生田斗真が主演を務める映画「渇水」が2022年に全国公開されることが決定した。

本作は、1990年⽂學界新⼈賞受賞し、103回芥川賞候補となり注⽬を浴びた、河林満による名篇「渇水」が、刊⾏から30年の時を経て初の映画化されたもの。「凶悪」や「孤老の血シリーズ」など、多くの重厚な作品を世に贈り出し続ける映画監督・⽩⽯和彌が、感動の⼈間ドラマに挑み、初プロデュースした意欲作だ。

主演を務めるのは、⽣⽥。⼼の渇きにもがく中で、育児放棄を受ける幼い姉妹との出会いから、ささやかな幸せを求めて本当の⾃分を取り戻していく、⽔道料⾦を滞納する家庭の⽔を停める業務(=停⽔執⾏)に就く、市の⽔道局職員の岩切俊作を演じる。

⽣⽥は、「世の不条理に疑問を持ち始める主⼈公に、少しの希望と微かな光を与えることが出来たらという思いで、精⼀杯演じました。多くのことがシステム化され、疑問を持たずに波⾵を⽴てずに⽇々を過ごすことが上⼿な⽣き⽅なのかもしれません。ただ、なにか違う。このままでいいのかとふと⽴ち⽌まり、⾃分を⾒つめ直すことも悪くない。そう思わせてくれる作品です」と本作へ思いを寄せた。

<生田斗真 コメント>

――出演オファーを受けた感想は?

⽩⽯和彌さんをはじめ、制作スタッフや髙橋正弥監督の熱意に感動しました。皆さんが⻑年温めていた企画が、時を経てようやく形になる瞬間に⽴ち会えること、とても嬉しく思いましたし、お声をかけていただいたことを光栄に思います。

――主人公・岩切を演じた感想は?

空気や太陽の光はタダなのに、どうして⽔はタダじゃないんだと、世の不条理に疑問を持ち始める主⼈公に少しの希望と微かな光を与えることが出来たらという思いで精⼀杯演じました。

――髙橋監督については?

この作品に賭ける思いが⾮常に強く、情熱に溢れた監督です。これまで多くの⽅々の信頼を得てきた髙橋監督との撮影は私にとっても刺激的な毎⽇でした。

――⽩⽯和彌さんについては?

多くの名作を残し続けている⽩⽯さんが、どのようにして別の視点から物語を作り出すのか、⾮常に興味を持ちました。映画の現場が好きで、⽇々を⾯⽩く⽣きているユーモラスな⽅です。

——劇場公開を待つ皆様へメッセージをお願いします。

多くのことがシステム化され、疑問を持たずに波⾵を⽴てずに⽇々を過ごすことが上⼿な⽣き⽅なのかもしれません。ただ、なにか違う。このままでいいのかとふと⽴ち⽌まり、⾃分を⾒つめ直すことも悪くない。そう思わせてくれる作品です。公開を楽しみにしていてください。

<⽩⽯和彌 コメント>

——映画化までの経緯は?

ある⽇、⻑⾕川晴彦プロデューサーから読んでほしい脚本があると送られてきたのが本作の脚本でした。この企画⾃体は前々から存在していること、既に脚本も出来ていることは⾵の噂で聞いていましたが、実際読ませていただくと、脚本の持っている⼒に打ちのめされ、是⾮参加させて欲しいとお願いしました。

——原作⼩説については?

格差の中で⽣きる⼈々への眼差しが、時に優しく、時に残酷で、ずっと⾝体の中に沈澱し続けるような原作でした。読みながら河林さんはいったいどんな⽅でどんな世界を⾒ていたのだろうと、そればっかりを考えていました。

——本作の魅⼒はなんですか?

原作者の河林さんが⾒つめる社会への眼差しと、髙橋監督の優しさ、なんとしても今この映画を完成させて世に届けたいという執念が、これ以上ない形で凝縮されています。⽣きていくことを問いかける本作は社会の厳しさを描く反⾯、それでも強く⽣きていこうと思わせてくれる映画になっています。

——主演の⽣⽥⽃真さんについては?

もう⽣⽥さん以外にありえないと思ってお願いしました。⽴ち姿が素晴らしいのはもちろんですが、主⼈公・岩切の抱える悲しみと苦悩を多く語らずとも表現してくれる俳優は⽣⽥さんだけではないか、と。みんなの意⾒が⼀致してオファーさせていただきました。

スクリーンに映る⽣⽥さんは、やはりとてもたくさんのことを感じさせてくれる素晴らしい俳優です。⽣⽥さんの新しい側⾯をお⾒せできると思います。

——髙橋監督については?

私よりも先輩で多くの映画に関わられていて、映画界で活躍されているのはずっと知っておりました。初めてお会いしたときに、その⼈柄と映画に捧げてきた⼈⽣と、そして何よりその頑固で⾃分を曲げないところに完全にヤラれました。最⾼の監督です。

——今の時代に本作を通し伝えたいことは?

河林さんが⼩説を発表してから30年あまり世界は変わっていないどころか格差は広がりより⽣きづらくなっていると感じます。この映画はそんな社会に対して物申すというよりは、現代を⽣きる我々に⽋けてしまったもの、必要なものを問いかける映画です。

簡単に答えは出ませんが、その答えを探す過程こそがなによりも尊く、⽣きている意味を⾒つける近道なのだと思います。

——劇場公開を待つ皆様へメッセージをお願いします。

完成までもう少しです。私も早く⼤きなスクリーンで完成した状態を⾒たいです。そして多くの⽅とこの映画について語り合ってみたいです。皆さま、楽しみにお待ちください。

©2022『渇⽔』製作委員会
配給: KADOKAWA