの対策を講じながら撮影をしていて、そんな新しい様式にも慣れてきて、それほどストレスもなくなってきましたね。
スタッフの方々がせっかくすごく対策を講じてくれているのに、我々がそこをないがしろにしてはいけないので、基本的には粛々と進行している印象です。
変に騒いだり、至近距離でじゃれ合ったりということがシーズン1に比べると少なくなった感じでしょうか。とは言っても、もちろん楽しく明るい雰囲気の現場です。僕は、SNS用にみんなで一緒に写真を撮ることもあるんですけど、今は気を使わないといけないことがいっぱいあるので、考慮しながらコミュニケーションをとっていますね。
――そういったコミュニケーションの取り方が変わったことで、お芝居にも変化はありましたか?
接触を制限している分、お芝居の中で繋がりの深さを感じています。今回の『SUITS/スーツ2』は、ファミリーの話になってくる。幸村・上杉法律事務所は疑似家族で、その中での絆とか人間関係を大事にしている作品だったりするので、そういう部分が醸造されているというか。今の距離感があるからこそ、意識が高まっている部分もあるかなと思います。
正直なところ、別にそんな話さなくても別にいいやってと思うようになったりもして。本当に居間で家族がくつろいでいるぐらいの(笑)、そういうアットホームな雰囲気で、シーズン2の撮影は進んでいますね。
――蟹江先生は、シーズン1に比べると存在感が増しているような気がしますが、演じている小手さんご自身は、何か感じていることはありますか?
ファーム内での対立という話になっているので…ね。簡単に言えば、幸村派か上杉派かというところの権力闘争みたいなものの中で、蟹江がいかに保身のために動くかというところがあって(笑)。そういう意味においては、引っかき回し役として重要なポジションになっていると思います。
――蟹江先生は事務所内を引っかき回しながら、これからどこに向かっていくのでしょうか…。
蟹江は、確かにすごく保身的なところがあるというか、自分の昇進を一番に考えて、誰につけば早く昇進できるかというところがモチベーションになっている。でもそれは、権力欲とかそういうものというよりも、「自分が評価されたい」とか、「ライバルである甲斐と同等に扱われたい」とか、そういう気持ち。
なんと言ったらいいんですかね…。最近は、上杉(一志/吉田鋼太郎)派ではあるんですけども、別に幸村代表(鈴木保奈美)が嫌いということではないんです。ただ、本当に評価されたいだけという。裏を返せば、ファームのことがすごく大好きなんですよね。
――蟹江先生の「ファームが大好き」という思いは分かります!
この場所が大事で、ここにいて、ここで昇進して、甲斐と一緒に働いていきたいという気持ちが強い。すごくピュアなんでしょうね(笑)。甲斐のことが嫌いなんだけど、大好きすぎるという感じの人ですし(笑)。
本当にファームを潰したいという気持ちが一切なくて、ファームの最善を考えている人。自分を評価してくれない幸村代表をこのままトップとして、据え置きにしていていいのかという疑問には、自分が評価されないという“やっかみ”も含まれているのですが…、「このファームにとってそれがベストかどうか」っていう目線も含まれていて。
――かなり複雑な思いがあるんですね…。
一概では語り尽くせない、ややこしい感じが蟹江にはありますね。単純な動機で動いていないので…まぁ、僕のお芝居のアクがすごく強いから誤解されがちなんですけれども(笑)、割と繊細にリアリティを重視して演じています。たぶん人ってそんな単純な理由だけでは動かないので。
ですから、「蟹江先生はどう思ってるんだろう」という部分を、視聴者の皆さんが抽出して見るのもまた、楽しみ方の一つかなと思います。
――アクが強いと言いながらも、小手さんのお芝居は対する相手を引き立てていて、作品のアクセントになっているように感じます。小手さんご自身は、“バイプレイヤー”と言われることに関して、どう捉えていらっしゃいますか?
そう言っていただくには恐れ多いです…。ただ、お芝居に関して思っていることがあるのですが、ある程度自分を立てないと、相手も引き立たないんですよね。ヒーローもので例えると、正義の味方がいて、悪がいて、「正義が強くて正しい」ということにみんなが共感するためには、それだけ悪が強くないと、正義が引き立たないので。
だから、織田さん、中島(裕翔)くん、新木(優子)さん、中村(アン)さん、鈴木さん、みんなそうなんですけど、僕と対峙する時の相手がより面白く見えるように、こちらのアクセル具合も調節するということはすごく慎重に考えています。
「ここはやり過ぎぐらいのほうがいいのかな」とか、「ここで出すぎると、ちょっと相手がぼやけたり、(物語全体の)視点がぶれる可能性があるかな。だからここは抑えよう」とか。とにかく、常に空間の熱量というか、1対1のシーンなら“2人の間がどれだけ面白くなるか”ということを毎回考えるようにしています。…って、手のうちをさらすことって結構恥ずかしいですね(笑)。
あんまりそういうことは伝わらなくてもいいですし、結果的に皆さんが抱く印象とは違うかもしれないですけど、割と細やかに自分の出し方とか考えてお芝居をしていますね。
――バイプレイヤーだからこそ“楽しい”と感じる瞬間はありますか?
そうですね…キメキメじゃなかったりするので、楽しいです。それに、『SUITS/スーツ2』の皆さんはすごくお芝居が大好きというか、ライブ感を楽しみたい方々というか。「あなたがこう出してくるなら、私はこう返そう」みたいなことが多くて。織田さんは特に強いんですけども(笑)。
仕掛けると乗ってくれて、乗ってくるからにはやり返す。そういう生のお芝居の駆け引きみたいなものをすごく楽しんでやっているんですよね。だから僕も楽しいですし、すごく素敵な現場だなと思っています。
――小手さんご自身の役者として目指している理想像はありますか?
明確なものはないかもしれません。昔、いろいろ思ったことはあったんですよね。「あの先輩の、あの芝居が好きだ」とか。ただ、結果的に同じことをやろうとしてもモノマネになっちゃうし、その人と僕はキャラが全然違ったりするので、同じような役者にはなれないというか。
演劇界の諸先輩方って…長らくお世話になっていた八嶋智人さんとか、劇団☆新感線の古田新太さんとか、僕がすごいなと思う人はだいたい皆さんセルフプロデュースがしっかりしていて、自分の出し方とか得意科目をよくわかっていらっしゃる。
その人の得意が“そこ”なだけで、それに憧れて同じことをやろうとしても、僕の得意が“そこ”になかったら本当に意味がないので。最近では、「自分の得意科目が何か」をすごく意識するようになりましたね。
――得意科目は見つかりましたか?
うさん臭さ、なんですかね(笑)。この顔面もそうですけど、印象が強い役が多いし、うさん臭さを作り手の方から求められることが多いので…そういうニーズとか、オーダーにちゃんと答えられるように、今は本当にとにかく自分の引き出しの中身をいっぱいにするために、いろんなものを吸収しようと勉強中です。
――どんな勉強をしているんですか?
いろいろなジャンルのいろいろなものを見るようにしています。本も、映画も、アニメも、伝統芸能も、美術も。とにかくどこに何かヒントがあるかわからないし、何の役に立つかわからないですけど。
情報収集としていろいろなものを自分の中に溜め込んでおいたほうが、「こういうことをやってください」って言われた時に、「あ、それ入ってます!」って引き出しを開けることができるじゃないですか。とにかく僕は、「できません」とは言いたくない人なので。とにかく準備だけはすごくいっぱいしています。
でも、だからといって、それをすぐに役立てようとは思っていないし…その目的でものを見ていると、自分の中の感性が鈍るというか、楽しめないし、自分の感動に繋がらなくなっちゃう。とにかく、情報収集の目的ではあるんですけど、それによって自分の心がどのぐらい動いたかということを大事にしていますね。
――最後に今後のドラマの見どころをお願いします。
ファームの中の人間関係についてすごく突っ込んだ7話の密室劇があり、今後この幸村・上杉法律事務所がどうなっていくのかという大きな決断が迫られて、それに蟹江も大きく関与していくところです。
あくまで主役はね、甲斐先生で、彼が、今後どのような形でこの劣勢を跳ね返していくのか。そして、このファームは一体どうなっていくのかっていうことは、大きな見どころになっていくと思います。ネタバレすると…って、ネタバレできないですが、油断しないでくださいね!
撮影:今井裕治

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